チャエン

株式会社デジライズ 代表取締役

チャエン

スプレッドシートの集計、毎回コピペと関数の貼り直しで済ませていませんか。人数を数え、グラフを作り直し、未対応の行に色を付ける。作業自体は単純でも、毎週・毎月やると地味に時間を取られます。

こうした作業は GAS(Google Apps Script)で自動化できますが、これまでは「コードが書けるか」が壁でした。その壁は Gemini が引き受けてくれます。やりたいことを日本語で伝え、返ってきたコードを貼って動かすだけです。

今回私は、セミナー申込者リストのダミーデータを用意して、Gemini に GAS を書かせ、スプレッドシート上で実際に動かすところまでを3往復ぶん試しました。コードは1行も書いていません。その画面をそのままお見せします。


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GAS × Gemini で何が変わるのか

GAS(Google Apps Script)は、Google スプレッドシートや Gmail などを自動で動かすための仕組みです。Google ドライブを基盤にしたクラウド上の JavaScript プラットフォームで、Google プロダクト全体のタスクを統合・自動化できます(Google Apps Script 公式より)。

つまり、普段使っているスプレッドシートやメールの作業を、そのまま自動化の対象にできます。

変わったのは「誰がコードを書くか」です。コードを書くのは Gemini で、あなたは日本語で頼むだけ。今回の流れは次の3ステップでした。

  1. 頼む — やりたいことを日本語で Gemini に伝える(シート名・列の中身・出したい結果)
  2. 動かす — 返ってきたコードをスプレッドシートの Apps Script に貼って実行する
  3. 直してもらう — 思った通りにならなければ、画面で起きたことを伝えて修正版をもらう
GAS × Gemini の流れ(頼む → 動かす → 直してもらう)

今回用意したダミーデータは、A〜F列に申込日・氏名・会社名・部署・参加形式・対応状況が入った申込者リスト20件です。氏名と会社名はすべて架空のものにしてあります。

実行前の申込者リスト(ダミーデータ20件・A〜F列に申込日・氏名・会社名・部署・参加形式・対応状況)

実例①:集計とグラフ化を Gemini に頼んだら、GAS がコピペだけで動いた

最初に送った依頼文がこちらです。プログラミング初心者であることと、コピペでそのまま動く形が欲しいことを最後に添えました。

Googleスプレッドシートで使うGoogle Apps Script(GAS)を書いてください。

シート「シート1」のA〜F列に、セミナー申込者リスト(A:申込日 B:氏名 C:会社名 D:部署 E:参加形式 F:対応状況、1行目は見出し)が入っています。

やりたいことは3つです。
①「集計」という新しいシートを作り、部署別の申込人数を多い順に表にする
②その表から棒グラフを作って集計シートに置く
③元のリストで対応状況が「未対応」の行を薄い赤で色付けする。

関数名は summarizeApplicants にしてください。
プログラミング初心者なので、コードはコピペでそのまま動く完全な形でお願いします。
Gemini に GAS を依頼した画面と、コードパネルで返ってきた返答

返ってきたのは「セミナー申込者集計スクリプト」という名前のコードパネルで、約115行。日本語のコメントが付いた状態でした。ダウンロードや共有のボタンもパネルに付いています。

Apps Script エディタに貼り付けた最初のコード

あとはこれを「拡張機能 → Apps Script」で開いたエディタに貼って保存し、実行するだけです。初めて実行するときなど、必要な権限がまだ承認されていない場合は「承認が必要です」というダイアログが出るので、権限の内容を確認して許可します。

エラーは出ず、一度で動きました。「集計」シートが新しく作られ、部署別の人数の表と横棒グラフ「部署別申込人数」が作成されました。

「集計」シートに作られた部署別の表と横棒グラフ

今回用意したダミーデータでは、部署別の内訳はこうなりました。

部署申込人数
営業部8
人事部4
情報システム部3
経営企画部3
総務部2

元のリスト側も、対応状況が「未対応」の7行が薄い赤に変わっていました。処理が終わると「集計と色付けが完了しました。」というダイアログが表示されました。

元のリストで「未対応」の行が薄い赤で色付けされた状態

ひとつだけ気になったのは、棒グラフの一番上に「部署」という空の項目が出ていたことです。見出し行がデータとして扱われていました。これは実例③で直してもらいます。

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実例②:追加注文で、GAS に専用メニューと円グラフを足してもらう

同じ会話の続きで、3つの追加注文を出しました。空項目の修正、参加形式別の集計、そしてスクリプトの画面を開かずに実行できる仕組みです。

動きました!追加でお願いです。

①グラフの一番上に「部署」という空の項目が出てしまうので直してください
②参加形式(オンライン/会場)別の人数も集計シートに表と円グラフで追加してください
③スプレッドシートのメニューバーに「セミナー集計」というメニューを追加して、スクリプトの画面を開かなくても実行できるようにしてください。

コードは全体を置き換える形で、コピペでそのまま動く完全なものをください。
追加注文に対する Gemini の返答(onOpen 関数の説明つき)

返ってきたのは3点を組み込んだ完全版のコードで、メニュー追加のために onOpen という関数を追加した旨の説明が付いていました。貼り替えて保存し、スプレッドシートを再読み込みします。

メニューバーに追加された「セミナー集計 → 集計を実行」

すると「ヘルプ」の右に「セミナー集計」というメニューが現れ、中に「集計を実行」が入っています。これが出れば、スクリプトの画面を開かなくても実行できます。メニューは再読み込みから十数秒遅れて出てきました。

そのメニューから実行した結果が次のとおりです。参加形式別の表と円グラフ「参加形式別 割合」が追加されました。

参加形式人数円グラフの表示
オンライン1365.0%
会場735.0%
追加された円グラフが棒グラフに重なってしまった状態

ただし、頼んだ通りにはなりませんでした。残ったのは次の2点です。

  1. 円グラフが棒グラフに重なった — 棒グラフの下半分が隠れてしまった
  2. 「部署」の空項目が直っていなかった — 依頼の①が反映されていない

実例③:うまくいかなかった所は、見たまま Gemini に伝えれば GAS を直してくれる

ここでやることは、原因を自分で探すことではありません。画面で起きていることを、そのまま言葉にして送るだけです。

メニューから実行できました。ただ、2つ問題があります。

①円グラフが棒グラフの上に重なってしまい、棒グラフが隠れています。重ならない位置(棒グラフの右隣など)に置いてください
②棒グラフの一番上に、まだ「部署」という空の項目が残っています。見出し行がデータとして扱われているようです。

修正したコード全体をください。
不具合を伝えると Gemini が原因を2点説明して修正版を返した画面

Gemini は原因を2点挙げてから、修正版のコードを返してきました。

  1. グラフが重なった原因 — 配置を指定する行と列が2つのグラフで被っていた
  2. 空項目が残った原因 — グラフが見出し行もデータとして読み込んでいた

修正版では、円グラフを棒グラフの右隣(L列付近)に置き、グラフの範囲から見出し行を除外していました。貼り替えて保存し、メニューから再実行します。

修正後の集計シート。棒グラフと円グラフが横に並び、空項目も消えている

2つとも解消しました。棒グラフと円グラフが横に並び、「部署」の空項目も消えています。ここが一番お伝えしたいところで、頼めば動きますが、一発で完璧にはなりません。動かして、見て、起きたことを伝えて、直してもらう。この1周を回せるかどうかが分かれ目です。

GAS × Gemini でほかに頼めること

今回試したのは集計とグラフ化、行の色付け、メニューの追加でした。GAS が扱えるのはスプレッドシートだけではないので、頼める範囲はもっと広いです。以下の4つは今回試していませんが、自動化できる処理の例として挙げておきます。

頼みたいことGAS が担う処理
フォーム回答の自動集計回答シートを読み取り、集計用のシートに表とグラフを作る
一覧からの書類作成シートの1行ずつを雛形に差し込み、PDF として書き出す
期限が近いタスクのリマインド日付の列を見て、該当する行をメールなどで通知する
シート間のデータ転記条件に合う行だけを別のシートやファイルに写す
GAS に頼める業務の例(フォーム回答の自動集計・一覧から書類を作成・期限のリマインド・シート間のデータ転記)

特別な頼み方のコツをいくつも覚える必要はありませんが、今回の3つの依頼文に共通して入れていた要素が3点あります。ここだけ先に決めておくと、返ってくるコードが一度で使える形に近づきます。

  1. どのシートのどの列を使うか — シート名と、A〜F列にそれぞれ何が入っているか
  2. 何を出したいか — 新しいシートに表・グラフ・色付けのどれをどう作るか
  3. どう呼び出して、終わりをどう知るか — メニューから実行したいのか、終了時にダイアログを出したいのか

コードを書かずに Google Workspace の作業を自動化する方法は、以下の記事もあわせてご覧ください。

Google Workspace Studioとは?使い方・料金・活用事例30選を徹底解説

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まとめ:GAS × Gemini は「頼む・動かす・直してもらう」の繰り返し

今回の3往復で分かったことは、次の3点です。

  1. コードは Gemini が書く — シート名と列の中身、出したい結果を日本語で伝えれば、そのまま貼れるコードが返ってくる
  2. 一発で完璧にはならない — メニューも円グラフも追加できたが、グラフが重なり、直すよう頼んだ空項目は残った
  3. 見たまま伝えれば直る — 画面で起きていることを言葉にして送れば、原因の説明と修正版が返ってくる
頼む・動かす・直すのサイクル(日本語で指示 → コード生成 → GASで実行 → 結果確認 → 修正依頼 → 修正コード)

ここまで読んで「それでも自分でやるのは難しそうだ」と感じた方は、弊社デジライズの法人リスキリング研修で、講師と一緒にやってみてください。

デジライズでは、「GAS をどうやって動かすか」を扱う実践的な GAS 研修を用意しています。少人数で、講師が目を配りながら一緒に進める形です。

流れは、この記事で紹介した1周をそのまま自分の手で回すものになっています。

  1. 基礎を学んで動かす — 「GAS とは何か」を押さえ、こちらから渡した GAS のコードを実際に動かしてみる
  2. 自分で Gemini に頼む — 「これをこうしたい」というお題に対して、受講者自身が Gemini に指示を出してコードを生成してもらう
  3. 動かして直す — 生成されたコードを GAS に貼って動かし、うまく動かなければエラーコードと一緒に再度 Gemini に伝えて修正してもらう

さらに、自分の実際の業務にどう活かせるかを考え、周りの受講者と共有するワークも行います。個人で学びたい方は、デジライズの AI スクールでも実践的な活用法をカリキュラムとして扱っています。

まずは、あなたの手元にある一番面倒なスプレッドシートを1つ選んで、シート名と列の中身を書き添えて Gemini に頼んでみてください。動いたら、次は「ここがこうなってしまう」と伝えるだけです。

この記事の著者 / 編集者

チャエン

株式会社デジライズ 代表取締役

チャエン

法⼈向けのAI研修、及び企業向けChatGPTを開発する株式会社デジライズをはじめ、他数社の代表取締役。一般社団法人生成AI活用普及協会評議員を務めながら、GMO AI & Web3株式会社など他数社の顧問も兼任。NewsPicksプロピッカーも兼任。Twitterはフォロワー16万⼈。⽇本初AIツール検索サイト「AI Database」やAIとの英会話ができる「AI英会話」など複数のAIサービスも開発。ABEMAやTBSテレビなどメディア出演も多数。