Appleは米国時間2026年10月26日に、iPhoneとiPad向けのセキュリティアップデート「iOS 26.7.2」「iPadOS 26.7.2」を公開しました。Appleの公開情報には134件の脆弱性(CVE)の修正が並んでおり、対象はiPhone 11以降です*1。同じ日には最新版のiOS 27.2も出ていて*2、内閣官房の国家サイバー統括室も利用者と組織に速やかな適用を呼びかけています*4。
修正の中には、細工された画像を処理すると任意のコードを実行されるおそれがある画像処理の穴や、悪意のあるWebページを開いたときに同じおそれがあるWebKitの穴も含まれます*1。先に結論を言うと、iPhone 11以降を使っている人は今日中に「設定→一般→ソフトウェアアップデート」から更新し、企業は社員の端末が古いiOSのまま残っていないかを今週中に確かめるべきです。
この話題は、私もXで紹介しました。
今なら、生成AIの基礎知識から社内導入の6ステップ・定着のポイントまでを1冊にまとめた「はじめての生成AI社内導入ガイド」を無料で配布中!何から始めればいいか分からない方でも、これ1冊で導入の流れがつかめます。
目次
iPhoneとは|iOS 26.7.2で何が変わるのか・対象機種と提供範囲
iPhoneは毎年秋に大きなOSの更新があり、2026年はiOS 27が出ています。ただしすべての人がすぐ最新版に移るわけではありません。業務アプリの動作確認が済むまでiOS 26のまま使う会社もあれば、単に更新を後回しにしている個人もいます。
iOS 26.7.2は、そうしたiOS 26を使い続けている端末向けのセキュリティ専用の更新です。Appleの公開情報には、この更新で直したセキュリティの穴の一覧が載っています*1。同じ日に公開された更新を表にまとめます。
| 更新 | 主な対象 | 修正件数(CVE) | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| iOS 27.2 / iPadOS 27.2 | iPhone 11以降など | 163件 | 最新版 |
| iOS 26.7.2 / iPadOS 26.7.2 | iPhone 11以降など | 134件 | iOS 26を使い続ける端末向けのセキュリティ修正 |
| iOS 18.7.11 / iPadOS 18.7.11 | iPhone XS・XRなどの旧機種 | 3件 | iOS 26に上げられない端末向け |
件数はiOS 27.2が163件、iOS 18.7.11が3件と報じられています*3。iOS 26.7.2のiPadの対象は、iPad Pro 12.9インチ(第3世代以降)、iPad Pro 11インチ(第1世代以降)、iPad Air(第3世代以降)、iPad(第8世代以降)、iPad mini(第5世代以降)です*1。
直った穴の中身
Appleの公開情報を見ると、修正はかなり広い範囲に及びます*1。特に気にしておきたいものを整理します。
- 画像処理(ImageIO) — 悪意のある細工をした画像を処理すると、任意のコードを実行されるおそれがある
- Webの表示(WebKit) — 悪意のあるWebコンテンツを処理すると、任意のコードを実行されるおそれがある
- App Store — Webコンテンツの表示を隔離する仕組み(サンドボックス)から抜け出せるおそれがある穴
- カーネル — OSの中心部分でメモリが壊れたり、中身を読まれたりするおそれがある穴
- プライバシー — アプリが許可なしにBluetoothやカメラ、利用者のデータにアクセスできるおそれがある穴
SafariだけでなくアプリのWeb表示もWebKitを使うため、WebKitの穴はふだんの操作の多くに関わります。メッセージやメールで受け取った画像、ニュースアプリで開いたページなど、利用者が特別なことをしていなくても入口になりうる点が注意どころです。
「悪用された」とは書かれていない
一方で、iOS 26.7.2の公開情報には「悪用された可能性がある」という記述はありません*1。つまり今の時点で、この134件が実際の攻撃に使われたとAppleが認めたものはないということです。
ただし安心してよいという意味ではありません。脆弱性の中身が公開されると、更新していない端末を狙う人にとってはヒントになります。また以前のiOS 26.7.1では、CoreGraphicsの穴(CVE-2026-86950)について、Appleが「特定の個人を狙った極めて高度な攻撃に悪用された可能性がある」との報告を把握していると説明していました*5。26.7.1を飛ばしている端末は、更新後にソフトウェアアップデートの画面で最新の状態になっているかを確かめておきましょう。
iOS 26.7.2の使い方|iPhoneを更新する手順と所要時間
更新そのものは数タップで終わります。Appleのサポートページに沿った手順は次の通りです*6。
- バックアップ — iCloudかパソコンで端末のバックアップを取っておく
- 電源とWi-Fi — 端末を充電器につなぎ、Wi-Fiに接続する
- 設定を開く — 「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」をタップする
- インストール — 表示された更新を選び「ダウンロードしてインストール」をタップし、パスコードを入れて画面の案内に従う
iPhone 11 Proで試した報道では、ダウンロードは2.25GB、完了まで約30分かかったとされています*7。機種や通信環境によって変わりますが、会議の直前や外出前は避け、充電しながら寝る前に済ませるのが現実的です。
iOS 27.2とiOS 26.7.2のどちらを選ぶか
iOS 26を使っている端末では、ソフトウェアアップデートの画面にiOS 27.2とiOS 26.7.2の両方が出ることがあります*7。どちらを選んでもセキュリティの穴はふさがります。違いは機能が変わるかどうかです。
| 選び方 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|
| iOS 27.2に上げる | 新機能も使いたい個人。会社の許可が出ている端末 | 見た目や操作が変わる。業務アプリの対応状況を確認する |
| iOS 26.7.2にとどめる | 業務アプリの動作確認が済んでいない会社の端末 | いずれiOS 27への移行は必要になる |
私のおすすめは、個人の端末ならiOS 27.2、会社の業務端末で情報システム部門の指示がまだ出ていないならiOS 26.7.2です。迷って何もしないのが一番よくないので、まずどちらかを入れてください。iOS 27で変わるSiriやApple Intelligenceについては、以下の記事で解説しています。
Siri AIとは?iOS 27で変わるApple Intelligence・対応機種・日本語対応を解説
自動アップデートをオンにしておく
毎回手で更新するのは忘れがちです。「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」→「自動アップデート」で自動インストールをオンにすると、充電中かつWi-Fi接続中の夜間に更新が入ります。インストールの前には通知が届きます*6。
- 自動インストール — 夜間の充電中に更新を入れる。基本はこれをオンにする
- 自動ダウンロード — 自動インストールをオフにしたときに出る。データだけ先に落として、入れるタイミングは自分で選ぶ
- システムファイルの自動インストール — ソフトウェアのバージョンを変えずにデバイスの機能を改善するファイルを受け取る項目。オンにしておく
更新が出てこないとき
ソフトウェアアップデートの画面に何も出てこない場合は、まず端末の空き容量を確かめます。容量が足りないとダウンロードが始まりません。低電力モードやVPNを切って再起動すると表示されることもあります*4。iPhone XSやXRなどiOS 26に上げられない旧機種では、iOS 18.7.11が案内されます。
企業での使いどころ|社員のiPhoneで確認したい3つのこと
日本ではiPhoneを業務で使う人が多く、私物のスマホで社内チャットやメールを見ている会社も珍しくありません。1台でも古いiOSのまま残っていると、そこが会社の情報への入口になりえます。今回の更新を機に、端末管理の点検をしておくのがおすすめです。
1. 会社支給の端末のOS版数を把握する
MDM(モバイル端末管理)を入れている会社なら、管理画面で各端末のiOSの版数を一覧にできます。iOS 26.7.2、iOS 27.2、iOS 18.7.11のいずれかになっていない端末を洗い出し、利用者に個別に声をかけます。MDMが無い会社でも、全社チャットで「設定→一般→情報」の画面のスクリーンショットを送ってもらえば、少人数なら十分に確認できます。
2. 私物端末(BYOD)のルールを決める
私物のiPhoneで業務アプリを使わせている場合は、会社が端末を直接管理できません。そのため「最新のセキュリティ更新が入っていない端末では業務アプリを使わない」といったルールを文書にしておくことが大切です。業務アプリやクラウドサービスの側で、古いOSからのログインを制限できる機能があれば使います。
3. 更新の案内を定型化する
Appleのセキュリティ更新は年に何度も出ます。そのたびに担当者が文面を考えるのは負担になります。下のような項目を決めておき、更新が出たら同じ形で全社に流すと手戻りがありません。
| 項目 | 決めておく内容の例 |
|---|---|
| いつまでに | 公開から3営業日以内など、期限を決める |
| どの版に | 会社として認める版数(今回ならiOS 26.7.2以上など) |
| どうやって | 設定→一般→ソフトウェアアップデートの手順と、充電・Wi-Fiの注意 |
| 確認方法 | 完了報告のしかた(MDMで自動確認、または自己申告) |
| 例外 | 業務アプリの都合で上げられない端末の扱い |
急いで対応したい脆弱性は、iPhoneに限りません。サーバー側で使われる言語の脆弱性への対応は、以下の記事で解説しています。
PHP2Shellとは?総理も対応を呼びかけたPHP脆弱性|修正版と暫定策の違い・企業の対策
社員の端末の更新状況やセキュリティの点検を、既存の業務システムやAIと組み合わせて自動で回したいと考える会社もあるはずです。法人向けAIリスキリングサービスの導入社数No.1*の弊社デジライズが、AIコンサルティング&開発のサービス資料を無料でお送りしています。既製のAIサービスでは要件が満たせず、自社に合わせたシステム構築や環境の検討が必要な場合の進め方をまとめています。
※出典:株式会社東京商工リサーチ「法人向けリスキリングサービスに関する調査」(2026年5月/調査期間:2026年3月26日〜4月17日/調査方法:デスクリサーチおよびヒアリング/2026年3月末時点)
注意点|AI時代に脆弱性の修正を後回しにしてはいけない理由
脆弱性は、スマホの鍵のかけ忘れのようなものです。鍵が開いていると知られた家は狙われやすくなります。Appleが修正を出し、中身が公開されたあとは、更新していない端末を探す側にとっても情報がそろった状態になります。
加えて、AIの進化で脆弱性を見つける作業そのものが速くなっています。AIが脆弱性の発見や攻撃の手順を手伝うようになった現実は、以下の記事で解説しています。
AIサイバー攻撃の現実——Claude Mythosが証明した脅威と、企業が今すべき対策
攻撃する側の手間が減るなら、守る側は「修正が出たらすぐ入れる」という当たり前の動きを速くするしかありません。ここで押さえておきたい注意点をまとめます。
- 「悪用報告なし」は「安全」ではない — 今は悪用が確認されていないだけで、公開後に狙われる可能性はある
- 更新の通知を装った詐欺に注意 — 更新は必ず「設定」アプリから行う。メールやSMSのリンク、Webページの「ウイルス検出」表示から更新しない
- iPadも忘れない — 会議室の受付や店舗のレジに置いたiPadは、誰も更新を担当していないことが多い
- 更新できない旧機種は買い替えの検討を — iOS 18にとどまる端末は修正の件数も限られる。業務で使うなら入れ替えの計画を立てる
更新の注意喚起や案内は、公式サイトや公式アカウントで確かめるのが安全です。更新の手順はAppleのサポートページに書かれた通りで、外部のサイトで何かを入力する必要はありません。
まとめ
- 何が出たか — AppleがiOS 26.7.2を公開し、iPhone 11以降で134件の脆弱性を修正した
- どんな穴か — 細工された画像やWebページで任意のコードを実行されるおそれがある穴を含む
- どう更新するか — 充電とWi-Fiを確保して「設定→一般→ソフトウェアアップデート」から入れる
- 企業は何をするか — 社員の端末のOS版数を確かめ、更新の案内と自動アップデートを定型化する
今回の更新は、新機能のような派手さはありません。それでも、毎日持ち歩いて仕事の連絡も入っているiPhoneの穴をふさぐ、一番手軽で効果のある対策です。私のおすすめは、この記事を読み終えたらまず自分のiPhoneを充電器につないで更新を始めること、そして会社では自動アップデートをオンにする呼びかけを今週中に出すことです。
参考資料
- *1 Apple「About the security content of iOS 26.7.2 and iPadOS 26.7.2」
- *2 Apple「About the security content of iOS 27.2 and iPadOS 27.2」
- *3 Security NEXT「Apple、「iOS 27.2」を公開 – 旧OSの更新では悪用脆弱性を修正」
- *4 セキュリティ診断PLUS「国家サイバー統括室がiOSアップデートを呼びかけ|iOS 27.2 / 26.7.2 / 18.7.11の脆弱性内容と更新手順」
- *5 Help Net Security「Apple squashes zero-day bug exploited in “extremely sophisticated” attack (CVE-2026-86950)」
- *6 Apple サポート「iPhoneやiPadをアップデートする」
- *7 iPhone Mania(sbapp.net)「iOS26.7.2アップデート内容と不具合を解説、134件の脆弱性を修正」
