日本時間2026年10月15日、Anthropicの開発者向け公式アカウント(@ClaudeDevs)が、デスクトップアプリで「たくさんのセッションを並べて回す」ための大型アップデートを発表しました*1。セッションの立ち上げが速くなり、作業を複数のセッションに分けやすくなり、それぞれが今何をしているかを常に見られるようになった、という内容です。
私自身、Claude Codeのセッションを同時に20〜30本走らせて仕事をしています。先に結論を言うと、今回の更新は「1本のAIに頼む」から「何本ものAIに仕事を割り振って自分は判断だけする」働き方への移行を後押しするものです。企業で使うなら、機能を覚えるより先に「名前の付け方」と「自分が見るべき状態」を決めておくのが効きます。
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目次
Claude Codeデスクトップアプリの大型更新とは|並列セッションを前提にした作り直し
Claude Codeのデスクトップアプリは、Claudeのデスクトップアプリにある「Code」タブのことです。ターミナルを開かなくても、手元のフォルダを指定してClaudeにコードやファイルの作業を頼み、変更点を画面で確かめられます。利用にはPro・Max・Team・Enterpriseのいずれかの有料プランが必要で、macOSとWindowsに対応し、Linuxはベータ版です*6。
Codeタブでは1つの会話が1つの「セッション」になり、セッションごとに会話履歴と作業フォルダが独立しています*2。2026年4月の刷新でサイドバーからセッションを並行して管理できるようになっていましたが*7、今回はその並列運用をさらに楽にする方向の更新です。公式の発表内容を整理すると次の通りです。
| 領域 | 何が変わったか | 現場での意味 |
|---|---|---|
| 新しいセッション画面 | 最近使ったフォルダがワンクリックで選べる | 前回の続きにすぐ戻れる |
| 保存できる環境 | 複数フォルダ・SSHホスト・クラウドなどの設定を「環境」として保存し、そこからセッションを始められる。フォルダごとにworktreeも選べる | 毎回の準備がいらなくなる |
| 子セッション(ネストしたセッション) | 並列で頼んだ作業ごとにセッションが作られ、終わると結果をメインのセッションへ返す | メインの会話が散らからない |
| 追加作業の提案 | 作業中にClaudeが追加でやるべきことを提案し、ワンクリックで別セッションにできる | 脱線せずに次の仕事を積める |
| /btw | ちょっとした質問が別タブで開き、メインの作業は止まらない | 確認のために手を止めない |
| サイドバー | 作業中のセッションと、自分の対応が必要なセッションが見分けられる | どこを見ればいいかが分かる |
| セッション内の表示 | 計画に沿って進むToDoリスト、自分が呼ばれた時の要約カード、実行場所・コンテキスト・変更点を示すサイドレール | 開いた瞬間に状況がつかめる |
公式は「試すにはデスクトップアプリを更新して新しいセッションを始めてください」と案内しています*1。特別な申し込みはいらず、アプリの更新だけで使えるのが今回の更新の手軽なところです。
新機能の使い方|始める・分ける・見るの3つで押さえる
公式の発表は「始めやすく」「分けやすく」「見やすく」の3つに整理できます。ここでは実際の操作の流れに沿って、それぞれの使い方を説明します。
始める|最近のフォルダと保存した環境から1クリックで
新しいセッション画面には最近使ったフォルダが並び、クリックするだけで続きの作業を始められます*1。複数のフォルダをまとめて扱う案件や、リモートのサーバーで動かす作業は「環境」として保存しておくと、次からはその環境を選ぶだけで済みます。
デスクトップアプリのリリースノートでは、10月8日の版で環境変数が保存済みの環境ごとに持つ形へ変わり、セッションの環境カードに「どの保存済み環境から始めたか」が表示されるようになっています*3。案件ごとに使う接続先や設定が違う会社ほど、この「環境の保存」は効いてきます。
分ける|「並列でやって」と頼むと子セッションが立ち上がる
今回いちばん大きいのがここです。Claudeに複数の作業を並列で頼むと、作業ごとに子セッションが作られ、終わったものから結果がメインのセッションに戻ってきます*1。これまでは自分で新しいセッションを開き、指示を書き、終わったら結果を拾いに行く必要がありました。
- 子セッション — 並列で頼んだ作業ごとに作られ、終わると結果をメインへ返す
- 追加作業のチップ — Claudeが作業範囲外の気付きを提案し、クリックすると別のセッションで始まる
- /btw — 進行中の作業を止めずに、横で質問だけできる
- Cmd(WindowsはCtrl)+クリック — サイドバーのセッションを2画面で並べて表示する
公式ドキュメントでも、Claudeが範囲外の修正点に気付いた時は会話の中に「タスクのチップ」として提案し、クリックすると独立した作業コピー(worktree)を持つ新しいセッションで始まると説明されています*2。メインの作業は止まらず、そのまま続きます。
見る|サイドバーで「自分の出番」だけを拾う
サイドバーでは、どのセッションが作業中で、どれが自分の対応を待っているかが分かるようになりました*1。サイドバー上部では状態・プロジェクト・環境で絞り込めるほか、プロジェクトごとにまとめて表示できます*2。
セッションを開くと、Claudeの計画に沿って進むToDoリストと、自分が呼ばれた時にそのターンを要約するカードが表示されます。何本も回していると「このセッションは何をしていたっけ」と読み返す時間が一番の無駄になるので、要約カードは地味ですが効く改善です。
画面の横にはサイドレールがあり、そのセッションがどこで動いているか、コンテキストをどれだけ使っているか、どのファイルを変えたかがまとまって表示されます*1。2つのセッションを比べたい時は、CmdキーかCtrlキーを押しながらサイドバーのセッションをクリックすると、2画面で並べて表示できます*2。片方で作業の様子を見ながら、もう片方で返事を書く、という使い方が便利です。
デスクトップアプリの基本的な使い方や、非エンジニアでも始めやすい理由は、以下の記事で解説しています。
Claude Codeデスクトップアプリの使い方ガイド|非エンジニアでも始められる10の理由
私の運用|20〜30本を回しても迷子にならない命名と状態の付け方
ここからは私の実践です。セッションを10本を超えて回し始めると、問題はAIの性能ではなく「どれが何で、どれが自分待ちか分からない」ことになります。そこで私は、セッションの名前と状態を15分おきに自動で付け直す仕組みを入れました。これで同時に20〜30本走らせても迷子にならなくなりました。
ルールは4つだけ
- 名前の形をそろえる — 「絵文字【フォルダ】内容」に統一する。例:「🔄【営業資料】A社向け提案の修正」
- 状態を絵文字で色分けする — 🔄作業中/🔍確認中/🟡確認待ち/✅完了の4つだけ
- 自分が見るのは🟡だけ — 🔄と🔍はAIに任せ、自分の判断が要るものだけ開く
- 完了は毎晩まとめてアーカイブ — ✅が付いたものは夜に一括で片付け、翌朝のサイドバーを空けておく
大事なのは、状態の種類を増やしすぎないことです。私も最初は細かく分けていましたが、見る場所が増えるほど判断が遅くなりました。「自分が動くべきかどうか」が一目で分かる4段階に絞ったのが結果的に正解でした。
作り方|定期実行タスクに15分おきで登録する
仕組みの中身は、デスクトップアプリの定期実行タスクに「全セッションを見て、名前と状態をルール通りに付け直す」というプロンプトを登録しているだけです。公式ドキュメントによると、デスクトップの定期実行タスクは手元のマシンで動き、最短1分間隔で設定できます*5。
画面のプリセットは「手動・毎時・毎日・平日・毎週」で、15分おきのような間隔は、任意のセッションでClaudeに頼めば設定できると案内されています*5。「15分おきにこのタスクを動かして」と普通の言葉で伝えれば大丈夫です。
名前の付け直しができるのは、デスクトップアプリのClaudeがほかのセッションの一覧と中身を読み、名前の変更やアーカイブまで頼めるようになっているからです*2。プロンプトの骨子は次の4点です。
- 対象 — Codeタブのアーカイブしていないセッションをすべて見る
- 判定 — 最後のやり取りから、作業中か・確認中か・私の返事待ちか・完了かを決める
- 命名 — 「絵文字【フォルダ名】内容」に付け直す。内容は20字前後で何の作業か分かるように
- 禁止 — セッションの中身や作業には手を出さず、名前の変更だけを行う
最後の「名前の変更だけを行う」は必ず入れてください。整理役のタスクがほかのセッションの作業に口を出し始めると、かえって状況が分からなくなります。役割を1つに絞るのがコツです。
入れてみて変わったこと
一番変わったのは、サイドバーを開いた時の迷いがなくなったことです。以前は名前が「新しいセッション」や作業の途中の一文のままで、どれが何の案件か開くまで分かりませんでした。今はフォルダ名と内容が並ぶので、案件ごとの進み具合が一覧で読めます。
もう1つは、自分の返事待ちで止まっているセッションの放置が減ったことです。🟡が付いたものだけを順番に片付ければよいので、会議の合間の数分でも判断を返せます。AIが待っている時間を減らすことが、並列で回す時の処理量を一番押し上げると感じています。
今回の公式アップデートでサイドバー自体に「作業中か自分待ちか」が出るようになったので、状態の絵文字は公式の表示と二重になる部分もあります。それでも私は、確認中と確認待ちを分けたいことと、名前だけで案件が分かるようにしたいことから、この仕組みを続けています。
この運用で気を付けていること
公式ドキュメントでは、Claudeがほかのセッションを見る時は既定で直近に動いた20本が対象で、アーカイブ済みのものは頼まない限り含まれないと説明されています*2。30本近く回す日は、完了したものをこまめにアーカイブして、見る対象を減らしておくのが安全です。
また、定期実行タスクから動くセッションは、デスクトップアプリのセッション間でメッセージを送ったり受け取ったりできないとされています*2。整理役には「名前を付け直す」以上の仕事、たとえば他のセッションへの指示出しは任せない前提で組むのが無難です。
定期実行をクラウドで回す方法や、パソコンを閉じても動く仕組みは、以下の記事で解説しています。
Claude Code Routinesとは?ラップトップを閉じても24時間動くAI自動化の使い方と活用事例
社内の業務フローにClaude Codeの並列運用を組み込みたい方へ。法人向けAIリスキリングサービスの導入社数No.1*の弊社デジライズが、AIコンサルティング&開発のサービス資料を無料でお送りしています。既製のAIサービスでは要件が満たせず、自社に合わせたシステム構築や環境の検討が必要な場合の進め方をまとめています。
※出典:株式会社東京商工リサーチ「法人向けリスキリングサービスに関する調査」(2026年5月/調査期間:2026年3月26日〜4月17日/調査方法:デスクリサーチおよびヒアリング/2026年3月末時点)
子セッション・プロジェクト・定期実行の違い|どれを使えばいいか
Claude Codeには「複数の作業を同時に進める」仕組みがいくつかあり、名前が似ていて迷いやすいところです。用途で整理すると次のようになります。
| 仕組み | 動く場所 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 並列セッション(手動) | 手元・SSH・クラウドなど | 別々の案件を自分で立ち上げて並べる |
| 子セッション(今回の新機能) | メインのセッションから派生 | 1つの依頼を分割して同時に進め、結果を1か所に集める |
| プロジェクト | クラウド | 1つの会話からClaudeが複数のクラウドセッションを始めて追跡する |
| 定期実行タスク(デスクトップ) | 手元のマシン | 決まった時刻・間隔で同じ作業を繰り返す。最短1分 |
| ルーティン(クラウド) | クラウド | パソコンを閉じていても動かす。最短1時間 |
公式ドキュメントでは、多数のクラウドセッションが必要な大きな仕事はサイドバーの「Projects」から始めると、Claudeが1つの会話からセッションを立ち上げて追跡してくれると案内されています*2。定期実行の最短間隔は、デスクトップが1分、クラウドが1時間です*5。
私の感覚では、日常の作業は「並列セッション+子セッション」で十分です。案件をまたぐ大きな仕事だけプロジェクトに寄せ、毎日・毎時の繰り返しは定期実行に任せる、という分け方にすると迷いません。プロジェクト機能の詳しい使い方は、以下の記事で解説しています。
Claude Codeに「プロジェクト」登場|1つの会話で複数タスクを並列実行
企業での使いどころ|並列セッションが効く3つの業務
並列セッションはエンジニアだけのものではありません。デジライズでも、資料作り・調査・社内ツールの改修を同時に走らせる使い方が増えています。効果が出やすいのは、作業が独立していて、最後に人が判断する業務です。
- 提案資料・営業資料の量産 — 顧客ごとにセッションを分け、構成案ができたものから自分が確認する
- 調査と比較 — 「この5社のサービスを並列で調べて比較表にして」と頼むと、子セッションが手分けして結果をメインに戻す
- 社内ツールの小さな改修 — 修正ごとに作業コピー(worktree)を分け、終わったものから差分を確認して取り込む
- 定型の確認作業 — 毎朝のチェックや週次の集計を定期実行に任せ、結果だけを見る
ポイントは「人の確認がボトルネックになる」ことを前提に設計することです。AIを10本回しても、確認する人が1人なら処理量は確認の速さで決まります。だからこそ私は、見るべきセッションを🟡だけに絞る運用にしました。
社内で広げる時の進め方
いきなり全員に20本回してもらう必要はありません。私が社内や研修先で勧めているのは、本数を段階的に増やしながら、つまずく場所を先に潰していく進め方です。
| 段階 | 本数の目安 | やること |
|---|---|---|
| 1. 体験 | 1〜2本 | 1つの依頼を「並列でやって」と頼み、子セッションと要約カードの動きを確かめる |
| 2. 分担 | 3〜5本 | 案件ごとにセッションを分け、保存した環境から始める習慣を付ける |
| 3. ルール化 | 5〜10本 | 名前の付け方と状態の分け方をチームで統一し、指示ファイルに書いておく |
| 4. 自動化 | 10本以上 | 名前と状態の付け直し、完了分のアーカイブを定期実行に任せる |
本数の目安は私の経験にもとづくもので、公式の推奨値ではありません。業務の中身やプランの利用上限によって適切な本数は変わるので、使用量を見ながら調整してください。
セッションごとの振る舞いをそろえるには、プロジェクトの指示ファイル(CLAUDE.md)の設計も欠かせません。並列で回すほど、指示のブレがそのまま品質のブレになります。設計の考え方は、以下の記事で解説しています。
【保存版】CLAUDE.md設計ガイド|Claude Codeが指示を無視する原因と12の設計ルール
導入前に知っておきたい注意点|利用上限・権限・パソコンの状態
便利な一方で、並列で回すからこそ気を付けたい点があります。社内で広げる前に、次の4つは確認しておいてください。
- 利用上限 — セッションを並べるほど使用量は増えます。プランの上限に早く届く可能性があるので、最初は3〜5本程度から始めて様子を見るのがおすすめです
- 権限の設定 — 定期実行タスクを手動承認のモードで動かすと、許可が必要な操作のところで止まります*5。登録直後に一度「今すぐ実行」して、必要な許可を確認しておきます
- パソコンの状態 — デスクトップの定期実行は、アプリが起動していてパソコンが起きている間だけ動きます。スリープ中の回はスキップされます*5
- アーカイブの承認 — Claudeがセッションをアーカイブする前には承認カードが出ますが、AutoモードやBypassモードでは確認なしでアーカイブされます*2。自動整理を組む時はモードを意識してください
特にアーカイブの挙動は、組織で使う場合のルール作りに関わります。完了の判定をAIに任せるなら、「アーカイブは夜の一括処理だけ」「作業中のものには触らない」といった線引きをプロンプトに明記しておくと事故を防げます。
同じ10月14日には、ターミナル版Claude Code 2.1.299で、20万トークン以上の会話を約54分放置するとキャッシュが切れる前に自動で圧縮する「idle compaction」も追加されています*4。長く開きっぱなしにするセッションが多い人には関係のある変更です。
まとめ
- 更新の中身 — 新しいセッション画面・保存できる環境・子セッション・状態が見えるサイドバーで、複数セッションの並列運用が楽になった
- 一番の変化 — 「並列でやって」と頼むだけで子セッションが立ち上がり、結果がメインの会話に戻ってくる
- 運用のコツ — 名前を「絵文字【フォルダ】内容」にそろえ、状態を4段階に絞り、自分は確認待ちだけを見る
- 注意点 — 利用上限・権限のモード・パソコンの起動状態・アーカイブの挙動を先に確認してから広げる
私のおすすめは、まず2〜3本のセッションを並べて、子セッションと要約カードの便利さを体感することです。慣れてきたら名前の付け方と状態のルールを決め、10本を超えたあたりで自動の付け直しを入れてみてください。AIの本数を増やすより「自分が見る場所を減らす」ことが、並列運用で成果を出すいちばんの近道です。
参考資料
- *1 Claude(@ClaudeDevs)「Claude Code desktop app の更新発表スレッド」
- *2 Claude Code Docs「Desktop application」
- *3 Claude Documentation「Release notes for Claude Desktop」
- *4 Claude Code Docs「Changelog」
- *5 Claude Code Docs「Schedule recurring tasks in Claude Code Desktop」
- *6 Claude Code Docs「Get started with the desktop app」
- *7 Claude Blog「Redesigning Claude Code on desktop for parallel agents」

