企業分析レポートを18時間→6時間に。コンサル会社が進めた生成AIの実務定着
株式会社グラスティ 様

導入前の課題
- 企業分析レポートの作成:ヒアリング内容の文章化から分析結果の解釈、提言づくりまでを手作業で行い、1件の業務に月1,080分(18時間)がかかっていた
- 提案・企画の下準備:提案用のデータ収集に月600分、新規事業の壁打ちに300分、提案書の骨子づくりに360分。企画に入る前の準備に時間を取られていた
- AI活用の習慣:研修前のAI利用頻度は週2日。スタートアップ時点でAIを使う業務は平均2.33件にとどまっていた
導入後の効果
- 企業分析レポートの作成:月1,080分(18時間)→ 360分(6時間)、約67%削減。月720分、年間換算で144時間の削減につながった
- 提案・企画の下準備:データ収集は600分 → 100分、新規事業の壁打ちは300分 → 50分、提案書作成は360分 → 180分。企画に使う時間を取り戻した
- AI活用の習慣:AI利用頻度は週2日 → 週5日(約150%増)、AIを使う業務は2.33件 → 4.67件(約100%増)。使い続ける中で「人の目で確かめる」意識も定着
株式会社グラスティ様では、約5か月間の生成AI研修「法人リスキリング」に取り組みました。企業分析レポートの作成時間は月1,080分(18時間)から360分(6時間)へと約67%短縮。AIを使う業務は約2倍に増え、利用頻度も週2日から週5日へと伸びています。
「使い方は人それぞれ」という状態から、会社として仕事の進め方にAIを組み込む段階へ。人的資源開発やファミリービジネスの支援を手がけるコンサルティング会社が、どのように活用を広げたのかをご紹介します。
会社紹介

株式会社グラスティ様は、2006年6月設立、東京都渋谷区に本社を置くコンサルティング会社です。「人的資源開発コンサルティング」「ファミリービジネスコンサルティング」「プロジェクトマネジメント」に加え、映像・マルチメディアの企画・制作を事業の柱としています。福岡にもオフィスを構え、企業の変革と組織づくりを支援しています。

社名の「グラスティ」は、gratitude(感謝)と honesty(誠実)を合わせた造語です。企業理念には「ヒトが成長し、一人一人が持つ力を発揮できる場を創る」「お客様の永く続く事業つくりを通して、地域社会に貢献する」を掲げ、スローガンは「100年先の会社と家のために。」。永続的に成長する会社づくりを、感謝と誠実な姿勢で支えることを使命としています。
生成AI導入前の課題感
同社の仕事は、企業へのヒアリングやアセスメント結果をもとに、分析と提言をまとめ、変革の取組みを進めていきます。そのため、分析、提言のまとめの精度を上げるための、文章化や調査、提案書の骨子づくりといった下準備に、多くの時間が費やされていました。
受講者のAI利用頻度は、研修前で週2日。AIを使う業務の数も、スタートアップMTG時点で平均2.33件でした。「使ったことはあるが、業務の中心には置いていない」という段階です。
具体的に重かったのは、次のような業務です。企業分析レポートの作成は月1,080分(18時間)、提案用データの収集は月600分、提案書の作成は月360分、新規事業の壁打ちは月300分。いずれも「考える仕事」の手前にある準備作業が、時間を大きく占めていました。
実施内容 ― グラスティ様ならではの取り組み
研修は2026年2月から7月までの約5か月間。動画学習と合同ワークショップ、個社別のMTGを組み合わせて進めました。
- スタートアップMTGで受講の目的を整理
全体のスケジュールと受講の目的を確認し、Copilotと学習システムの操作を説明しました。 - 動画学習30本(10時間以上)と合同ワークショップ全4回
AIの基礎から応用までを動画で学び、1回1.5時間のワークショップで実践しました。プロンプトの基礎、画像生成とファイル解析、実務で使える活用術(基本編・応用編)と、回を追って難度を上げています。 - ブレイクアウトルームでの個別支援
ワークショップの「速さ」に戸惑う声を受け、少人数で個別の業務に即して相談できる時間を厚くしました。企画書の作成や、Excelを使った分析など、同社の業務そのものを題材に進めています。 - 実務に即した「活用支援MTG」
各自の実務をヒアリングした上で、活用方法をレクチャーしました。研修中には、請求書のPDFから数字を抜き出してExcelへ転記する作業の自動化など、日常業務に直結する活用も生まれています。 - 中間報告・最終報告MTGで数値を共有
学習状況とアンケート結果を節目ごとに共有し、活用業務の登録と削減時間の試算まで行いました。
生成AI活用の効果
最も大きな変化があったのは、企業分析レポートの作成です。ヒアリング内容の文章化、アセスメントシートの分析結果の文章化、全体の解析と提言づくりまでをAIに支援させることで、月1,080分かかっていた作業が360分になりました。
企業分析レポートの作成時間は、18時間から6時間へ、約67%の短縮です。この1業務だけで、年間換算では144時間の削減につながります。
主要KPIの変化
AIを使う業務の数は、スタートアップMTG時点の2.33件から、最終回の4.67件へと倍増しました。途中、ワークショップ第3回のExcel分析で満足度が3.5まで下がる場面もありましたが、役立ち度は満点を記録し、最終回の満足度は4.33へ回復しています。
業務別 Before/After(削減時間の上位5件)
| 業務 | Before | After | 削減 |
|---|---|---|---|
| 企業分析レポートの作成 | 1,080分 | 360分 | 720分 |
| 書棚書類リストの作成・入庫用フォーム化 | 800分 | 100分 | 700分 |
| 提案用データの収集 | 600分 | 100分 | 500分 |
| 新規事業提案用の壁打ち | 300分 | 50分 | 250分 |
| 提案書の作成 | 360分 | 180分 | 180分 |
上位に並ぶのは、企画やレポートといった専門性の高い業務です。書類の整理のように作業量の大きい業務から、分析や提案のように思考を要する業務まで、幅広く削減が生まれています。
登録された業務の数字から、導入前後の変化を月間の目安として並べてみます。
- 企業分析レポートを、ヒアリングの文章化から提言まで手作業で。月に1,080分
- 提案用のデータ収集に、月に600分
- 新規事業提案用の壁打ちに、月に300分
- 契約書のチェックに、月に120分
- AIに叩き台を作らせ、手を入れて360分
- AIを使ってデータを集め、100分
- AIを壁打ち相手にして50分
- AIを併用して30分
受講後の感想には、学び方への手応えが表れています。
E-learningとワークショップの組み合わせで、全体の理解が進んだ。
受講者アンケートより
動画で基礎を押さえ、ワークショップで手を動かす。この組み合わせに加え、少人数での個別相談が理解を後押ししました。
グループワークは少人数だったので、実際に利用してみての使い方、質問などに答えていただけたので、とても役に立ちました。
受講者アンケートより
一方で、使い込むほどにAIの限界も見えてきました。受講者からは、AIの完成度は6〜7割と感じており、人の目で再確認する必要性を自覚できたことが大きな収穫だったという声も聞かれました。丸ごと任せるのではなく、任せる部分と人が見る部分を分ける。その線引きが、同社の活用の特徴です。
沼のように深いAIの世界の表面を体験できた4回+フォローM。自分次第でいくらでも掘れると確信。もっといろいろ試して身に着けたいと思えるきっかけをいただきました
受講者アンケートより
研修は「AIの使い方を覚える場」から、「自分の業務でさらに掘り下げる起点」へと位置づけが変わりました。
今後の展望
研修で生まれた活用を一過性で終わらせず、会社の仕事の進め方として根づかせていく段階に入っています。
- 削減した時間を、付加価値の高い仕事へ
創出した時間を、付加価値を生む業務にどう充てるか。これからの重要なテーマです。 - 学んだ活用の、さらなる深掘り
まだ試せていない活用や、エージェント機能など、研修で触れた内容を自分たちの業務に落とし込んでいきます。 - 会社としてAIを活かした仕事の進め方へ
個人の工夫にとどめず、会社全体でAIを前提にした仕事の進め方を推進していく方針です。
「100年先の会社と家のために。」というスローガンのもと、お客様の永続的な成長を支えてきた同社。その支援の質と速さを高める道具として、生成AIが日々の仕事に根づき始めています。



