チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

ついに、OpenAIの最新動画生成AI「Sora2」がAPIとして公開されました。

これまで一部のクリエイターにしか解放されていなかった世界最高峰の映像生成AIが、自社のサービスやアプリに直接組み込めるようになったのです。これは、誰もが映像クリエイターになれる時代の本格的な幕開けを意味します。

この記事では、Sora2 APIで「何ができるのか」「どう使うのか」、そして「ビジネスにどんな革命をもたらすのか」を、初心者にも分かりやすく解説します。


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Sora2 API発表の概要と背景

Sora2がついにAPIとして公開!

OpenAIは、最新の動画生成AIモデル「Sora2」のAPIプレビュー版を公開しました。これにより、開発者や企業は自社のアプリケーションやサービス内で、Sora2の高性能なビデオ生成機能を直接利用できるようになります。

これまで一部のクリエイターに限定されていたSora2の力が、APIを通じて広く解放されたことは大きな意義を持ちます。開発者はテキストの指示(プロンプト)や画像をもとに、プログラムを通じて動的で詳細なビデオクリップを生成、拡張、リミックスすることが可能になりました。これは、単なるツールとしての進化に留まらず、コンテンツ制作のあり方そのものを変える可能性を秘めています。

動画生成AIがもたらす新しい時代の始まり

テキストから動画を生成できる技術は、誰もが映像クリエイターになれる時代の到来を告げています。OpenAI DevDayの基調講演では、AIはアイデアを製品にするまでの時間を劇的に短縮し、今や「ビルダーになるための史上最高の時代」が訪れていると語られていました。

Sora2 APIは、この流れをさらに加速させます。おもちゃメーカーのMattelが、デザイナーのスケッチから製品のコンセプト動画を迅速に作成した事例のように、専門的な映像制作スキルがなくても、アイデアさえあれば高品質なビジュアルコンテンツを生み出せるようになります

Sora2発表時との違いと今回の注目ポイント

Sora2は、前作Soraから進化した第2世代のモデルです。今回最大の注目ポイントは、何と言ってもAPIとして初めて開発者に公開された点です。

さらに、Sora2 APIには以下のような強力な機能が実装されています。

  • リアルで同期されたサウンド: 映像に合わせた環境音や効果音、豊かなサウンドスケープを自動で生成します。
  • 高い制御性: 詳細なプロンプトを理解し、スタイル、構成、正確性を維持したまま動画を生成できます。
  • リミックス機能: 既存の動画や画像を参照し、その構図や雰囲気を引き継ぎながら新たな動画を生成することが可能です。

これらの進化により、開発者はよりクリエイティブで質の高い動画コンテンツを自在に制作できるようになりました。

Sora2 APIの基本仕様とできること

テキストから動画を生成する「video-generation API」

Sora2 APIの核となるのは、自然言語のテキストや画像から動画を生成する機能です。開発者は POST /videos エンドポイントを呼び出し、プロンプトで動画の内容を指示するだけで生成ジョブを開始できます。

APIでは、用途に応じて2つのモデルを選択できます。

  • sora-2: スピードと柔軟性を重視したモデル。素早いフィードバックが必要な試作段階や、SNSコンテンツの制作に適しています。
  • sora-2-pro: より高品質な、プロダクションレベルの出力を求める場合に使用します。高解像度の映像やマーケティング素材に最適です。

短尺でも高品質な動画生成

Sora2 APIは、seconds パラメータで「4秒」「8秒」「12秒」のいずれかの動画長を指定できます。生成される動画は、リアルで同期されたサウンド付きの高品質なビデオです。短いクリップでありながら、被写体の自然な動きや詳細なシーンを描写できます。

画像や既存動画を参照して作る「リミックス機能」

APIには、単にテキストから生成するだけでなく、ビジュアル参照を用いる強力な機能が備わっています。

  • 画像参照: 入力画像を動画の最初のフレームとして使用できます。これにより、特定のキャラクターデザインやブランドアセット、背景などの一貫性を保ったまま動画を生成することが可能です 。
  • リミックス: 既に生成した動画をベースに、プロンプトで「モンスターの色をオレンジに変えて」といった具体的な変更指示を加えることで、元の動画の構成を維持しつつ部分的な修正を行えます 。

APIの使い方はシンプル

動画生成は、主に4つのパラメータ(model, prompt, seconds, size)を設定してAPIを呼び出すだけで開始できます

JavaScript

import OpenAI from 'openai';

const openai = new OpenAI();

let video = await openai.videos.create({
    model: 'sora-2',
    prompt: "A video of the words 'Thank you' in sparkling letters",
    seconds: "4",
    size: "1280x720"
});

生成プロセスは非同期で行われ、ジョブのステータスを確認しながら完了を待ち、最終的にMP4ファイルとしてダウンロードします

良い動画を作るためのプロンプト設計のコツ

短く、具体的に伝えるのがポイント

良い動画を生成するためには、プロンプトの書き方が非常に重要です。「何を撮りたいか」を明確に伝えるため、ショットの種類、被写体、アクション、設定、照明といった要素を具体的に記述することが推奨されています

例えば、「美しい夜の通り」といった曖昧な表現ではなく、「濡れたアスファルト、横断歩道、水たまりに反射するネオンサイン」のように、目に見える結果を指し示す名詞や動詞を使うことで、より一貫性のあるクリアな出力が得られます

シーンごとに書くと自然な映像になる

1つの動画に複数のアクションやカメラワークを含めたい場合、それぞれのショットを明確に区切って指示することが有効です 。理想的には、「1つのショットに1つの明確なカメラの動きと、1つの明確な被写体のアクション」を割り当てることで、モデルが指示を理解しやすくなります。

例えば、「俳優が部屋を横切る」という指示よりも、「俳優が窓まで4歩歩き、一呼吸おいて、最後の1秒でカーテンを引く」と記述する方が、タイミングが正確で実現可能な動きになります。

画像や写真をうまく使う

テキストだけでは伝えきれないキャラクターの見た目や背景の雰囲気を維持したい場合、画像参照機能が非常に役立ちます。参照画像を動画の最初のフレームとして固定することで、ショットをまたいでキャラクターやセットデザインの一貫性を保つことができます。参照画像は、写真、デジタルアート、あるいは他のAIで生成したビジュアルなど、様々なものが利用可能です。

日本語でも英語でもOK、でも書き方にコツあり

Sora2 APIのプロンプトは、特定の言語に限定されていません。しかし、どの言語を使うにせよ、成功の鍵は「明確さ」にあります。

日本語で書く場合は、曖昧な表現を避け、簡潔で具体的な言葉を選ぶことが重要です。英語の場合は、文法的に正確で、意図が明確に伝わる表現を心がけると良いでしょう。言語を問わず、モデルに創造の余地を与えつつも、譲れない核心部分は具体的に記述するバランスが求められます。

参考:Sora2プロンプトガイド

Sora2 APIがもたらす戦略的インパクトと今後の展望

企業が動画生成を“自社の武器”にできる時代へ

Sora2 APIの登場により、企業は動画生成を内製化し、強力な競争優位性を築くことが可能になります。SNS用の短尺動画や広告コンテンツ、教育・研修用ビデオ、ECサイトの商品紹介動画など、これまで外部委託や専門チームに頼っていた制作業務を、低コストかつ迅速に行えるようになります。Mattelの事例が示すように、製品のアイデア出しからマーケティングアセットの作成まで、あらゆるビジネスプロセスが加速するでしょう。

動画制作コストが劇的に下がる

高品質な「プロダクションレベル」の動画 (sora-2-pro) をAPI経由で生成できることは、動画制作のコスト構造を根底から覆す可能性があります。撮影機材、スタジオ、俳優、編集スタッフなど、従来必要とされた多くのリソースをAIで代替・補完できるようになり、時間と費用の両面で劇的なコスト削減が期待できます。

フェイク対策とルールづくりが重要に

高精度な動画を誰もが生成できる時代には、倫理的・法的なリスクへの配慮が不可欠です。OpenAIは、この点を重視しており、Sora2 APIには厳格なガードレールが設けられています。

  • 著作権: 著作権で保護されたキャラクターや音楽の生成は権利者によって管理されます。
  • 実在の人物: 公人を含め、無断で実在の人物を生成することはできません。
  • 不適切なコンテンツ: 18歳未満の視聴者に適さないコンテンツは制限されます。

このようなルールを遵守し、技術を責任ある形で利用することが、今後の普及における重要な課題となります。

AI開発企業が支援できる新しい領域

Sora2 APIの普及に伴い、AI開発企業には新たなビジネスチャンスが生まれます。プロンプトエンジニアリングの専門知識を活かした「プロンプト設計支援」や、生成された動画の品質を評価・管理する「品質検証サービス」、企業がAIを安全かつ効果的に活用するための「社内AI研修」などの需要が高まることが予想されます。

次のステージは“生成クラウド競争”へ

OpenAIがSora2 APIを公開したことで、動画生成AIをめぐる開発競争は新たなステージに突入します。Google、Meta、Runwayといった競合他社も独自のモデル開発とプラットフォーム化を推進しており、今後は各社が提供するAPIやサービスを核とした「生成AIエコシステム」の覇権争いが激化するでしょう。開発者や企業は、それぞれの特徴やコスト、使いやすさを比較検討し、自社の目的に最適なプラットフォームを選択していくことになります。

まとめ ― Sora2 APIが切り開く新しい動画時代

Sora2 APIの公開は、単なる技術的なアップデートに留まらず、クリエイティブ産業全体に大きな変革をもたらす歴史的な一歩です 。開発者、クリエイター、そしてあらゆる企業が、かつてないほど簡単かつ迅速に、自らのアイデアを映像という形で表現できる時代が始まりました。

プロンプト一つで世界を創造し、画像一枚から物語を紡ぎ出す。Sora2 APIは、私たちの想像力を拡張し、動画コンテンツの未来を再定義する強力なツールとなるでしょう。この新しい時代の波に乗り遅れることなく、その可能性を最大限に引き出すための準備を始めることが、今まさに求められています。

デジライズでは、生成AIの導入支援を行っています。個別のミーティングで業務内容をヒアリングし、現場で本当に使えるAI活用法を一緒に考えるところからスタートします。導入後の研修や活用支援まで一貫して伴走いたしますので、AI担当者がいない企業様でもご安心ください。

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まずは情報収集からでも歓迎です。ご興味のある方は、以下のリンクからお気軽にお問い合わせください。

この記事の著者 / 編集者

チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

法⼈向けのAI研修、及び企業向けChatGPTを開発する株式会社デジライズをはじめ、他数社の代表取締役。一般社団法人生成AI活用普及協会評議員を務めながら、GMO AI & Web3株式会社など他数社の顧問も兼任。NewsPicksプロピッカーも兼任。Twitterはフォロワー16万⼈。⽇本初AIツール検索サイト「AI Database」やAIとの英会話ができる「AI英会話」など複数のAIサービスも開発。ABEMAやTBSテレビなどメディア出演も多数。