チャエン

株式会社デジライズ 代表取締役

チャエン

「この動画、本当に人間が撮ったもの?」

SNSをスクロールしていて、そんな疑問を抱いたことはありませんか?VeoやSoraといったAI動画生成ツールの進化は、正直言って衝撃的です。もはや見た目だけでは、人間が撮影した映像とAIが生成した映像を見分けることが難しくなってきています。

今回は、この問題に対するGoogleの回答——GeminiアプリでのSynthID検証機能について徹底解説します。

実際に動画をアップロードして検証してみた結果も含めて、「何ができて、何ができないのか」を明確にしていきます。この記事を読み終える頃には、GeminiでのAI動画判定を自分で試せるようになっているはずです。


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いま「AI動画判定」が必要になっている理由

AI生成動画が増えて「見た目だけでは判断が難しい」

2025年5月、GoogleがI/O 2025で発表したVeo 3は、業界に衝撃を与えました。テキストプロンプトだけで、会話・BGM・効果音まで含んだ8秒間の動画を生成できます。しかもリップシンク(口の動きと音声の同期)まで自然にこなすのです。

OpenAIのSora2、RunwayのGen-4.5など、他のプレイヤーも次々と高品質な動画生成AIをリリースしています。SNSのタイムラインには、もはや「これAI?」と思わせる動画が溢れています。

問題は、これがフェイクニュースや詐欺に悪用されるリスクがあるということです。実在しない人物が実在しない発言をする動画——それが本物に見えてしまう時代が来ています。

判定ツールがあっても「結果の解釈」でつまずきやすい

「AI検出ツールを使えばいいじゃん」——そう思うかもしれません。でも、実際に使ってみると分かります。

「検出されませんでした」と出た場合、それは「本物」という意味なのでしょうか?

答えはNoです。これが多くの人がつまずくポイントであり、この記事で徹底的に解説していく部分でもあります。

Geminiの「SynthID」とは

SynthID=Google由来の「見えない透かし(電子透かし)」という考え方

SynthIDは、Google DeepMindが開発した電子透かし技術です。AIが生成したコンテンツ(画像・音声・テキスト・動画)に対して、人間には見えない・聞こえない形で「これはAI生成です」というマーカーを埋め込みます。

SynthIDはこれまでに1,000億を超える画像・動画と6万年分の音声に電子透かしを施してきたとGoogleは発表しています。Veo 3、Imagen 4、Lyria 2によって生成されたコンテンツにも、引き続きSynthIDの透かしが付与されます。

ポイントは「見えない」ということです。クロップ(切り取り)、フィルター追加、圧縮、速度変更といった一般的な編集を経ても残存しやすいよう設計されています。

Geminiは何を検証している?

GeminiアプリでのSynthID検証機能は、アップロードされた動画に対して以下をチェックします。

  1. 音声トラックにSynthIDの透かしがあるか
  2. 映像トラックにSynthIDの透かしがあるか
  3. 透かしが検出された場合、どの区間で検出されたか

例えば「10秒〜20秒の音声でSynthIDを検出。映像では検出されませんでした」といった形で、具体的なセグメント情報も返ってきます。

GeminiでAI動画を判定する手順(スマホ・PC共通で迷わない)

事前に確認すること(対応・制限)

この機能を使う前に、以下の制限を押さえておきましょう。

項目制限内容
ファイルサイズ100MB以下
動画の長さ1本あたり90秒以内
1日の上限合計5分まで(約10回)
必要なアカウント個人用またはWorkspaceアカウント(ログイン必須)
対応地域・言語Geminiアプリがサポートする全言語・全国で利用可能

ポイント: 動画は1本ずつしかアップロードできません。複数の動画をコラージュしたものは検証できないので注意してください。

実際の操作手順(アップロード→質問→結果確認)

PC・スマホどちらでも手順は基本的に同じです。以下の流れで進めていきます。

  1. Geminiアプリにアクセスgemini.google.com またはアプリ)してログイン
  2. 「ファイルを追加」ボタンをクリック
  3. 動画ファイルをアップロード(デバイスやGoogleフォトGoogleドライブなどを選択可能)
  4. 以下のような質問を入力して送信
    • 「この動画はGoogle AIによって作成または編集されたもの?」
    • 「これはAIで生成されたもの?」
    • ショートカット:「@synthid」と入力するだけでも検証を開始できます

判定結果の読み方(ここが一番重要)

結果は大きく3パターンに分かれます。それぞれの意味を正確に理解しておきましょう。

「検出された」場合にわかること/わからないこと

✅ わかること

  • その動画(または音声・映像の一部)は、Google AIモデルによって作成または編集された
  • 検出された区間(例:「10秒〜20秒の音声」)が具体的に分かる

わからないこと

  • 動画の「全体」がAI生成かどうか(区間表示はあくまで「その区間で検出された」という意味)
  • どのツール(Veo 3なのかImagen 4なのか等)で生成されたか

「検出されない」場合の注意点(=本物認定ではない)

これが最も誤解されやすいポイントです。

「SynthIDの透かしが検出されませんでした」という結果が出た場合、それは以下のいずれか(または複数)を意味します。

  1. Google AI以外のツール(Sora、Runway、Kling等)で生成された可能性
  2. 人間が撮影した本物の動画である可能性
  3. 編集・再エンコード・トリミングによって透かしが劣化・消失した可能性

つまり「検出されない=本物」ではありません。 この点を理解していないと、誤った判断をしてしまいます。

区間表示・音声/映像の違いをどう理解するか

Geminiの検証結果は、音声と映像を別々に評価します。例えば、

「0秒〜8秒の音声でSynthIDを検出。映像では検出されませんでした」

この場合、音声部分はGoogle AIで生成された可能性が高いですが、映像部分は実写、他社AI生成、編集で透かしが消えた、のいずれかということになります。

また、区間表示は「その区間のすべてで検出された」という意味ではない点にも注意してください。あくまで「その区間のどこかにSynthIDが含まれている」という情報です。

AI動画の判定はツール選びだけでなく、生成AI全般の仕組みを理解しておくことが重要です。以下のガイドでは、生成AIの基礎から業務活用まで体系的にまとめています。

【検証】VeoとSoraの動画をGeminiに入れてみた

検証の前提(用意した動画・条件・評価観点)

今回の検証では、Veo 3.1で作成した動画とSora2で作成した動画を使用しました。

結果

Veo 3.1で生成した動画

予想通り、映像にSynthIDが検出されました(音声なし動画)。なお、Veo 3.1で生成された動画には、目に見える「Veo」ウォーターマークも追加されます(UltraメンバーがFlow内で生成した場合を除く)。これはSynthIDとは別のレイヤーで、肉眼でも確認できる透かしです。

Sora2 で生成した動画

SynthIDは検出されませんでしたが、Geminiは画面に映ったOpenAIのロゴを指摘してくれました。これはSynthID検証の結果ではなく、Geminiが映像を画像として認識したうえでの推測です。ただし、ロゴを消せる形で生成した場合は、この手がかりでの判別も難しくなるでしょう。


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Gemini判定の精度と限界

得意なケース/苦手なケース

✅ 得意なケース

  • Veo、Imagen、Lyria等のGoogle AIで生成されたコンテンツ
  • 軽度の編集(クロップ、圧縮、フィルター追加)を経たコンテンツ
  • 音声と映像の両方がGoogle AI由来のコンテンツ

❌ 苦手なケース

  • 他社AI(Sora、Runway、Kling等)で生成されたコンテンツ
  • 徹底的にリライト・再エンコードされたコンテンツ

AI生成でも検出されないことがある理由

Google公式ヘルプによると、以下のような場合にはAI生成であっても検出されないことがあります。

  1. 「透かしを入れるほどの詳細情報がない」:非常にシンプルなコンテンツや抽象的なコンテンツの場合
  2. 「編集部分が小さすぎる」:変更が軽微な場合、検出可能な透かしが残らない可能性がある

また、何度も編集や変換を繰り返すと、透かしが徐々に劣化して検出されなくなることもあります。

安全側に倒すための補助チェック

SynthID検証だけでは心もとない場合、以下の補助的なチェックポイントも活用しましょう。

  • 視覚的なアーティファクトを探す: 手・歯・背景の細部にエラーがないか、光と影の方向が一致しているか
  • 画像検索を使う: Google画像検索等で元の画像や類似画像を検索し、出所を確認
  • メタデータを分析: 元のファイルにカメラ情報や編集ソフトの痕跡がないか確認
  • 複数の情報源で確認: その動画は他の信頼できるソースでも報道されているか?

SynthIDが使えない場合の目視チェックリスト

SynthIDはGoogle AI(Veoなど)で生成された動画にしか対応していません。Sora・Runwayといった他社AIが出力した動画や、透かしが意図的に除去された動画は「検出されませんでした」と表示されるだけで、「本物」と断定できるわけではありません。そのため、SynthIDの判定結果とあわせて、目視でも確認しておきましょう。

AI動画かどうかを見分けるうえで確認したいポイントには、次のようなものがあります。判定結果が出にくいケースでの目安として活用してください。

①手・指・歯の描写

現時点のAI動画が最も崩れやすい部位です。指が6本以上あったり、関節の曲がり方が不自然だったりするケースが多く見られます。歯が動画の途中で増減するパターンも典型的な兆候です。静止した画像では分かりにくくても、動いている部分を0.25倍速で確認すると崩れが見えやすくなります。

②物理現象の挙動(水・煙・布・炎)

液体の流れ、煙の広がり方、布のなびき方に物理的な矛盾が見られることがあります。水が重力に逆らって流れる、炎の形が突然別の形状にリセットされるといった挙動は、人間が作ったCGでは起きにくいものです。自然現象が映る屋外シーンは、特に見分けやすい部分です。

③背景の一貫性

カメラが動いた瞬間に建物の形状が変わる、背景の文字が読めない、奥行き感が突然なくなる、といった変化はAI動画でよく見られます。特にテキスト(看板・字幕・道路標識)は、AI生成では意味のある文字列にならないことが多くあります。

④音声と口の動きの同期

人物が発話しているシーンで唇の動きと音声がずれている場合は、AI合成音声を後付けしているか、映像自体がAI生成である可能性が高くなります。ニュース映像や著名人を使ったディープフェイクで多く見られる手口です。

⑤フレームの切れ目での不連続

動画生成AIは一定のフレームごとに生成を行うため、シーンの繋ぎ目でオブジェクトが突然消える・増える・別の形になるといった不連続が起きることがあります。動画の途中で再生を一時停止しながら確認すると気付きやすくなります。

これらのポイントは「すべて当てはまればAI、一つもなければ本物」という二択で判断できるものではありません。あくまで判定の確度を上げるための参考基準です。精巧なディープフェイクはこれらの兆候を意図的に抑えて作られることもあるため、目視だけを根拠に断定するのは避けるのが無難です。


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デジライズでは、ChatGPT・Geminiをはじめとした生成AIの法人研修を行っています。あなたの業務内容を丁寧にヒアリングし、現場で本当に価値を発揮するAI活用法をゼロから一緒に形にしていきます。AIの専門家が実務への定着まで伴走しますので、社内にIT専門の担当者がいない企業でも安心して導入を進めていただけます。

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まとめ

GeminiのSynthID検証機能は、AI動画の真偽を判断するための一つの有力な手がかりを提供してくれます。ただし、以下の点を忘れないでください。

  • 検出される=Google AI生成の可能性が高い
  • 検出されない≠本物(他社AI生成や編集による劣化の可能性あり)
  • 補助的なチェック(視覚的アーティファクト、メタデータ、複数情報源での確認)と組み合わせることで精度が上がる

AI動画がますますリアルになる中で、こうした検証ツールの重要性は高まる一方です。まずは自分で試してみて、「できること・できないこと」の感覚を掴んでみてください。

デジライズでは、生成AIの導入研修を行っています。個別のミーティングで業務内容をヒアリングし、現場で本当に使えるAI活用法を一緒に考えるところからスタートします。実際に使えるように、AIの専門家が伴走いたしますので、AI担当者がいない企業様でもご安心ください。

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参考リンク(公式情報)

Google公式ブログ:Geminiアプリでの動画検証について
Google公式ヘルプ:SynthID検証の要件・制限・使い方
Google DeepMind公式:SynthIDの概要

この記事の著者 / 編集者

チャエン

株式会社デジライズ 代表取締役

チャエン

法⼈向けのAI研修、及び企業向けChatGPTを開発する株式会社デジライズをはじめ、他数社の代表取締役。一般社団法人生成AI活用普及協会評議員を務めながら、GMO AI & Web3株式会社など他数社の顧問も兼任。NewsPicksプロピッカーも兼任。Twitterはフォロワー16万⼈。⽇本初AIツール検索サイト「AI Database」やAIとの英会話ができる「AI英会話」など複数のAIサービスも開発。ABEMAやTBSテレビなどメディア出演も多数。