チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

「AIで動画を作りたいけど、難しそう…」「無料でサクッと試せる動画生成AIがあればいいのに…」

こんな悩みを抱えている人に、とんでもない朗報です。Microsoftが、Copilotに無料の動画生成AI機能「Bing Video Creator」を搭載しました。しかも、あのSoraの技術を使っているというのだから驚きです。

この記事では、「Bing Video Creator」で何ができるのか、どう使うのか、そして他のAIと何が違うのかを、公式情報を基に徹底的に解説します。

この記事を読めば、あなたもAI動画生成の第一歩を踏み出し、SNSやビジネスで“動くイメージ”を自由に操れるようになりますよ!


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ついにCopilotで“動画が作れる”時代が来た

AIで“動くイメージ”を作る。それを無料で、しかも多くの人が使い慣れたCopilot(Bing)から呼び出せるようになったのが、今回のビッグニュースです。

2025年5月、MicrosoftはCopilotプラットフォームに、完全無料の動画生成AI機能を搭載したと発表しました。これにより、テキストを入力するだけで、AIが動画を制作してくれる時代が本格的に到来したわけです。

Bing Video Creatorとは何か

今回搭載された機能は「Bing Video Creator」と呼ばれています。

これは、あなたが入力したテキストプロンプト(指示文)に基づいて、AIがそれに合った動画を自動で生成してくれるBingの製品(機能)です。

OpenAI Soraとの関係

そして最も注目すべき点は、この機能がOpenAIの最新動画生成モデル「Sora」を搭載していることです。

Soraは、その驚異的な品質で世界を驚かせたモデル。従来、Soraを利用するには月額20ドルから200ドルのChatGPTプランが必要でしたが、Bing Video Creatorなら完全無料でその高品質な動画生成を体験できるのです。

Bing Video Creatorの仕組みと料金

気になるのは「本当に無料なの?」「どこまで使えるの?」という点ですよね。結論から言うと、基本的な利用は完全に無料で、想像以上の映像が出てきます。

Standard(無料)とFast(Rewards)の違い

Bing Video Creatorには、2つの生成速度が用意されています。

  • Standard(標準)生成:
    • これは完全に無料で利用できます。
    • 生成には数分かかる場合があります。
  • Fast(高速)生成:
    • 文字通り、数秒で動画が完成する高速モードです。
    • 初回は10本の「Fast生成」が無料で提供されます。
    • その後は、100 Microsoft Rewardsポイントを消費することで、追加のFast生成が可能です。

Microsoft Rewardsポイントは、Bingでの検索などで貯められるポイントなので、実質的には無料で使い続けることも可能というわけです。

対応フォーマットと動画仕様(5秒・9:16中心)

現時点(2025年6月時点)での技術的な仕様は以下の通りです。

  • 動画の長さ: 5秒固定
  • アスペクト比: 9:16、16:9、1:1に対応。SNSのストーリーやリール、TikTokにも最適化されています。
  • 画質: 公式に明示されていません。
  • 同時生成数: 最大3本まで同時に生成処理をキューに入れることができます。

保存期間と注意点(最大90日)

生成した動画は、Bing Video Creatorの「マイクリエーション(My Creations)」セクションに保存されます。

ただし、この保存期間は最大90日間です。必要な動画は、生成後に必ずダウンロードしておくようにしましょう。

どう使う?Copilotから動画を生成する流れ

手順は拍子抜けするほどシンプル。テキストを打ち込んで待つだけで、“AIが動かす”5秒映像が届きます。

Bingアプリからの操作

現在、Bing Video Creatorはモバイルに加え、Web版でも提供されています。

基本的なアプリでの使い方は以下の3ステップです。

  1. ステップ1: アクセス
    • Bingモバイルアプリを起動します。
    • 右下のメニューから「Video Creator」を選択します。
    • または、検索バーに「Create a video of…(〜の動画を作って)」と入力することでもアクセスできます。
  2. ステップ2: プロンプト入力
    • 「Describe the video you want to create…」というボックスに、作成したい動画の説明文(プロンプト)を入力します。
  3. ステップ3: 生成
    • 「Create」ボタンをクリックすると生成が始まります。
    • 完了すると通知が届き、動画のダウンロードやSNSでの共有が可能になります。

プロンプトのコツ(動詞+スタイル+シーン)

高品質な動画を引き出すには、プロンプトにちょっとしたコツが必要です。

❌ 悪い例: 「歩く人」
✅ 良い例: 「日の出の雪の森を、赤いコートを着た若い女性が歩いている」

Microsoftが推奨するベストプラクティスは以下の通りです。

  • 詳細な描写
    「誰が」「どこで」「何をしているか」を具体的に。形容詞(例:’sunny’, ‘dreamy’)や場所、背景も重要です。
  • アクション(動詞)
    「dancing(踊る)」「exploring(探検する)」「transforming(変身する)」など、動きを表す言葉を使いましょう。
  • スタイル指定
    「animated like a cartoon(カートゥーン風アニメ)」や「in the style of a movie trailer(映画の予告編風)」、「cinematic(映画的)」といったスタイル指定も有効です。
  • カメラと照明
    「close up(クローズアップ)」、「wide angle(広角)」や、「soft lighting(柔らかい照明)」、「dusk(夕暮れ)」といった指定も品質を上げます。

Clipchampでの編集連携(横長化やカット編集)

生成された5秒の動画は、それ単体で使うだけでなく、Microsoftの無料動画編集ツール「Clipchamp」でさらに編集することが可能です。

Clipchampを使えば、以下のような編集ができます。*

  • 複数動画の結合
    • 5秒の動画を複数生成し、Clipchampでつなぎ合わせてより長い動画にすることもできます。
  • BGMやテキストの追加
    • Clipchampには豊富なロイヤリティフリー素材(音楽、画像、動画)が用意されており、AIによる字幕生成(80言語以上対応)やAIナレーション機能(テキスト読み上げ)も搭載されています。

Copilot(商用版)では、Copilotで生成したドラフト動画をClipchampで直接開いて編集する連携機能がすでに提供されており、個人向けのBing Video Creatorでも同様のシームレスな連携が期待されます。

* 出典:How to change the aspect ratio of a video

生成AI動画の“透明性”にも注目

もうひとつ重要なのは、Microsoftが動画にも“生成の証明書”を付け始めている点です。これは、AI利用における信頼性の担保、いわゆる「責任あるAI(Responsible AI)」のための重要な取り組みです。

C2PAとContent Credentialsとは

C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)は、デジタルコンテンツの「出所(Provenance)」と「信頼性(Authenticity)」を証明するためのオープンな技術標準です。

そしてContent Credentials(コンテンツ認証情報)は、このC2PA標準に基づき、コンテンツに「いつ、誰が、どのように作成・編集したか」という情報を埋め込む仕組みです。これは、食品の「栄養成分表示ラベル」のようなものだとイメージしてください。

現時点の対応状況(実装範囲と今後の方向性)

Microsoftは、Bing Video Creatorで生成されたすべてのAI動画に、このC2PA標準に基づくContent Credentialsを実装しています。

これにより、その動画がAIによって生成されたものであることが、誰でも(対応ツールを使えば)識別可能になります。AIによるフェイク動画が問題視される中、こうした透明性を確保する技術は、今後ますます重要になっていくでしょう。

どんな場面で使える?Copilot動画の実用アイデア

「5秒の動画で何ができるの?」と思うかもしれませんが、5秒あれば人の目を引くには十分です。SNSのリール冒頭に、会議の導入映像に、営業資料のワンカットに。5秒映像があるだけで“目が止まる”のです。

ビジネス用途(社内共有・ブランディング)

  • プロトタイピング: 企画会議で「こんなイメージです」とテキストで説明するより、AIで生成した5秒動画を見せる方が遥かに伝わります。
  • ブランディング: 企業のブランドイメージに合った抽象的なビジュアルを生成し、Webサイトや資料のアクセントとして使用できます。

SNS用途(TikTok・YouTubeショート)

  • 冒頭のフック: 5秒という長さは、InstagramリールやTikTok、YouTubeショートの「最初の掴み」として最適です。9:16の縦型フォーマットも、モバイル視聴に完全に対応しています。
  • ティザー広告: 新商品やイベントの告知(ティザー)動画として、期待感を煽るビジュアルを短時間で大量に生成できます。

教育/セミナー素材活用

  • 概念の視覚化: 複雑な概念や難しい理論を説明する際に、視覚的なイメージ動画を差し込むことで、受講者の理解を助けます。
  • 研修資料の魅力向上: テキストばかりの研修資料に、関連する動画を挿入するだけで、資料全体の魅力度が格段に上がります。

まとめ:AI動画生成の“民主化”が始まった

ほんの数ヶ月前まで、“AI動画”は一部の専門家やクリエイターの領域でした。それが今や、誰でもスマホひとつで、しかも無料で作れる時代になったのです。

重要なのは、これが単なる「お絵描きツール」の動画版ではない、ということです。動画生成AIの導入は、組織のクリエイティブプロセス全体の変革を意味します。

  • 創造的思考の民主化: これまで専門スキルが必要だった動画制作が、誰でも可能になります。
  • アイデアの高速実装: 思いついたアイデアを、数分で可視化し、検証できるようになります。

この無料ツールをどう使いこなし、アイデアを形にするか。これからは、ツールの使い方そのものの「質」が問われる時代になるでしょう。

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よくある質問(FAQ)

最後に、Bing Video Creatorに関するよくある質問をまとめました。

Q1. PC(デスクトップ)からでも使えますか?

A. webからでも利用できます。こちらからアクセスできます。

Q2. 商用利用はできますか?

A. MicrosoftのAIサービス規約では、「Microsoftは生成されたコンテンツの所有権を主張しませんが、そのコンテンツに関する知的財産権(商用利用の可否を含む)については、ユーザー自身が利用シナリオや法律に基づき判断する必要がある」、としています。

Q3. 生成した動画はどこに保存されますか?

A. Bing Video Creator内の「マイクリエーション」に最大90日間保存されます。生成された動画は、Bing Video Creatorの「マイクリエーション(My Creations)」セクションで一覧でき、そこからダウンロードや共有が可能です。ただし、保存期間は最大90日間のため注意が必要です 。

この記事の著者 / 編集者

チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

法⼈向けのAI研修、及び企業向けChatGPTを開発する株式会社デジライズをはじめ、他数社の代表取締役。一般社団法人生成AI活用普及協会評議員を務めながら、GMO AI & Web3株式会社など他数社の顧問も兼任。NewsPicksプロピッカーも兼任。Twitterはフォロワー16万⼈。⽇本初AIツール検索サイト「AI Database」やAIとの英会話ができる「AI英会話」など複数のAIサービスも開発。ABEMAやTBSテレビなどメディア出演も多数。