
Anthropic社が開発する「Claude」がSlackとの公式連携を開始しました。この連携により、Slackワークスペース内でClaudeに直接質問したり、会議の準備、資料作成、情報検索を行うことが可能になりました。本記事では、Slack×Claude連携の導入手順から実際の使用感、ビジネスでの活用事例まで詳しく解説します。
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目次
Slack×Claude連携で何が変わるのか
SlackでClaudeを使えるようになった
Slack×Claude連携の最大の特徴は、普段使用しているSlackワークスペース内で、高性能なClaude AIに直接アクセスできることです。従来は別のウェブブラウザやアプリを開いてClaudeを使用する必要がありましたが、この連携により作業効率が大幅に向上します。
連携による主な機能
- ダイレクトメッセージでの1対1対話
- スレッド内での@Claudeメンション
- AIアシスタントパネルからいつでもアクセス
- ワークスペース内のファイル・チャンネル検索
- Web検索*1
*1 出典:Claudeサポート
従来のMCP連携との違い
Claude×Slack連携には、これまでのMCP(Model Context Protocol)を使った従来の連携方法と、新しく提供されたSlack公式アプリという2つのアプローチが存在します。今回の新機能は、従来のClaude Desktop経由のMCP連携と比較して、大幅な利便性向上を実現しています。
連携方法 | 従来のMCP連携 | 新しいSlack公式アプリ |
---|---|---|
設定 | 手動JSON設定、MCPサーバーインストール必要 | ワンクリックでSlack Marketplaceから追加 |
利用場所 | Claude Desktopアプリ内のみ | Slack内で直接利用可能 |
対象ユーザー | 技術的な知識がある程度必要 | 一般ユーザーでも簡単に利用 |
チーム共有 | 個人単位での設定 | ワークスペース全体での共有利用 |
アクセス方法 | Claude Desktop→MCP→Slackデータ取得 | Slack内で@Claudeメンション |
「会議の準備どうする?」などの自然な質問に対して、メンションするだけで関連する過去の議事録と最新の業界情報を自動で集約してくれるのが、今回の連携の大きな特徴です。

Claude for Slackの導入手順
導入前に確認すべき条件
Claude for Slackを導入する前に、以下の条件を満たしているか確認しましょう。
必須条件
- Slackの有料プラン(Pro、Business+、Enterprise Grid)に加入している
- Claudeアカウントを所有している
- Slackワークスペースの管理者権限を持っている、または管理者の承認を得られる
- 組織のセキュリティポリシーに適合している
導入方法
最も簡単で一般的な導入方法は、Claude公式サイトの「Add to Slack」ボタンを使用する方法です。この方法なら技術的な知識がなくても数分で導入できます。
ステップバイステップ手順
- Claude公式サイトにアクセス
- Claude公式Slackページにアクセス
- 「Add to Slack」ボタンをクリック

- Slackワークスペースを選択
- 複数のワークスペースに参加している場合は対象を選択
- 権限の確認と承認
- Claudeアプリが要求する権限内容を確認
- 「許可する」をクリックして権限を付与

- Claudeアカウント連携
- 既存のClaudeアカウントでログイン
- アカウントを持っていない場合は新規作成
- 導入完了の確認
- Slackの左サイドバー「アプリ」一覧にClaudeが表示されることを確認
- @Claudeでメンションテストを実行
ClaudeをSlackで実際に使ってみた【操作と使用感まとめ】
@Claudeへのメンション操作
実際にSlackのスレッド内で@Claudeをメンションして使用した際の操作感をご紹介します。
基本的な使用方法
- チャンネルやスレッド内で「@Claude」とタイプ
- 質問や依頼内容を自然言語で入力
- Claudeが文脈を理解して適切な回答を生成
メンション機能の特徴
- スレッドの履歴を自動的に理解
- 過去の議論を踏まえた回答
- チーム議論へのリアルタイム参加

AIアシスタントパネルの活用感
Slackの右側に常時表示可能なAIアシスタントパネルは、作業中断を最小限に抑える優れた機能です。
パネル機能の利点
- 他の作業を中断せずにClaudeにアクセス
- 複数チャンネルを横断した情報収集
- プライベートな質問や相談が可能
実際の使用シーン
- スレッドの返信を考える際のアドバイス
- ファクトチェックや情報確認
- 文書作成のサポート
実際に使ってみた感想
Slack内でのClaudeは、スレッドの返信を考える際に役立ちました。AI機能に加え、ウェブ検索機能が使えるため、ファクトチェックなどにも活用できそうです。
常に右側にClaudeを表示できるため、すぐに質問することができて便利でした。ただし、モデル選択がHaiku、Sonnet、Opusといった英語名でしか選べない点が気になります。最新のClaude 4.5などは搭載されていない可能性があります。また、回答速度がやや遅いため、日常的な利用ではHaikuモデルを使用するのが良いかもしれません。
特に便利だと感じたポイント
- スレッド返信の文面のサポート
- Web検索機能による情報の正確性確認
- 作業を中断せずにAIアシスタントにアクセス可能
改善を期待したい点
- モデル選択の詳細表示
- 最新のClaudeモデル
- 応答速度
ビジネスでの活用事例

会議準備の自動化
「来週の営業会議の論点まとめて」とClaudeに依頼するだけで、関連するSlack履歴と最新の競合情報を自動で収集してくれます。過去の議事録、チーム内での議論、共有されたファイルなどを横断的に検索し、会議に必要な情報を構造化して提示。事前準備の時間を大幅に短縮できるため、より本質的な議論に集中できるようになります。
スレッド返信の作成支援
チーム内のスレッドで適切な返信を考える際、Claudeに相談することで文脈に沿った回答案を生成してもらえます。特に、技術的な説明や顧客対応が必要な場面で威力を発揮。相手の立場や過去のやり取りを考慮した、より配慮のある返信文を作成できます。
プロジェクト進捗報告書の作成
「今月のプロジェクト進捗報告書を作成して」という指示で、散らばったSlack上の情報を自動的に構造化。各チャンネルでの進捗報告、課題の議論、解決策の検討内容などを整理し、包括的な報告書のたたき台を生成します。手作業での情報収集が不要になり、報告書作成の工数を大幅に削減できます。
過去の障害対応情報の検索
「先月の障害対応はどうだった?」という質問に対して、過去のスレッドや添付ファイルから関連情報を抽出。障害の発生経緯、対応手順、解決までの時間、再発防止策などを体系的にまとめて表示します。ナレッジベースとして活用することで、同様の問題が発生した際の迅速な対応が可能になります。
ファクトチェックと情報確認
チーム内での議論で出た情報の正確性を、Web検索機能と組み合わせて即座に確認。「この競合他社の最新動向は正確?」といった質問に対して、信頼できるソースから最新情報を取得し、Slack内の議論と照らし合わせて回答します。意思決定の精度向上に大きく貢献します。
顧客対応メールの下書き作成
Slack内での顧客に関する議論や過去のやり取りを参考に、適切な顧客対応メールの下書きを作成。顧客の状況、これまでの経緯、社内での検討内容などを総合的に考慮した、個別最適化されたメール文面を提案します。顧客満足度の向上と対応品質の標準化を同時に実現できます。
導入を失敗しないためのポイント
企業におけるClaude×Slack連携の導入において、最も重要なのはデータセキュリティと適切なユーザー教育です。技術的な設定以上に、組織全体での運用体制構築が成功の鍵となります。
データ保護とモデル学習に関する保証
最も重要な点として、AnthropicはSlack内でのClaudeとの会話データをモデル学習に使用しないことを明確に保証しています。Claude公式サイトでは「Anthropic doesn’t use conversations you have with Claude in Slack to train models」と明記されており、Slack連携における会話データは学習データセットから完全に除外されています。
データの取り扱いについては以下の厳格なルールが適用されます。
データの保持と管理
Slackアプリ版Claudeでは、データの保持・削除はAnthropic側ではなくSlack側の組織ポリシーに準拠します。
つまり、会話データの保管・削除ルールは、企業が設定しているSlackの保持ポリシーに従います。
- ClaudeはSlackの既存アクセス権限を尊重して動作します。
- AnthropicがSlack外部で会話ログを独自に保存・利用することはありません。
- Slack管理者は、既存のSlack監査ログ機能を通じてアクセス範囲を監査可能です。
- Claudeアプリの権限範囲(どのチャンネルやDMにアクセスできるか)は、導入時にSlack管理者が明示的に承認できます。
例外的なデータ利用の透明性
Anthropicが会話データを使用する例外的なケースは、以下の2つの場合のみに限定されています。
- 安全性審査でフラグが立った会話(有害コンテンツ検出システムの改善目的)
- ユーザーが明示的にフィードバックとして報告した内容
これらの例外ケースでも、データは個人識別情報から切り離されて処理され、モデル学習ではなく安全性向上のみに使用されます。
ユーザー教育の重要性
Claudeを業務効率化のサポートツールとして活用することを推奨しながらも、最終的な意思決定は必ず人間が行うことを徹底する必要があります。生成された内容の事実確認は必須であり、特に顧客対応や重要な文書作成においては、Claudeの提案をそのまま使用せず、必ず内容を精査してから利用するよう指導することが不可欠です。
継続的な運用体制として、定期的な利用状況の監査と教育内容のアップデートを実施し、新入社員や部署異動者への導入研修も欠かさないようにしましょう。

SlackにClaudeを導入して業務を効率化しよう
Claude×Slack連携により、日常的なコミュニケーションツールにAIの力を統合することで、これまでにない業務効率化を実現できます。「調べる」「まとめる」「相談する」がすべてSlack内で完結するため、作業の中断を最小限に抑えながら高品質なAIサポートを受けることができます。
導入時は段階的なアプローチを取り、セキュリティ面での配慮を怠らないことが成功の鍵となります。まずは小規模なチームから始めて、効果を実感してから全社展開することをお勧めします。
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