チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

近年、ChatGPTなどの生成AIの登場・普及が世界的に話題となっているように、AIは人々の暮らしや仕事をより便利に・効率的にするツールとして大きな注目を集めています。

企業のさまざまな部門で、業務効率化や顧客体験の向上、意思決定の精度向上など、多くの用途でAIが活用されています。

「自社でもAIを活用したいけれど、何から始めればいいのかわからない」「具体的にどんな効果があるのか知りたい」そんなお悩みはありませんか?

デジライズでは、AI活用を検討している企業の皆様に向けて、AI活用事例や導入のポイントをわかりやすくご紹介します。

ご興味のある方は以下のリンクから、お問い合わせいただけます。

Google Search Liveとは?

Google Search Liveは、従来の検索の概念を根本から変える革新的な音声AI検索機能です。単純に質問に答えるだけでなく、まるで知識豊富な友人と会話しているような自然なやりとりを可能にします。

Google Search Live Interface

この機能の最大の特徴は、リアルタイムで継続的な会話ができることです。一つの質問に対する回答を受けた後、すぐに関連する追加質問を投げかけることができ、まるで専門家とディスカッションしているような体験を提供します。

Googleの公式発表によると、Search Liveは「外出中や旅行の荷造りなど、複数のタスクをこなしているときに最適」とされており、マルチタスクの現代社会において非常に実用的な機能として位置づけられています。

従来の音声検索との違い

従来の音声検索の限界

これまでの音声検索は、基本的に一問一答形式でした:

  • 質問する → 答えを聞く → 検索終了
  • 複雑な文脈の理解が困難
  • 追加質問には再度最初から説明が必要
  • リアルタイムでの情報表示が限定的

Search Liveの革新性

AI Mode Interface

Search Liveは以下の点で従来の音声検索を大きく上回ります:

  1. 継続的な会話能力:前の質問の文脈を理解し、自然な会話の流れを維持
  2. 高度な理解力:複雑な思考の流れや多段階の質問に対応
  3. リアルタイム情報表示:音声回答と同時に関連リンクを画面表示
  4. バックグラウンド動作:他のアプリ使用中も会話継続可能

技術的な進歩

従来の音声アシスタントとの最大の違いは、AIによる深い理解力にあります。Googleの説明によると、Search LiveはAIを活用することで「ユーザーのプロンプトをより深く理解できる」点が大きく異なるとしています。

Search Liveの主要機能

1. リアルタイム音声会話

Search Live Voice Mode

特徴:

  • 自然な音声での質問と回答
  • AIが生成する流暢な音声レスポンス
  • 会話の文脈を維持した継続的なやりとり

実用例:

ユーザー:「スーツケースの中でリネンのドレスがシワにならないようにするコツはありますか?」
AI:「リネンの衣類をシワから守るには、まず軽く折りたたんで...」
ユーザー:「それでもシワになったらどうすればいいですか?」
AI:「シワができてしまった場合は、蒸気を使った方法が効果的です...」

2. 同時情報表示機能

音声での回答と同時に、画面上に関連する情報やリンクがリアルタイムで表示されます:

  • 関連ウェブサイトのリンク
  • 追加の詳細情報
  • 画像や図表
  • 関連する検索候補

3. マルチタスク対応

Search Liveの革新的な機能の一つが、バックグラウンド動作です:

  • 他のアプリを使用中も会話継続
  • 移動中やながら作業での利用に最適
  • 手を使わない操作で効率的な情報収集

4. テキスト変換機能

音声でのやりとりをテキストに変換する「Transcript」機能:

  • 会話内容の文字起こし表示
  • テキストチャットへの切り替え
  • 後から内容の確認や参照が可能

実際の使用方法

初期設定

Search Liveを利用するには、以下の手順が必要です:

  1. Google Labsへの参加
  • GoogleアプリでGoogle Search Labsにアクセス
  • AI Mode実験への登録(無料)
  1. アプリのアップデート
  • Android版またはiOS版のGoogleアプリを最新版に更新
  1. 機能の有効化
  • 検索バー下の新しい「Live」アイコンをタップ

基本的な使い方

Google Search Live Demo

ステップ1:アクセス

  • Googleアプリを開く
  • 検索バー下の「Live」アイコンをタップ

ステップ2:音声入力

  • マイクボタンを押して質問を話す
  • 自然な言葉で質問を投げかける

ステップ3:AIとの対話

  • AIの音声回答を聞く
  • 画面上の関連情報を確認
  • 追加質問を続ける

ステップ4:深掘り

  • 表示されたリンクをタップして詳細情報を確認
  • Transcriptボタンでテキスト表示に切り替え

技術的仕組み

Geminiベースのカスタムモデル

Search Liveの背景技術について、Googleは以下のように説明しています:

“Search Live in AI Mode uses a custom version of Gemini with advanced voice capabilities”

技術的特徴:

  • カスタムGeminiモデル:高度な音声機能を搭載
  • 品質保証システム:Googleの検索品質システムと統合
  • クエリファンアウト技術:多様で幅広いウェブコンテンツの表示

情報の信頼性確保

Search Liveは、Googleの既存の検索品質システムを基盤としているため:

  • 信頼性の高い情報源からの回答
  • 多角的な情報提示
  • ファクトチェック機能の統合

利用可能地域と対応デバイス

現在の提供状況

地域:

  • 🇺🇸 アメリカのみ(2025年6月時点)
  • 🇯🇵 日本での展開は未定

対応デバイス:

  • Android:GooglePlayストアのGoogleアプリ
  • iOS:App StoreのGoogleアプリ

必要条件:

  • Google Search LabsのAI Mode実験への参加
  • 最新版のGoogleアプリ
  • インターネット接続

今後の展開予定

Googleは段階的な機能拡張を計画しており:

  1. 地域拡大:他国への展開(時期未定)
  2. カメラ機能:2025年中にビジュアル検索機能を追加
  3. 多言語対応:英語以外の言語サポート

具体的な活用シーン

1. 旅行計画

シーン:海外旅行の準備中

「イタリア旅行で持参すべき必需品は何ですか?」
→「現地の電圧やプラグの形状について詳しく教えて」
→「おすすめの変換プラグのブランドはありますか?」

メリット:

  • 手を使わずに詳細な情報収集
  • 関連商品のリンクも同時表示
  • 荷造りしながらの情報収集が可能

2. 料理・レシピ検索

シーン:キッチンでの料理中

「鶏胸肉を使った低カロリーレシピを教えて」
→「このレシピの調理時間はどのくらい?」
→「塩分を減らすにはどうしたらいい?」

メリット:

  • 手が汚れていても操作可能
  • 調理手順の詳細確認
  • 栄養情報の即座の取得

3. 学習・研究

シーン:レポート作成中

「人工知能の歴史について教えて」
→「機械学習と深層学習の違いは?」
→「最新のAI技術のトレンドは?」

メリット:

  • 段階的な知識の深掘り
  • 信頼できる情報源へのリンク表示
  • 複数の観点からの情報収集

4. ショッピング相談

シーン:商品選択の悩み

「ノートパソコン選びのポイントは?」
→「動画編集に適したスペックは?」
→「予算10万円以内でおすすめの機種は?」

メリット:

  • 専門知識の即座の提供
  • 価格比較サイトへのリンク
  • 用途に応じた具体的な提案

将来の展望

カメラ機能の統合

AI Mode Future Features

Googleは2025年中にカメラ機能をSearch Liveに統合予定です:

予想される機能:

  • 目の前の物体をカメラで撮影しながら質問
  • リアルタイムでの視覚情報解析
  • 音声とビジュアルを組み合わせた検索体験

活用例:

カメラで植物を映しながら
「この花の名前は何ですか?」
→「育て方のコツを教えて」
→「似た種類の花はありますか?」

多言語展開の可能性

現在は英語圏のみの提供ですが、将来的には:

  • 日本語対応:自然な日本語での会話
  • 多言語同時対応:複数言語での情報検索
  • 地域特化情報:各国の文化や習慣に応じた回答

ビジネス活用の拡大

企業向け機能:

  • 専門分野特化のカスタムモデル
  • 社内情報との連携
  • 会議中のリアルタイム情報検索

教育分野での活用:

  • 個別学習支援
  • 質問に応じた段階的説明
  • 多角的な学習アプローチ

Search Liveの技術的優位性

競合サービスとの比較

機能Google Search Live(Gemini Live)従来の音声検索*ChatGPT 音声 (GPT-4o)
継続会話(ウェイクワード不要のフォローアップ)✅ (リアルタイム 2-way)スマートスピーカーのみ 8 秒以内の追加入力可✅ (無制限の対話)
リアルタイム情報検索✅ (Web 全文検索)ブラウズ機能を ON 時のみ
ウェブリンク/ソース表示✅ (会話内カード表示)テキスト画面に引用リンク
バックグラウンド動作(他アプリ操作中も聞き続ける)✅ (iOS/Android「Background Conversations」)
カメラ入力/画像質問✅ (端末カメラをライブ共有)✅ (「see」モードで静止画解析)
マルチモーダル応答(音声+テキスト+画像)
多言語対応✅(同時多言語)▲(言語切替必要)✅(Whisper 対応 50+ 言語)
プライバシー/オンデバイス処理▲(クラウド処理中心)▲ (音声→テキストはクラウド転送)
利用価格無料 (Labs 試験中)無料Plus 以上推奨(Free も可)

独自の技術的アドバンテージ

1. 検索エンジンとの統合

  • 膨大なウェブ情報への即座のアクセス
  • 信頼性の高い情報源の優先表示
  • リアルタイムでの情報更新

2. マルチモーダル対応

  • 音声、テキスト、視覚情報の統合処理
  • 複数の情報形式での回答提供
  • ユーザーの好みに応じた出力形式選択

3. コンテキスト理解

  • 会話履歴の長期記憶
  • 複雑な質問の意図理解
  • 段階的な情報提供

セキュリティとプライバシー

データ保護措置

Googleは以下の保護措置を実装:

音声データの取り扱い:

  • 暗号化された通信
  • 最小限の音声データ保存
  • ユーザー制御可能な削除機能

プライバシー設定:

  • 会話履歴の管理機能
  • データ使用の透明性確保
  • オプトアウト機能の提供

利用時の注意点

推奨される利用方法:

  • 個人情報を含む質問の避ける
  • 公共の場での利用時は周囲への配慮
  • 定期的なプライバシー設定の確認

トラブルシューティング

よくある問題と解決策

1. 音声が認識されない

  • マイクの権限設定を確認
  • 騒音の少ない環境での利用
  • 明瞭な発音での質問

2. 回答が不正確

  • より具体的な質問への変更
  • 追加の文脈情報の提供
  • 複数角度からの質問

3. 機能が利用できない

  • アプリのアップデート確認
  • Google Labs登録状況の確認
  • 地域制限の確認

まとめ

Google Search Liveは、検索の概念を根本から変える画期的な技術です。従来の一方向的な検索から、AIとの自然な会話による情報探索への転換は、私たちの日常生活における情報収集の方法を大きく変える可能性を秘めています。

主要なメリット

  1. 効率性の向上:マルチタスク環境での情報収集
  2. 深い理解:継続的な対話による詳細な情報獲得
  3. 自然な体験:まるで専門家と会話しているような感覚
  4. 即座のアクセス:リアルタイムでの関連情報表示

今後の期待

現在はアメリカ限定の機能ですが、日本での展開カメラ機能の統合により、さらに革新的な検索体験が期待されます。AI技術の急速な発展とともに、Search Liveのような対話型検索が標準となる日も遠くないでしょう。

Google Search Liveは、まさに検索の新時代の幕開けを告げる記念すべき機能です。技術の進歩により、私たちの「知りたい」という欲求に対する答えの得方が、より自然で直感的なものへと変化していることを実感させてくれます。

この革新的な技術が日本でも利用可能になる日を楽しみに待ちつつ、AIと人間の新しい関係性の構築に注目していきたいと思います。

この記事の著者 / 編集者

チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

法⼈向けのAI研修、及び企業向けChatGPTを開発する株式会社デジライズをはじめ、他数社の代表取締役。一般社団法人生成AI活用普及協会評議員を務めながら、GMO AI & Web3株式会社など他数社の顧問も兼任。NewsPicksプロピッカーも兼任。Twitterはフォロワー16万⼈。⽇本初AIツール検索サイト「AI Database」やAIとの英会話ができる「AI英会話」など複数のAIサービスも開発。ABEMAやTBSテレビなどメディア出演も多数。