チャエン

株式会社デジライズ 代表取締役

チャエン

介護・福祉の現場で生成AIの話題が出るとき、入口はたいてい「記録」です。ケアプラン、サービス提供記録、ヒヤリハット報告、アセスメント、担当者会議録。制度上求められる書類が多く、そのぶん利用者と向き合う時間が削られていきます。

一方で、踏み出せない理由もはっきりしています。利用者の心身の状況という、極めてセンシティブな情報を扱う業界だからです。組織として使い始めるには、どこまで入力してよいか、どのサービスとアカウントを使うかを先に決める必要があります。

この記事は、介護・福祉の事業所が生成AIを「組織として」使い始めるための1本です。業界の現在地を公的統計で押さえたうえで、業務マップ、利用者情報の守り方、現場で使えるプロンプト6選、3ヶ月の導入ロードマップまでを順に扱います。


法人向けAI研修の導入社数No.1*の弊社デジライズが、生成AIの基礎知識から社内導入の6ステップ・定着のポイントまでを1冊にまとめた「はじめての生成AI社内導入ガイド」を無料で配布中です。

※出典:株式会社東京商工リサーチ「法人向けリスキリングサービスに関する調査」(2026年5月/調査期間:2026年3月26日〜4月17日/調査方法:デスクリサーチおよびヒアリング/2026年3月末時点)

介護・福祉業界×生成AIを取り巻く最新動向

介護・福祉業界×生成AIを取り巻く最新動向

どの業務から生成AIを入れるかを決める前に、業界の現在地を数字で押さえておくと判断がぶれません。人手の見通しがどうなっているか、記録のデジタル化がどこまで来ているか。この2つが優先順位を決める材料になります。

介護・福祉業界が抱える3つの構造的課題

介護・福祉業界が抱える3つの構造的課題

現場で起きていることを整理すると、課題は大きく3つに集約されます。

  1. 慢性的な人手不足 — 必要数の見通しと現場の不足感が、どちらも数字で裏づけられている
  2. 法令で定められた記録・書類の多さ — 型はある程度決まっていて、なおかつ個別事情を書き分ける必要がある
  3. 申し送り・情報共有の属人化 — 口頭とメモに依存し、担当者によって精度が変わる

1. 慢性的な人手不足

厚生労働省が第9期介護保険事業計画をもとに公表した推計では、2022年度の介護職員数 約215万人に対し、必要数は2026年度に約240万人、2040年度には約272万人とされています(厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。

現場の実感も同じ方向を向いています。介護労働安定センターの令和7年度「介護労働実態調査」では、従業員が不足していると回答した事業所が65.8%で、前年度より0.6ポイント上昇しました。職種別では訪問介護員が82.9%と最も高く、介護職員は69.8%です(令和7年度「介護労働実態調査」結果の概要)。

同じ調査で、労働条件や仕事の負担についての悩みの1位は「人手が足りない」の52.3%でした。2職種を合わせた離職率は12.4%で横ばい、採用率は14.6%と2年ぶりに上昇したものの、上昇幅は0.3ポイントにとどまり、低い水準が続いています。

2. 法令で定められた記録・書類の多さ

介護・福祉に特有なのは、書類そのものが制度に組み込まれている点です。たとえば訪問介護では、提供日と内容を記載する「サービスの提供の記録」(第19条)と、事故の状況と採った処置の記録(第37条)が運営基準で義務づけられています(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)。

必要な書類はサービス種別で異なり、介護サービス計画書について厚生労働省が示しているのは標準的な様式で、他の様式の使用を拘束するものではありません。それでも実務では、計画書・提供記録・個別支援計画・モニタリング記録といった書類が日々積み上がります。

しかもこれらは、型はある程度決まっているのに、中身は一人ひとり違う書類です。ゼロから考える創作ではなく、決まった型に個別の事情を流し込む作業——生成AIが扱いやすいのは、まさにこの形です。

3. 申し送り・情報共有の属人化

シフト交代時の申し送りや、ケアマネジャーと介護スタッフの間の情報共有が口頭と手書きメモだけに頼っていると、重要な情報が抜け落ちたり、書く人によって粒度が変わったりします。テキストの整理・要約・様式の統一は、生成AIが扱いやすい仕事です。

国の方針:厚生労働省の介護×DX推進動向

国の方針:厚生労働省の介護×DX推進動向

令和6年度の介護報酬改定では、テクノロジー導入後の継続的な活用を評価する「生産性向上推進体制加算」が新設されました(厚生労働省「令和6年度介護報酬改定生産性向上推進体制加算について」)。

区分単位数主な要件
生産性向上推進体制加算(Ⅰ)100単位/月(Ⅱ)の要件を満たし、データで成果が確認されたこと。見守り機器等のテクノロジーを複数導入。職員間の適切な役割分担の取組等
生産性向上推進体制加算(Ⅱ)10単位/月委員会の開催と安全対策のうえ、生産性向上ガイドラインに基づく改善活動を継続。見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入。年1回のデータ提供

ここで言う「見守り機器等のテクノロジー」は、①見守り機器、②インカム等、③介護記録ソフト等の3種類を指します。加算が直接評価しているのは生成AIそのものではありません。ただし、記録ソフトを含む業務基盤を整えることは、生成AIを乗せる土台づくりでもあります。

では、現場はどこまで来ているのか。厚生労働省の調査研究事業(調査は令和7年9月〜11月、19,606事業所に発出・6,875事業所が回答)の数字を並べます(結果概要報告書 p.35)。

指標数値
介護業務支援機器(介護記録ソフト等)の導入率(居住系・入所/泊まり系)56.4%(令和4年度は10.2%)
生産性向上推進体制加算(Ⅱ)の算定率(全体・令和7年8月)22.1%
生産性向上推進体制加算(Ⅰ)の算定率(全体・令和7年8月)2.7%
生成AI等のAIツール(議事録生成ソフト等を含む)の導入率8.4%

記録ソフトのような業務基盤は、確実に入り始めています。一方で、成果の確認・複数のテクノロジー導入・役割分担などを要件とする加算(Ⅰ)は2.7%、生成AI等のAIツールは8.4%。基盤はできつつあるが、生成AIはこれからというのが現在地です。

組織で使う段階へ進むときにつまずく4つの論点

組織で使う段階へ進むときにつまずく4つの論点

記録ソフトのような業務基盤の導入率は上がっていますが、生成AIを組織で使う段階へ進むには別の壁があります。事業所で挙がりやすい論点を4つに整理しました。

つまずく論点実際に起きていること
利用者情報への不安「入力したデータが学習に使われないか」が確認できず、判断を先送りにしてしまう
何から始めるか分からないAIの説明が「文章生成ができます」で終わり、ケアプランや申し送りに結びつかない
IT慣れの差管理者が関心を持っていても、現場スタッフへの広げ方が見えない
投資規模の思い込み「大規模なシステム投資が必要」と考え、手元の業務で試す発想に至らない

1つ目は、このあとの「ガバナンス」の章で扱う考え方を決めれば整理できます。2つ目から4つ目は、業務マップとプロンプトで具体化していきます。

介護・福祉で生成AIが活きるユースケース全体像

介護・福祉で生成AIが活きるユースケース全体像

介護・福祉と一口に言っても、居宅サービス・施設サービス・障害福祉では扱う書類も相手も違います。あなたの事業所がどこに当たるかを見ながら、最初に手をつける業務を選んでください。

業務カテゴリ居宅サービス(訪問介護・通所介護等)施設サービス(特養・老健等)障害福祉(就労移行・生活介護等)
記録・書類作成サービス提供記録の文章化、ヒヤリハット報告書日常記録の要約・入力支援、事故報告書下書き個別支援記録、モニタリング報告書
ケアプラン・計画書居宅サービス計画書の下書き、担当者会議録施設サービス計画書、生活相談員の面接記録個別支援計画の下書き、就労評価記録
申し送り・情報共有訪問記録の要約→次回担当者への引継ぎ文日勤・夜勤申し送り文の構造化、ケアカンファレンス資料朝礼・夕礼の申し送り整理、保護者報告文
対外コミュニケーション利用者家族への連絡文書、ケアマネジャーへの報告書行政への各種報告書・加算算定書類就労先・支援機関への連絡文書、家族報告書
職員育成・研修OJT資料、緊急時対応マニュアルのたたき台新人研修資料、感染症対応マニュアル支援技術研修資料、制度解説文書

どの領域でも共通するのは、「一定の様式を持ちながら、個別事情を踏まえて書く」書類が中心にあることです。ケアプランの下書き、申し送り文の整理、ヒヤリハット報告書のたたき台——このあたりが、最初に試す候補になります。

逆に、最初から手を出さないほうがよいのは、利用者本人の特定につながる情報をそのまま扱う業務です。次の章で、その線引きを先に決めます。

法人向けAI研修の導入社数No.1*の弊社デジライズが提供する「法人リスキリング」の研修内容・支援の流れ・料金をまとめたサービス資料を無料でお送りしています。

※出典:株式会社東京商工リサーチ「法人向けリスキリングサービスに関する調査」(2026年5月/調査期間:2026年3月26日〜4月17日/調査方法:デスクリサーチおよびヒアリング/2026年3月末時点)

ガバナンス:個人情報・プライバシー対応の設計

ガバナンス:個人情報・プライバシー対応の設計

介護・福祉で生成AIを導入するとき、最も慎重に設計すべきなのが情報の取り扱いです。利用者の心身の状況、疾患、家族関係といったセンシティブな情報を日常的に扱う業界だからこそ、ここを先に決めておくと、現場に広げる段階で止まらなくなります。

絶対ルール:利用者が特定できる情報をそのまま入力しない

個人情報保護委員会は、生成AIサービスの利用にあたって事業者が確認すべき点を示しています。要点は次の2つです(個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日))。

  1. 個人情報を含むプロンプトを入力する場合、特定された利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認する
  2. あらかじめ本人の同意を得ずに個人データを含むプロンプトを入力し、それが応答結果の出力以外の目的で扱われる場合、個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性がある。そのため、提供事業者がそのデータを機械学習に利用しないこと等を十分に確認する

つまり、判断の起点は「有料か無料か」ではなく、その利用目的の範囲に収まっているか/そのデータが応答の生成以外に使われないことを確認できているかです。プラン名だけで安全性を判断しないでください。

もっと手前で効く対策もあります。入力する情報を必要最小限に絞ることです。この記事で紹介するプロンプトも、実名ではなくイニシャルや識別子(利用者A、番号など)を使い、住所や施設名は書かない前提で組んでいます。

ただし、実名を識別子に置き換えれば個人情報でなくなる、というわけではありません。氏名等を削除しても、他の情報と容易に照合して本人を識別できる場合は、全体として個人情報に該当します(個人情報保護委員会 よくある質問 Q2-11)。病歴や心身の障害は要配慮個人情報にあたり得るため、事業所が承認した環境とアカウントでのみ扱ってください。

入力する前に確認する3つ — ①その情報を入れることは利用目的の範囲内か ②応答の生成以外に使われないことを確認できているか ③そもそも入れずに済ませられないか

なお、介護保険サービスを行う事業者には、個人情報保護委員会と厚生労働省による「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」があります。生産性向上の取組を進める際もこのガイダンス等を遵守することが、前掲の厚生労働省資料に明記されています。

AIサービスの選定ポイント

事業所として使うサービスを決めるときは、次の3点を契約と設定の両面で確認します。

  1. 入力データの学習利用 — 入力した内容が機械学習に使われないことを、契約条件と管理画面の設定の両方で確認できるか
  2. 保存期間と削除 — 入力データがどの期間保持され、契約終了時にどう扱われるか
  3. アカウント管理 — 誰がどのアカウントで使うかを事業所側で管理でき、承認していないサービスの利用を防げるか

法人向けの契約(ChatGPT の Business・Enterprise、Claude の Team・Enterprise など)は、組織としてアカウントと権限を管理しやすい形になっています。ただし保持期間の設定などは同じ法人向けでもプランによって差があるため、契約するプランごとに確認してください。

職員が各自で個人向けプランを契約して使う形だと、誰がどのアカウントで何を扱っているかを事業所側で把握できません。3点目のアカウント管理は、ここで効いてきます。

そのうえで、扱う情報ごとに使い方を分けます。

扱う情報使い方の考え方
利用者情報を含まない文書(マニュアル・研修資料・案内文・掲示物)まずはここから。試す場としても、成果を見せる場としても扱いやすい
利用者の状況を含む記録・計画書事業所が承認したサービスとアカウントに限定し、実名等は識別子に置き換えて入力する
音声入力からの記録生成汎用のAIではなく、介護記録システム側の機能や福祉向け製品を含めて検討する。録音の保存範囲を先に決める

職員向けAI利用ガイドラインの整備

事業所全体で使うには、全職員が守る利用ガイドラインを1枚にまとめておく必要があります。最低限、次の4項目を含めてください。

  1. 利用してよいAIサービスの一覧 — 事業所が承認したサービス・アカウントだけを使う
  2. 入力してはいけない情報のリスト — 実名・住所・生年月日・病名・医療情報など
  3. 生成された文書の確認ルール — 必ず担当者が内容を確認・修正してから使用する
  4. 困ったときの報告先 — 管理者・責任者への報告フローを明記する

この1枚は、あとで紹介するプロンプト⑥で下書きを作り、朝礼や職員会議など全職員が確認できる場で共有するところまでを1セットにしてください。

大手事業者の先行事例——介護・福祉×AIの最前線

大手事業者の先行事例——介護・福祉×AIの最前線

大手法人の取り組みは、規模も体制も違うのでそのまま真似はできません。ただ「どの業務にAIを当てているか」は参考になります。ここでは公表されている内容の範囲で2社を見ていきます。

ベネッセスタイルケア——記録データを活かす「マジ神AI」

ベネッセスタイルケアは、専門性の高い介護職のノウハウを援用し、経験の浅い職員でも近い水準のサービス提供を可能にする業務支援・人財育成システム「マジ神AI」の開発と効果検証を進めています。介護記録システムに組み込まれ、記録から着目すべき観点を示す仕組みです。

同社の発表によると、先行導入した31ホームで、導入前に入居した231名と導入後に入居した244名の6か月間のデータを分析したところ、活用度の高いホームでは導入後に生活の記録に占める「快」の割合が有意に多くなり、「不快」の割合と事故件数が有意に少なくなりました。この結果は人工知能学会全国大会(第39回)と第26回日本認知症ケア学会大会で発表されています(ベネッセスタイルケア 2025年7月8日発表)。

SOMPOケア——会議・面談の記録をAIで下書きする

SOMPOケアは、介護に特化したAI記録作成ツール「noman」を全国約1,100拠点・約3,500名を対象に全社導入しました。担当者会議、モニタリング面談、カンファレンス、各種委員会、職員面談などの音声を文字起こし・要約し、業務ごとのテンプレートで記録や議事録を生成する使い方です(株式会社scoville 2026年6月22日発表)。

注目したいのは、いきなり全業務ではなく、記録・議事録という書類作成の工程を切り出して全社に広げている点です。どの書類から手をつけるかを先に決めてから展開する進め方は、規模にかかわらず参考になります。

中小規模の事業所のリアルな第一歩

中小規模の社会福祉法人や訪問介護事業所で現実的なのは、まず1つの書類を選んで試す進め方です。利用者情報も社内の機密も含まない研修資料・掲示物・業務マニュアルを、事業所が承認したサービスとアカウントで試すところから始めます。

一方で、申し送り文、ヒヤリハット報告書、家族への連絡文は、利用者の健康状態などを含み得ます。前章のルールと承認済みの環境を整えてから対象にしてください。書類の名前だけで「これはセンシティブではない」と判断しないことが大事です。

対人サービス業で、シフト制の現場にどうAIを広げたかという観点では、ホテル・旅館業の事例も参考になります。

ホテル・旅館業×生成AI 完全ガイド|フロント・多言語対応などの活用事例とプロンプト7選

ホテル・旅館業×生成AI 完全ガイド|フロント・多言語対応などの活用事例とプロンプト7選

私たちが支援した事例——インクルード株式会社

私たちが支援した事例——インクルード株式会社

弊社デジライズが法人リスキリング(生成AI研修)で支援した、障害福祉サービスの事例を紹介します。

インクルード株式会社 様|記録業務の所要時間が半減

インクルード株式会社様の生成AI導入事例

インクルード株式会社は「ニューロリワーク」の名称で全国に20拠点以上を展開し、精神的な不調や疾患を抱える方を対象とした就労移行支援・自立訓練サービスを提供しています。従業員数は100〜299名、所在は東京都です。

導入前の課題は、社内だけでAI導入を進めるにはノウハウと教育体制が不足していたこと、最新AIのトレンドと現場活用の間にギャップがあったこと、そしてAIリテラシーを高める仕組みがなく現場での活用が定着しにくかったことでした。弊社の法人リスキリング研修を受講いただき、プロンプトの設計と具体的な使い方を習得したところから、社内の活用が進んでいます。

業務導入前導入後
記録業務・ポータル記事作成従来どおりの所要時間所要時間が半減
スライド資料の作成手作業で作成GAS×Geminiの連携で編集可能な資料を自動生成し、手間を大幅に削減
AI未経験者のリテラシー高める仕組みがないリテラシー向上と活用意欲の醸成

参考:インクルード株式会社 様 導入事例(デジライズ)

事例と同じ研修の内容・進め方・料金は、サービス資料でご確認いただけます。

インクルード株式会社が受講した法人リスキリング研修の内容を見てみる

サービス資料はこちら

こうした事例のように、自事業所の記録フローや既存の介護記録システムに合わせたAIの仕組みを構築したい場合は、弊社デジライズのAIコンサルティング&開発サービスで設計から開発まで支援しています。

現場で使えるプロンプト6選(介護・福祉)

現場で使えるプロンプト6選(介護・福祉)

ここからは実践編です。各プロンプトはそのままコピーして、ChatGPTに貼り付けてください。{ } の部分をあなたの現場の情報に書き換えるだけで使えます。

🚨 ①〜⑥はいずれも、利用者の心身や支援の状況という個人情報・要配慮個人情報を含み得ます。実名を識別子に置き換えた場合も同じです。前の章のとおり、事業所が承認した環境とアカウントで、利用目的の範囲内の必要最小限の情報だけを扱ってください。

①【記録業務】サービス提供記録・支援記録のドラフト生成

①【記録業務】サービス提供記録・支援記録のドラフト生成

シーン:利用者への支援・介助後、記録システムに入力する文章の下書きを素早く作りたいとき。

あなたは介護・福祉の記録業務を支援するアシスタントです。
以下の情報をもとに、サービス提供記録(支援記録)のドラフトを作成してください。

【基本情報】
・利用者: {イニシャルまたは番号で表記(実名は入力しないこと)}
・支援日時: {例: 6月5日 10:00〜11:30}
・支援の種類: {例: 身体介護・生活援助・就労支援等}

【支援内容のメモ(箇条書きで構いません)】
・{例: 食事介助。本日は食欲が良く全量摂取。飲み込みは良好}
・{例: 入浴介助。浴槽への移乗は一部介助。皮膚の状態に変化なし}
・{例: 散歩20分。表情良く歩行安定。天候の話をされ笑顔あり}

【特記事項(あれば)】
・{気になった点・変化・引き継ぎ事項等}

上記をもとに、客観的かつ具体的な記録文書(200〜300字)を作成してください。
実名・住所・生年月日など、直接本人を識別できる情報は入力しないでください。

②【申し送り】シフト交代時の申し送り文の整理・構造化

②【申し送り】シフト交代時の申し送り文の整理・構造化

シーン:夜勤・日勤交代時に、複数の利用者に関する情報を整理した申し送り文を素早く作りたいとき。

あなたは介護施設の業務改善を支援するアシスタントです。
以下のメモをもとに、シフト交代用の申し送り文を整理してください。

【申し送りメモ(箇条書き・乱雑でも構いません)】
{例:
・Aさん 昨夜2時に覚醒 トイレ介助2回 水分摂取少なめ
・Bさん 食事量7割 むせあり 要観察
・Cさん 特変なし
・感染症対策: 手洗い徹底継続中
・午後14時に家族来訪予定あり(確認要)
}

【申し送りの形式(希望があれば指定してください)】
・{例: 利用者別に箇条書き / 優先度順 / テキスト形式 など}

整理された申し送り文を作成してください。
利用者名は頭文字またはA・B・C等の識別子を使用してください。

③【ケアプラン・個別支援計画】計画書のドラフト作成

③【ケアプラン・個別支援計画】計画書のドラフト作成

シーン:アセスメント情報をもとに、ケアプランや個別支援計画の「目標・支援方針」のたたき台を作りたいとき。

あなたはケアプラン・個別支援計画の作成を支援するアシスタントです。
以下のアセスメント情報をもとに、計画書の「目標」と「支援方針」のドラフトを作成してください。

【利用者の基本情報(実名・住所は記入しないこと)】
・年齢・性別: {例: 80代・女性}
・主な障害・疾患: {例: 認知症(中等度)・変形性膝関節症}
・現在の生活状況: {例: 施設入所中。歩行は一部介助。食事は自立}

【本人・家族の意向(要約)】
・{例: 「できるだけ自分の足で歩きたい」「笑顔でいてほしい」}

【現在の課題・ニーズ(アセスメント結果)】
・{例: 転倒リスクあり / 認知機能の維持 / 社会参加の機会確保}

上記をもとに、以下を作成してください。
1. 長期目標(6ヶ月〜1年)
2. 短期目標(3ヶ月)
3. 主な支援方針(箇条書き3〜5点)

※これはドラフトです。内容は必ず担当者が確認・修正のうえ使用してください。

④【報告書】ヒヤリハット・事故報告書の作成補助

④【報告書】ヒヤリハット・事故報告書の作成補助

シーン:ヒヤリハットや事故が発生した際、報告書のたたき台を素早く作りたいとき。

あなたは介護現場の業務を支援するアシスタントです。
以下の情報をもとに、ヒヤリハット報告書のドラフトを作成してください。

【発生状況】
・発生日時: {例: 6月5日 14時30分頃}
・発生場所: {例: 食堂}
・関係者の状況: {実名は使わず、「利用者A(80代・女性)」等で記載}
・何が起きたか(事実のみ): {例: 食事中にむせ込みが発生。一時的に咳き込みが続いた}
・発見者の対応: {例: 背中をさすり、水分を控えるよう促した。3分程度で落ち着いた}

【結果・状態】
・{例: その後は通常の食事に戻り、体調の変化なし}

以下の形式で報告書のドラフトを作成してください。
1. 発生状況(事実のみ、推測を含めない)
2. 発見者の対応
3. その後の経過
4. 再発防止の観点からの考察(担当者が修正・加筆する欄として提示)

※実名・住所など、直接本人を識別できる情報は入力しないでください。

⑤【家族・就労先への連絡】報告文書のドラフト作成

⑤【家族・就労先への連絡】報告文書のドラフト作成

シーン:利用者の家族や就労先企業への定期報告文書のたたき台を作りたいとき。

あなたは福祉施設のコミュニケーション支援アシスタントです。
以下の情報をもとに、利用者の家族への月次報告書のドラフトを作成してください。

【報告書の種類】
・{例: ご家族への月次報告 / 就労先企業への月次報告}

【利用者の1ヶ月の様子(箇条書き)】
・{例: 体調: 先月と比べ安定。食事量が増えた}
・{例: 活動面: グループ活動への参加が積極的になった}
・{例: 就労面: 職場実習に週2回参加。作業の正確さが向上}
・{例: 課題: 疲労から午後に集中力が落ちる場面あり}

【来月の支援方針(簡単に)】
・{例: 引き続き就労実習を継続。体力づくりのため散歩の時間を増やす}

あたたかく、かつ専門的なトーンで報告書のドラフトを作成してください。
実名・住所など、直接本人を識別できる情報は入力しないでください。

⑥【研修・マニュアル】スタッフ向け研修資料のたたき台作成

⑥【研修・マニュアル】スタッフ向け研修資料のたたき台作成

シーン:感染症対策や制度改正、AIの利用ルールについて、スタッフ向けに分かりやすく説明する資料のたたき台を作りたいとき。

あなたは介護・福祉施設の研修担当者を支援するアシスタントです。
以下のテーマで、現場スタッフ向けの研修資料(説明文)のたたき台を作成してください。

【研修テーマ】
・{例: 感染症(ノロウイルス)発生時の初動対応}
・{例: 令和6年度介護報酬改定で新設された生産性向上推進体制加算の要件}
・{例: 生成AIを業務でどう使うか/使ってはいけないこと}

【対象スタッフ】
・{例: 介護スタッフ全員(IT慣れしていない方も含む)}

【研修の時間・形式】
・{例: 朝礼10分で説明 / A4 1枚の読み物}

以下の構成で作成してください。
1. なぜこれを知る必要があるか(現場への影響)
2. 具体的な対応・手順(3〜5点の箇条書き)
3. やってはいけないこと(1〜3点)
4. 不明点があれば誰に相談するか

専門用語を避け、現場で働くスタッフが読んですぐ理解できる表現にしてください。

採用・育成・評価まわりのプロンプトをもっと見たい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

人事×生成AI 実践ガイド|採用・評価・研修に使えるプロンプト&スクショ事例15選

人事×生成AI 実践ガイド|採用・評価・研修に使えるプロンプト&スクショ事例15選

導入ロードマップ:まず3ヶ月で動かす

導入ロードマップ:まず3ヶ月で動かす

「何から始めればいいか分からない」を解消するため、立ち上げの3ヶ月を月単位で示します。期間と人数はあくまで目安で、事業所の規模やシフトの組み方に合わせて前後させてください。

第1ヶ月:土台を作る

やること

  1. 管理職が法人向けの契約で使えるAIサービスを用意し、自分で使い始める
  2. 利用規約とデータの取り扱い設定を確認し、学習に使われない設定になっているかを管理画面で確かめる
  3. 「使ってよい業務」「入力してはいけない情報」を1枚のメモにまとめる
  4. 管理職・リーダー職から2〜3名を「AI活用推進担当」に任命し、試験的に使ってもらう

達成目標:推進担当者が「ヒヤリハット報告書のたたき台」「申し送り文の整理」でAIを実際に使った体験を持っている状態。

第2ヶ月:現場に展開する

やること

  1. 推進担当者が「使ってみたこと」を現場スタッフに共有するミニ勉強会(15〜20分)を実施する
  2. 本記事のプロンプトを印刷またはコピーして現場に配る
  3. 希望するスタッフから使い始め、感想と困った点を集める
  4. 「AI利用ガイドライン(簡易版)」を1枚にまとめて掲示する

達成目標:推進担当者以外のスタッフで、AIを実際に試した人が数名以上出ている状態。

第3ヶ月:習慣化と改善

やること

  1. 月1回の「AI活用振り返りミーティング」(30分)を設定する
  2. 「このプロンプトはうちの現場に合っていた/合わなかった」を記録して改善する
  3. 活用状況を把握する(「週に何回使ったか」「どの業務に使ったか」程度で十分)
  4. 次の課題(ケアプランへの活用、音声入力との組み合わせ等)を整理する

達成目標:特定の業務(申し送り整理・ヒヤリハット報告書等)で、AIを使うことが一部のスタッフに定着している状態。

3ヶ月後の次のステップ

基礎的な活用が定着したら、次の段階として以下を検討します。

  • 介護記録システム側の機能への展開 — 汎用のAIから、介護記録システムに組み込まれた支援機能や福祉向け製品へ広げる
  • 音声入力との組み合わせ — 現場での音声メモから記録の下書きを作る流れを設計する
  • 全職員へのリテラシー研修 — 生成された文章を鵜呑みにせず、正確性と妥当性を自分で判断できる状態をつくる

ここまで読んで「自分たちだけで進めるのは難しそうだ」と感じた方へ。法人向けAI研修の導入社数No.1*の弊社デジライズが、生成AIの基礎知識から社内導入の6ステップ・定着のポイントまでを1冊にまとめた「はじめての生成AI社内導入ガイド」を無料で配布中です。

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まとめ:介護・福祉×生成AIのポイント

まとめ:介護・福祉×生成AIのポイント

この記事でお伝えしたポイントを整理します。

  1. 人手不足は見通しまで含めて構造的 — 介護職員の必要数は2040年度に約272万人、不足を感じている事業所は65.8%。記録の効率化は「余力があればやること」ではなくなっている
  2. 記録のデジタル化と、書く作業の効率化は別物 — 介護業務支援機器の導入は進んだが、生成AI等のAIツールを導入済みの事業所は8.4%。生成AIが効くのは「書く」側
  3. 情報の扱いは有料か無料かで決めない — 利用目的の範囲内か、応答の生成以外に使われないことを確認できるか。そのうえで、入力する情報を必要最小限に絞る
  4. 最初の一歩は利用者情報を含まない書類から — 研修資料、掲示物、マニュアル。申し送りやヒヤリハットは、承認済みの環境とルールを整えてから対象にする
  5. 3ヶ月で回す — 推進担当者を決め、現場展開から習慣化までのサイクルを1周させる

人手が足りない状況が続く介護・福祉で、生成AIは職員の時間を利用者との関わりに戻す手段になります。まずはプロンプトを1つ、明日の書類で試してみてください。

この記事の著者 / 編集者

チャエン

株式会社デジライズ 代表取締役

チャエン

法⼈向けのAI研修、及び企業向けChatGPTを開発する株式会社デジライズをはじめ、他数社の代表取締役。一般社団法人生成AI活用普及協会評議員を務めながら、GMO AI & Web3株式会社など他数社の顧問も兼任。NewsPicksプロピッカーも兼任。Twitterはフォロワー16万⼈。⽇本初AIツール検索サイト「AI Database」やAIとの英会話ができる「AI英会話」など複数のAIサービスも開発。ABEMAやTBSテレビなどメディア出演も多数。