撮影スタジオ・出演者リサーチを60%削減。AI活用が広がった映像制作会社
株式会社TVC 様

株式会社TVC様では、12名の受講者を対象に、約半年間の生成AI研修「法人リスキリング」を実施しました。受講者が登録した実業務33件では、合計で月2,031分(約34時間)の削減を確認しています。AIの利用頻度も週2.2日から週4.0日へと、ほぼ倍に伸びました。
AIを使うのは週に2日ほどで、使い方も人それぞれという状態から、リサーチや企画、文書作成にAIを組み込む段階へ。TV-CMをはじめとする映像制作を手がける広告会社が、半年間でどのように活用を広げていったのかをご紹介します。
会社紹介

株式会社TVC様は、東京都渋谷区に本社を置く広告会社です。1980年に設立され、従業員数は80名(2025年3月現在)。映像制作をコア事業に、TV-CM、デジタル広告、屋外広告まで広告全般を手がけています。

事業は広告代理事業・映像制作事業・スポーツマーケティング事業の3つです。映像制作ではTV-CM、インフォマーシャル、企業プロモーション、スポーツ中継までを手がけます。企画から制作、編集、デリバリーまでを自社で完結できることが強みです。医療、物流、日用品、金融、教育、交通など、取引先の業種も多岐にわたります。

同社が掲げるビジョンは「VISION2030 いろんなコトを、いろんなヒトと、楽しめる広告会社」です。広告業界のあらゆる領域に対応するため、社員だけでなく顧客やパートナーとのつながりを大切にし、関わる全員が楽しみながら仕事をすることが課題解決につながる、という考え方を示しています。

生成AI導入前の課題感
映像制作の現場では、撮影の前に多くの「調べもの」が発生します。撮影スタジオやロケ地、出演者候補、ロケで用意する菓子折りや弁当。企画の段階でも、方向性と概要からストーリーの大枠を組み立てる必要があります。
研修開始時のアンケートでは、AIを使っている業務は平均2.0件でした。感想記載シートによると、研修前のAI利用頻度は平均週2.2日です。週の半分以上はAIに触れていない計算で、使う場面も人によってまちまちでした。受講者からは、AIの出力をどこまで信用してよいのか判断基準が持てていない、という声も挙がっていました。
業務の負担は、数字にも表れていました。撮影スタジオ・出演者候補のリサーチ、入札案件の事前調査、企画のストーリー作成には、いずれも月300分。業務フローの作成には月480分がかかっていました。会議の議事録や契約書のチェックといった管理業務にも、それぞれ月120分を要していました。
実施内容 ― TVC様ならではの取り組み
半年間のプログラムは、Microsoft Copilotを軸に、学習と実務を行き来できるよう設計しました。

生成AI活用の効果
映像制作会社らしい変化が表れたのは、撮影の準備にかかるリサーチでした。撮影スタジオや出演者候補をネットで一つひとつ探す作業を、条件を伝えてAIに候補を出してもらう形に切り替えています。その結果、月300分かかっていたリサーチが120分になりました。

受講者が登録した実業務33件を集計すると、合計で月2,031分(約34時間)の削減になります。活用前に月3,750分かかっていた作業が、1,719分まで短縮された計算です。業務単位で見ると、33件のうち14件で作業時間が60%以上短くなっています。
指標そのものも動いています。

1日の流れで見ると、変化はこうなります。

業務別 Before/After(削減時間の上位5件)
| 業務 | Before | After | 削減/月 |
|---|---|---|---|
| Power Automateのフロー作成 | 480分 | 120分 | 360分 |
| 撮影スタジオ・出演者候補のリサーチ | 300分 | 120分 | 180分 |
| 入札案件の事前調査 | 300分 | 180分 | 120分 |
| 企画のストーリー作成 | 300分 | 200分 | 100分 |
| 動画生成AIの利用規約の要約 | 120分 | 30分 | 90分 |
上位には、リサーチと企画という制作の前工程が並びます。業務フローの作成でも、AIにフロー案を出させてエラーをチェックさせることで、480分が120分になりました。動画生成AIの利用規約の要約(120分→30分)は、生成AIを制作に取り入れようとする同社ならではの業務です。会議の議事録も、Teamsの録画から要約することで120分が30分に短縮されています。

受講者アンケートには、こうした変化が言葉としても表れています。

なんとなく使っていた状態から、結果を出すための使い方を考える段階へ。AIの出力をどう扱うかについても、受講者の捉え方が変わっています。

研修前に挙がっていた「どこまで信用してよいか」という迷いに対して、最終判断は人が持ち、その手前の工程をAIに任せるという線引きが生まれました。回を重ねるごとに、実務での手応えを語る声も増えていきました。

今後の展望
成果が見え始めた今、TVC様の次のテーマは、AIを「使いたい人が使う」状態から「業務の流れに組み込まれている」状態へ進めることです。

半年間で33件の実務にAIを取り入れたTVC様。リサーチや企画の前工程が短くなったことで、制作そのものに向き合う時間が生まれ始めています。
「いろんなコトを、いろんなヒトと、楽しめる広告会社」。受講者の言葉にあった「楽しくなってきました」という手応えは、同社が目指すVISION2030の姿にも重なります。生成AIという新しい道具を得て、その歩みはさらに広がっていきます。



