週間削減時間が約45%増。築古ビルを再生する不動産会社が、33名で半年かけて広げたAI活用
株式会社リアルゲイト 様

導入前の課題
- メール対応:多い人では週300件にのぼるメールを1件ずつ作成・確認しており、職種を問わず日々の時間を細かく削っていた
- 専門業務の集中:図面法規チェックは1回120分、工事費の概算積算は180分。専門知を持つ限られた担当者に、重い確認作業が集まっていた
- AI活用の共有:自分の手元で工夫できる人とそうでない人がいて、使い方が社内で共有されていなかった。研修初回のAI活用業務数は平均2.34件
導入後の効果
- メール対応:メール作成・確認の26業務(22名)で、月29,920分 → 16,800分。1か月あたり13,120分(約219時間)をAIで短縮
- 専門業務の集中:図面法規チェックは120分 → 60分、概算積算は180分 → 90分、新工法の調査は120分 → 60分。GemとNotebookLMを使う業務も21件に
- AI活用の共有:AI活用業務数は平均2.34件 → 3.29件(約40%増)、週間削減時間は2.09時間 → 3.03時間(約45%増)。全4回を通じて伸び続けた
株式会社リアルゲイト様では、2026年1月から6月までの半年間、営業・設計・建設マネジメント・管理部門などの受講者33名を対象に、生成AI研修「法人リスキリング」を実施しました。全4回のワークショップを通じて、AI活用業務数は平均2.34件から3.29件へ約40%増え、AIで削減できた時間は週2.09時間から3.03時間へ約45%伸びています。
一人ひとりが手元で工夫するだけで、使い方が社内に共有されていなかった状態から、Gemini・Gem・NotebookLMを業務に合わせて使い分ける段階へ。築古ビルの再生を手がける同社が、半年間でどのようにAI活用を広げていったのかをご紹介します。
会社紹介

株式会社リアルゲイト様は、2009年設立、東京都渋谷区に本社を置く不動産再生企業です。都心の築古ビルを、スタートアップ向けのオフィスや店舗、ホテルなどへ再生する事業を展開しており、東京証券取引所グロース市場に上場しています(証券コード:5532)。

同社の強みは、物件の仕入れから企画・設計・施工・リーシング・運営までを自社で一貫して手がける体制にあります。主力の「フレキシブルワークプレイス事業」では、遊休不動産に耐震補強や用途変更などのバリューアップを施し、さまざまな仕様のワークプレイスとして収益性の高い不動産へ再生しています。1969年築の「THE WORKS」や1972年築の「SHIFT HOTEL SHIBUYA HATAGAYA」など、築40〜50年を超える建物も同社の手で新たな役割を得てきました。

掲げる理念は「古いものに価値を、不動産にクリエイティブを」。この理念のもと、建物を壊して建て替えるのではなく、今ある建物を100年使い続ける「100年都市・建築プロジェクト」を始動しています。
生成AI導入前の課題感
同社は営業が事業を引っ張る会社です。一部の部署にとどまらず、全社的なAIリテラシーの底上げを図り浸透させることが、事業推進を最大化する鍵になると経営層は捉えていました。そこで今回の研修では、営業職の約半数に設計・建設マネジメント・管理部門のメンバーを加えて受講者を選び、一つひとつの業務を効率化する足がかりを探ることにしました。
社内では、日々改善を重ねてはいたものの、AIやシステムで業務を大きく切り替えるところまでは進んでいませんでした。自分の手元で効率化できている社員とそうでない社員がいて、その工夫も共有されていません。顧客対応の記録や追客、空室の管理はスプレッドシートに手入力で蓄積しており、あとで集計して経営層向けの資料にまとめる作業にも時間がかかっていました。
研修初回のアンケートでは、AIを活用している業務は平均2.34件、AIで削減できた時間は週2.09時間でした。AIに触れてはいるものの、使う場面はメール作成や調べものなど一部に限られていたことになります。
業務棚卸しでとくに重かったのは、職種を問わず発生するメール対応です。多い人では週300件のメールを扱っていました。専門職では、図面法規チェックが1回120分、工事費の概算積算が180分、新しい工法の調査が120分。高度な判断を要する確認作業が、専門知を持つ担当者に集中していました。
実施内容 ― リアルゲイト様ならではの取り組み
半年間のプログラムは、全社共通の基礎から始めて、同社の業務データを使った実践へ段階的に進める設計としました。

生成AI活用の効果
専門業務で目立った変化は、建設マネジメントの図面法規チェックです。1回120分かかっていた確認が、AIを使うことで60分で終わるようになりました。専門知を持つ担当者に集中していた重い業務でも、半分の時間で回せる形ができています。

業務棚卸しシートでAIを活用していると登録された154件(30名分)を集計すると、人手では月81,773分かかっていた業務が49,176分になっています。1か月あたり32,596分(約543時間)、年間換算で約6,500時間の削減です。このうち約4割は、26件あるメール作成・確認の業務が占めています。
アンケートの指標も、4回を通じて伸びています。

活用頻度は初回から週3.5日前後と高い水準にありました。伸びたのは「AIを使う業務の数」と「実際に減った時間」です。使う頻度が上がったというより、AIを当てる業務が広がり、1つずつの効果が積み上がった結果といえます。
業務別 Before/After(削減時間の上位5件)
| 業務 | Before | After | 削減/月 |
|---|---|---|---|
| メール作成(週300件) | 5分 | 2分 | 3,600分 |
| 図面法規チェック | 120分 | 60分 | 1,320分 |
| メール作成(Gemを活用) | 120分 | 60分 | 1,200分 |
| 工事費概算積算 | 180分 | 90分 | 1,170分 |
| 新工法の調査 | 120分 | 60分 | 1,020分 |
※ Before/Afterは1回あたりの所要時間。削減/月は頻度を掛けた月あたりの値です。
上位には、件数の多いメールと、1回が重い専門業務が並びました。1件5分のメールでも、週300件あれば月3,600分になります。一方の専門業務では、図面法規チェックや概算積算のように、判断の前段にある確認と整理をAIに任せる使い方が定着しました。GemやNotebookLMを使う業務も21件あり、契約書の確認、東証の制度改正の確認、投資家向けQAサイトの更新など、自社の資料を根拠に答えさせる用途に広がっています。

1日の流れで見ると、変化はこうなります。

受講者アンケートには、こうした変化が言葉としても表れています。

自分の作業が速くなるだけでなく、ノウハウを人に渡す場面にも使えると捉えた声です。スプレッドシートに記録を溜めてきた同社らしく、データの分析に手応えを感じた受講者もいます。

最終回では、ツールを使い分ける視点が生まれていました。

一人で工夫する段階から、道具の特性を理解して業務に当てはめる段階へ。第4回の満足度は全4回で最も高い4.18となり、研修を通じて受講者の手応えが積み上がっていきました。
今後の展望
研修で広がったAI活用を、次は個人の工夫から組織の資産へ変えていく段階です。

古い建物に新しい価値を与えてきた同社が、今回手を入れたのは自社の仕事の進め方でした。「古いものに価値を、不動産にクリエイティブを」という理念のとおり、これまで積み上げてきた案件の知見をAIで生かし直し、100年使い続けられる街と建築づくりを加速させていきます。



