チャエン

株式会社デジライズ 代表取締役

チャエン

「店舗のオペレーションは回っているけれど、本部としてAIを何から始めればいいのか決められない」
「本部で使い方を決めても、店舗ごとに温度差があって浸透しない」
「食品を扱う以上、どこまでAIに任せていいのか線引きが決まらない」

この記事は、多店舗展開する外食企業の本部(経営企画・DX・人事)の方を主な読者に、食品製造・食品関連企業の事例も含めてまとめた「飲食・食品業界×生成AI」のガイドです。

帝国データバンクの倒産動向調査、シンクロ・フードの飲食店AI活用状況調査といった公開データを整理しつつ、鳥貴族・日清食品などの大手事例や、弊社デジライズがAI導入を支援した4社の変化まで踏み込んで解説します。業界全体の動向を押さえたい方も、明日から現場で使えるプロンプトが欲しい方も、この1本で全体像がつかめる構成にしました。


法人向けAI研修の導入社数No.1*の弊社デジライズが、生成AIの基礎知識から社内導入の6ステップ・定着のポイントまでを1冊にまとめた「はじめての生成AI社内導入ガイド」を無料で配布中です。

※出典:株式会社東京商工リサーチ「法人向けリスキリングサービスに関する調査」(2026年5月/調査期間:2026年3月26日〜4月17日/調査方法:デスクリサーチおよびヒアリング/2026年3月末時点)

飲食・食品業界×生成AIの現在地

飲食・食品業界×生成AIの現在地

飲食・食品業界で生成AIの話が出ると、「うちは料理を作るのが仕事だから関係ない」という反応が返ってくることがあります。しかし実際には、この業界こそ生成AIの恩恵を受けやすい業界の一つです。

その理由を「倒産動向」「AI活用の実態」「導入が進まない構造的な壁」という3つの視点から見ていきましょう。

倒産動向調査が示す構造的課題:倒産件数は過去最多を更新中

帝国データバンクによると、2025年の飲食店経営事業者の倒産は900件で、前年(894件)を上回り過去最多を更新しました。さらに2026年上半期も473件と、上半期ベースで過去最多・4年連続の増加です。

指標数値
2025年の倒産件数900件(過去最多を更新)
前年比+0.7%・6件増(2024年は894件)
2026年上半期の倒産件数473件(上半期として過去最多)
前年同期比+3.3%・15件増(前年同期458件)
負債5,000万円未満の割合(2025年)77.3%(696件)
業態1位(2025年)酒場・ビヤホール 204件

出典:帝国データバンク「飲食店」の倒産動向(2025年)「飲食店」の倒産動向(2026年上半期)

注目したいのは、2025年の倒産の77.3%を負債5,000万円未満の小規模倒産が占めた点です。負債額の小さい倒産が多数を占める状況が続いています。

この「人手が足りない」「コストが上がる」「でも値上げすると客が離れる」という三重苦を打開する手段の一つとして、生成AIの活用が注目されています。

利用実態:使った人の満足度は高いのに、使い始められない

では、実際に飲食店の現場でAIがどのくらい使われているのか、シンクロ・フードが2025年6月10日〜16日に飲食店経営者・運営者326名へ実施した「飲食店のAI活用状況調査」を見てみましょう。

設問回答
積極的に利用している16.3%
利用してみたが、うまく使いこなせていない10.4%
利用したことはないが、今後利用したいと考えている39.3%
AI利用経験者の満足度(非常に満足+やや満足)73.5%
「今後もAIの利用予定がない」層が挙げた理由1位「具体的な用途がイメージできない」62.2%

利用経験があるのは「積極的に利用」16.3%と「使いこなせていない」10.4%を合わせた26.7%。満足度73.5%はこの利用経験者が母数で、62.2%は「今後も利用予定がない」と答えた層だけに理由を聞いた結果です。

少なくともこの調査では、使わない側の最多理由が「具体的な用途がイメージできない」でした。用途を具体的な形で示すことが、導入のハードルを下げる一つのポイントになります。本記事の後半では、この「何に使えるか」をプロンプト7選で埋めていきます。

本部が直面する3つの壁

多店舗展開している企業の本部から相談を受けるとき、必ず論点になるのが次の3つです。

  1. 非正規・シフト制で研修時間が取れない — アルバイト・パートの比率が高く、全員が同じ時間に集まれない。使い方を教える機会を作ること自体が難しい
  2. 店舗オペレーションが店長裁量に依存している — 本部がAI導入を決めても、現場で回るかどうかは店長次第になりやすい
  3. 食品安全の線引きが決まらない — アレルギー情報や食品表示など、誤りが人の健康に直結する領域がある。ここを曖昧にしたまま全社展開すると止まる

この3つを踏まえると、飲食業のAI導入は「まずバックオフィス業務(SNS・求人・事務作業)から始め、成功体験を積んでから接客・食品管理へ広げる」のが現実的な順序になります。

飲食・食品業界における生成AIユースケース全体像

飲食・食品業界における生成AIユースケース全体像

では、どの業務領域で生成AIが効くのか。本記事では9カテゴリで整理します。「店舗業務」「本部業務」の列を付けたので、自社で先に手をつける行を探してみてください。

業務カテゴリ主な担い手生成AIの活用例効果の方向性
SNS・集客店舗+本部Instagram投稿文・Googleマップ説明文の生成投稿頻度の向上・文章作成時間の削減
口コミ・レビュー対応店舗ポジティブ/ネガティブ口コミへの返信文生成返信スピードの向上・トーンの統一
メニュー・商品開発本部季節食材を使った新メニュー・新商品案のブレストアイデア出しの時間短縮
多言語・インバウンド店舗メニュー・POPの多言語翻訳翻訳外注コストの削減
人事・採用店舗+本部アルバイト求人票・面接質問リストの作成採用関連の事務工数削減
品質管理・衛生管理本部+店舗アレルギー確認フロー・衛生チェックリストの文書化マニュアル整備の迅速化
仕入れ・発注店舗過去データに基づく食材発注量の試算支援食品ロスの削減支援
スタッフ教育本部新人研修資料・接客マニュアルの作成教育コンテンツの標準化
経営分析・販促本部月次売上分析レポートやカタログ・販促原稿の文章化判断と制作のスピード向上

飲食・食品の現場に共通するのは、「接客や製造で手一杯なのに、裏方の事務作業にも追われている」という状態です。SNSの投稿文、口コミへの返信、求人票、マニュアル、販促原稿——これらは全て「テキストを書く仕事」であり、生成AIが最も得意とする領域にあたります。

多店舗・多拠点のオペレーションという意味で近い構造を持つ業界の記事も公開しています。あわせてご覧ください。

ホテル・旅館業×生成AI 完全ガイド|フロント・多言語対応などの活用事例とプロンプト7選

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【2026年最新】小売業×生成AI 完全ガイド|業務別ユースケース・大手事例&プロンプト5選

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法人向けAI研修の導入社数No.1*の弊社デジライズが提供する「法人リスキリング」の研修内容・支援の流れ・料金をまとめたサービス資料を無料でお送りしています。

※出典:株式会社東京商工リサーチ「法人向けリスキリングサービスに関する調査」(2026年5月/調査期間:2026年3月26日〜4月17日/調査方法:デスクリサーチおよびヒアリング/2026年3月末時点)

大手企業はどこまで進んでいるか

大手企業はどこまで進んでいるか

「大手はどこまでやっているのか」——本部の担当者から最も多く聞かれる質問です。先行事例の設計を知っておくと、自社でどこから手をつけるかの当たりが付きます。

鳥貴族 — AI電話予約「さゆり」で当日ネット予約4.5倍

居酒屋チェーン「鳥貴族」は、エビソルのAI電話予約応対サービス「AIレセプション」を直営60店舗に導入しました。AIスタッフ「さゆり」が、そこにかかってくる月間推定3万件以上の電話応対を担う体制です。

先行導入していた都内21店舗では、2023年5月時点で当日のネット予約数が導入前後の比較で約4.5倍、電話予約数が約1.5倍になったと公表されています(出典:エビソル「鳥貴族、直営60店舗でAIレセプションを導入」・2023年5月16日)。

ここで押さえたいのは、「AIが電話を取る=人を減らす」という話ではない点です。リリースで示されているのは、導入後に当日のネット予約数・電話予約数がどちらも増えたという事実で、予約機会の取りこぼしを減らす使い方として参考になります。

日清食品 — 社内AIチャットを3週間で立ち上げ、テンプレートで定着させた

日清食品ホールディングスは、Microsoft Azure OpenAI Serviceを活用した社内専用チャットAI「NISSIN AI-Chat」を2023年4月25日に社内提供開始しました。構想から提供開始までわずか3週間というスピードです。

指標数値
IT問い合わせの作業工数削減24%
営業部門の月間利用率開始時 約28% → 2023年11月に7割近く
マーケティング部門の月間利用率2023年11月に8割超(前月にテンプレート公開)
部門向けプロンプトテンプレート100種類以上(14部門)

出典:Microsoft カスタマーストーリー「日清食品ホールディングス」

参考になるのは、部門ごとに業務へ特化したプロンプトテンプレートを用意したというアプローチです。「何に使えるか分からない」という最大の壁を、テンプレートの配布で正面から潰しています。

すかいらーくグループ — 「お客様の声」の可視化と活用ランキング

すかいらーくグループは、お客様から寄せられるご意見を生成AIで分析し、「お客様の声の可視化」に取り組んでいます。

社内では生成AI勉強会も実施し、活用ランキングを見える化。IT部門だけでなく全部門の担当者が生成AIを業務に活かし、生産性向上を図る体制をつくっています(出典:すかいらーくホールディングス統合報告書2024「Growth Strategies」)。

日清食品とすかいらーくは部門をまたいだ利用を進め、鳥貴族は予約対応そのものを60店舗の業務フローへ組み込んでいます。形は違いますが、共通するのは個人任せにせず、テンプレートや業務フローという「仕組み」として導入している点です。この仕組み側の設計が、本部の仕事になります。

私たちが支援した飲食・食品企業4社の導入事例

私たちが支援した飲食・食品企業4社の導入事例

ここからは、私たちデジライズがAI導入を支援した4社の事例を紹介します。

企業名事業従業員規模一番強い成果
サンリッチフードギフトのカタログ販売20〜49名新人研修資料の作成 120分→30分
ダイケン商会食品衛生コンサルティング20〜49名翻訳・要約の作業 10分→3分
Harapeco弁当製造・給食委託20〜49名盛り付けポップ制作 1〜2時間→30分以内
ワタミ外食・宅食1000名〜1999名全社AI基盤の導入を経営層が意思決定

サンリッチ 様|新人研修資料の作成を75%削減

サンリッチ様の生成AI導入事例

百貨店や生協向けに、お中元・お歳暮・おせちなどのカタログギフトを企画・編集・販売する、全国規模のフードギフトのカタログ販売会社です。物流特許を取得したモデルにより、在庫を持たずに新鮮な商品を全国へ直送できる仕組みを実現しています。

従業員規模は20〜49名で、約8割が女性社員。そのうち多くが子育て中のママ社員です。導入前のメインの連絡手段はFAXで、デジタル化が進まず生産性が上がらないことが課題でした。ここに弊社の生成AI活用研修を実施しています。

業務導入前導入後
新人研修資料の作成120分30分(75%削減)
社内報の作成60分20分(66%削減)
メルマガ原稿の作成90分45分(50%削減)

現在は、食品ラベルの表示ミスをAIで自動検出する実証実験を終え、品質管理業務の精度向上に取り組んでいる段階です。カタログ制作でのAIによる原稿自動生成も導入予定となっています。

参考:サンリッチ 様 導入事例(デジライズ)

ダイケン商会 様|翻訳・要約の作業を約70%削減

ダイケン商会様の生成AI導入事例

愛知県の「食品のデザイン企業」として、食品衛生の観点から賞味期限延長や工場の安全性向上などのコンサルティングを行う企業です。微生物抑制、原材料提案、ライン清掃指導まで手がけています。従業員規模は20〜49名。

導入前は社内のAI抵抗感が強く、社員の疑問が特定の担当者に集中していました。翻訳・要約作業に時間を取られ、本来業務に注力できないことも課題でした。

業務導入前導入後
翻訳・要約の作業10分3分(約70%の時間削減)
営業ロープレ対面練習が中心で想定外の質問への対応が困難生成AIが商談相手役として想定問答を自動生成

新人・若手社員でも多角的な質問に触れながら、実践的な営業スキルを身につけられる環境になりました。

参考:ダイケン商会 様 導入事例(デジライズ)

Harapeco 様|盛り付けポップ制作を30分以内に短縮

Harapeco様の生成AI導入事例

北海道札幌市豊平区に本社を置き、弁当事業と給食・社員食堂委託事業を手がける企業です。従業員規模は20〜49名。1ヶ月分の献立作成が担当者の慣習や経験に沿った構成になりがちで、新しいアイデアが出にくい状態でした。

元のレシピから100人分への分量展開や、管理栄養士の不在時に急な栄養成分算出を手計算で行うなど、専門スタッフに負荷が集中していたことも課題でした。

業務導入前導入後
盛り付け目安のポップ制作1〜2時間30分以内
100人分へのレシピ展開・緊急時のカロリー算出手計算数秒で完了
献立作成経験に沿った構成が中心AIを壁打ち相手に「新しい視点」を掛け合わせる

代表や実務担当者を中心に、AIを「チャット君」と呼んで気軽に相談し合える文化が根付き始めている点も、定着の観点で参考になります。

参考:Harapeco 様 導入事例(デジライズ)

事例と同じ研修の内容・進め方・料金は、サービス資料でご確認いただけます。

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ワタミ 様|全社AI基盤の導入を経営層が意思決定

ワタミ様の生成AI導入事例

外食事業と宅食事業を主力とし、全国に多数の店舗・拠点を展開する企業です。従業員規模は1000名〜1999名。一度膨らんだ業務を精査して全体の約3割を削減し、そのうえで残った業務をDXや生成AI、RPAなどで効率化してさらに2割削減する、という方針を掲げていました。

課題は、一部の部署で非公式のAIを個人が利用する「シャドーIT」の状態に留まっており、全社的な活用スキルの平準化が進んでいなかったことです。

業務導入前導入後
全社のAI活用基盤非公式のAIを個人が使う「シャドーIT」状態公式な生成AI基盤の導入と全社的な教育カリキュラム実施を経営層が意思決定
全社展開の道筋何にAIを使えるか分からない「全社展開に向けた具体的なロードマップが描けた」

参考:ワタミ 様 導入事例(デジライズ)

4社に共通するのは、AIで人の最終判断を置き換えるのではなく、資料作成・翻訳・営業練習・献立の壁打ち・計算・全社教育といった「人の業務を支える用途」から始めている点です。この順序なら、食品安全の判断を人に残したままAI活用を進められます。

こうした事例のように、自社の業務フローに合わせたAIチャットボットやカスタムAIシステムを構築したい場合は、弊社デジライズのAIコンサルティング&開発サービスで設計から開発まで支援しています。

飲食店の現場で使える生成AIプロンプト7選

飲食店の現場で使える生成AIプロンプト7選

ここからは、現場で明日から使える7つのプロンプトを紹介します。すべてテキストで掲載していますので、ChatGPTやClaude、Geminiなどお使いのツールにそのままコピペしてください。

  1. Instagram投稿キャプション生成(SNS・集客)
  2. Googleマップ口コミへの返信文生成(口コミ対応)
  3. アルバイト求人票の作成(人事・採用)
  4. 多言語メニュー翻訳(インバウンド対応)
  5. アレルギー確認フローの文書化(衛生管理)
  6. 食材発注量の試算サポート(仕入れ・食品ロス)
  7. 月次売上分析レポートの文章化(経営管理)

①【SNS・集客】Instagram投稿キャプション生成

①【SNS・集客】Instagram投稿キャプション生成

シーン: 新メニューや季節限定メニューの写真を撮ったけど、毎回キャプションを考えるのが面倒…というとき。

あなたは飲食店のSNS運用担当者です。
以下の情報をもとに、Instagram投稿用のキャプションを作成してください。

【店舗情報】
・店名:{店名}
・業態:{居酒屋 / カフェ / ラーメン店 / イタリアン 等}
・ターゲット:{20代女性 / ファミリー / ビジネスマン 等}
・エリア:{最寄り駅・地域名}

【投稿内容】
・メニュー名:{メニュー名}
・特徴:{食材のこだわり、調理法、期間限定など}
・価格:{税込価格}
・撮影した写真の説明:{料理のアップ / 店内の雰囲気 / 調理風景 など}

【キャプション要件】
1. 1行目で目を引くフレーズ(絵文字は2〜3個まで)
2. メニューの魅力を3〜4行で伝える
3. 来店を促すひと言(期間限定・数量限定など)
4. ハッシュタグ10〜15個(地域名・業態・メニュー名を含む)
5. 全体で200〜300文字

【トーン】
・親しみやすく、押し売り感のない自然な文体
・「映え」を意識しつつも、味や食材のストーリーを伝える

応用のコツ: 過去に反応が良かった投稿のキャプションを「参考にして」と追加すると、お店のトーンに合った文体が安定します。曜日別に「月曜はランチ訴求、金曜は飲み放題訴求」とパターン化するとさらに効率的です。

注意点: 価格・営業時間・アレルギー情報など、事実に関わる部分は必ずスタッフが確認してから投稿してください。

②【口コミ対応】Googleマップ口コミへの返信文生成

②【口コミ対応】Googleマップ口コミへの返信文生成

シーン: Googleマップやぐるなびの口コミに返信したいけど、毎回文面を考えるのが大変…というとき。

あなたは飲食店の口コミ対応担当者です。
以下の口コミに対する返信文を作成してください。

【口コミの種類】
{ポジティブ / ネガティブ / 混合(良い点と改善点の両方)}

【口コミの内容】
{口コミ本文をコピペ}

【店舗の方針】
・店名:{店名}
・返信のトーン:{丁寧かつ温かみがある / カジュアルで親しみやすい}

【返信文の要件】
1. 来店と口コミ投稿への感謝(必ず冒頭に)
2. 口コミの具体的な内容に触れる(コピペ感を出さない)
3. ネガティブな指摘には改善への姿勢を示す(言い訳はしない)
4. 再来店を促すひと言
5. 署名(店長名またはスタッフ名)
6. 全体で150〜200文字

【絶対NG】
・「申し訳ございません」の連発
・口コミの内容を否定する
・他店との比較

応用のコツ: ネガティブ口コミには「具体的にどう改善するか」を1つだけ明記すると、他の閲覧者にも好印象を与えます。同じ形式で複数パターン生成し、口コミの種類別テンプレートとして本部から配布するのも有効です。

③【人事・採用】アルバイト求人票の作成

③【人事・採用】アルバイト求人票の作成

シーン: 求人媒体に掲載する募集文を毎回ゼロから書くのが面倒。店舗の魅力を伝えつつ、応募が来る文面をサッと作りたいとき。

あなたは飲食業界の採用コンサルタントです。
以下の条件で、アルバイトの求人票を作成してください。

【店舗情報】
・店名:{店名}
・業態:{居酒屋 / カフェ / ファストフード 等}
・エリア:{最寄り駅}
・雰囲気:{アットホーム / 活気がある / 落ち着いた 等}

【募集条件】
・ポジション:{ホール / キッチン / 両方}
・勤務時間:{例: 17:00〜23:00}
・時給:{金額}
・シフト:{週2日〜OK / 土日のみ / 応相談}
・まかない:{あり / なし}
・交通費:{支給 / 上限あり}

【求める人物像】
{例: 未経験歓迎、大学生OK、フリーター歓迎、外国人留学生歓迎}

【お店のアピールポイント】
{例: スタッフ仲が良い、料理の腕が上がる、有名人も来店、独立支援あり}

【求人票の構成】
1. 目を引くキャッチコピー(1行)
2. お店の紹介(3〜4行)
3. 仕事内容(箇条書き)
4. 待遇・条件(箇条書き)
5. こんな人を歓迎します(3〜4項目)
6. 応募方法

【トーン】
・堅すぎず、働きたくなる温度感
・条件の羅列ではなく、「ここで働くとどんな体験ができるか」を伝える

応用のコツ: 同じ求人でもタウンワーク向け・Indeed向け・SNS向けで文体を変えると効果的。「以下の求人票をIndeed向けに300文字以内でリライトして」と続けるだけで、媒体別にカスタマイズできます。

④【インバウンド対応】多言語メニュー翻訳

④【インバウンド対応】多言語メニュー翻訳

シーン: 外国人のお客さまが増えてきたので、メニューを英語・中国語・韓国語に翻訳したいとき。

あなたは飲食業界に詳しい多言語翻訳の専門家です。
以下の日本語メニューを英語・中国語(簡体字)・韓国語に翻訳してください。

【メニュー一覧】
{メニュー名と簡単な説明をリスト形式で}

例:
・特製つけ麺(魚介豚骨スープ、自家製太麺、チャーシュー2枚、味玉、海苔)
・から揚げ定食(鶏もも肉の唐揚げ5個、ご飯、味噌汁、漬物)
・抹茶パフェ(抹茶アイス、白玉、あんこ、生クリーム、抹茶ソース)

【翻訳の要件】
1. 料理名は音訳(ローマ字読み)+ 意訳の両方を記載
2. 特定原材料9品目(えび・カシューナッツ・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生)を含む場合は明記
3. ベジタリアン/ヴィーガン対応の場合はマーク付記
4. 辛さレベルがある場合は統一記号で表記
5. 各言語でメニュー表にそのまま使える体裁

【注意事項】
・固有の食材名(出汁、味噌、抹茶等)は音訳のまま残し、括弧内に説明を添える
・量の表記は現地で馴染みのある単位に変換(gや個数)

応用のコツ: 翻訳結果をスプレッドシートで一覧管理すると、メニュー変更時の更新が楽になります。季節メニューの差し替え時も、前回のフォーマットを引き継げます。

注意点: アレルギー情報の翻訳は必ずスタッフが確認してください。 生成AIは、あなたのお店で実際に使っている調味料や食材の成分を知りません。特に「隠れアレルゲン」(調味料に含まれる小麦など)は見落とされる可能性があるため、最終確認は人が行ってください。

⑤【衛生管理】アレルギー確認フロー文書化

⑤【衛生管理】アレルギー確認フロー文書化

シーン: スタッフ全員が統一された手順でアレルギー対応できるよう、確認フローをマニュアル化したいとき。

あなたは飲食店の衛生管理に精通したコンサルタントです。
以下の条件で、アレルギー確認フローのマニュアルを作成してください。

【店舗情報】
・業態:{居酒屋 / レストラン / カフェ 等}
・席数:{数}席
・スタッフ構成:{社員○名、アルバイト○名}

【作成条件】
1. 予約時・来店時・注文時・調理時・提供時の5段階で整理
2. 各段階で「誰が」「何を」「どう確認するか」を明確に
3. 特定原材料9品目(えび・カシューナッツ・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生)を必ず網羅
4. お客さまへの確認トーク例(スクリプト)を各段階に付記
5. 万が一アレルギー症状が出た場合の緊急対応フロー
6. A4サイズ2枚以内に収まるレイアウト

【出力形式】
・フローチャート形式(テキストベース)
・チェックリスト形式(印刷して店舗に掲示できる)

注意点: 出てくるのはあくまで「ドラフト」です。アレルギー対応は人命に関わるため、必ず食品衛生責任者が内容を確認してから運用してください。 なお特定原材料は2026年4月にカシューナッツが追加されて9品目になりました(消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」・「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」令和8年4月作成より)。

⑥【仕入れ・食品ロス】食材発注量の試算サポート

⑥【仕入れ・食品ロス】食材発注量の試算サポート

シーン: 過去の売上データをもとに、翌週の食材発注量の目安を出したいとき。

あなたは飲食店の仕入れ管理の専門家です。
以下のデータをもとに、来週の食材発注量の試算を行ってください。

【店舗情報】
・業態:{業態}
・席数:{数}席
・営業時間:{時間帯}
・平均客単価:{金額}

【過去データ】
直近4週間の日別来客数:
{月〜日の来客数を4週分}

【来週の特記事項】
{例: 金曜に近隣でイベントあり / 月曜が祝日 / 雨予報の日がある}

【主要食材と1人前使用量】
{例:
・鶏もも肉: 1人前150g(から揚げ定食)
・米: 1人前200g
・キャベツ: 1人前80g(サラダ・付け合わせ)}

【出力形式】
1. 曜日別の来客予測(根拠付き)
2. 食材別の必要量(日別・週合計)
3. 発注量の推奨値(ロス率5%を見込んだ数量)
4. 注意すべきリスク(天候・イベントの影響)

応用のコツ: 毎週同じフォーマットで実績データを蓄積していくと、前提が揃うぶん試算の精度が安定します。POSデータをCSVで出力できる場合は、そのまま貼り付けるだけで済みます。

注意点: AIの試算はあくまで「参考値」です。最終的な発注判断は、天候・季節・地域イベントなど現場の肌感覚を加味して行ってください。

⑦【経営管理】月次売上分析レポートの文章化

⑦【経営管理】月次売上分析レポートの文章化

シーン: 月次の売上データはあるけど、それを読み解いて次のアクションにつなげる「分析レポート」を書く時間がないとき。

あなたは飲食店の経営コンサルタントです。
以下の月次データをもとに、オーナー・店長向けの分析レポートを作成してください。

【月次データ】
・売上高:{金額}(前月比{%} / 前年同月比{%})
・来客数:{人数}(前月比{%})
・客単価:{金額}(前月比{%})
・原価率:{%}(前月{%})
・人件費率:{%}(前月{%})
・食品ロス額:{金額}(前月比{%})

【その他の情報】
{天候の影響 / 新メニュー投入 / キャンペーン実施 / 近隣の競合動向 等}

【レポートの構成】
1. 今月の業績サマリー(3行以内で即座に把握できる要約)
2. 売上・客数・客単価の分析(好調/不調の要因を具体的に)
3. コスト構造の分析(原価率・人件費率の変動要因)
4. 来月に向けたアクション提案(3項目、優先度付き)

【トーン】
・数字の羅列ではなく「だからどうすべきか」を示す
・飲食店の経営者が朝の10分で読める分量

応用のコツ: 毎月同じプロンプトに数字だけ差し替えることで、一貫したフォーマットのレポートが蓄積されます。3ヶ月以上のデータが溜まれば、「直近3ヶ月の推移を踏まえて」と指示することで季節変動も考慮した分析が得られます。

飲食・食品業界×生成AIのリスクとガバナンス

飲食・食品業界×生成AIのリスクとガバナンス

プロンプトの使い方が分かっても、「食品を扱う以上、AIを信用して大丈夫なのか」という不安が残るのが飲食・食品業界の特性です。本部として決めておくべき線引きを整理します。

アレルギー情報をどう扱うか

生成AIは「一般的にこの食材にはこのアレルゲンが含まれる」という知識は持っていますが、あなたのお店で実際に使っている調味料や食材の成分を知っているわけではありません。しょうゆに含まれる小麦、マヨネーズに含まれる卵、製品によっては乳成分を含むカレールー——こうした「隠れアレルゲン」は見落とされる可能性があります。

制度面では、外食・中食は様々な規模や営業形態があることから、一律の表示ルールは設けられていません(消費者庁長官記者会見・2026年4月2日より)。ただし健康に直結する領域であることは変わらないので、次の3点を社内ルールとして決めておくことをおすすめします。

  1. AIの回答をそのままお客さまに提示しない — 実際の原材料・調味料・調理工程を店舗側で必ず確認する
  2. AIにアレルギー判定そのものを任せない — AIは「ドラフト作成ツール」と位置づけ、最終判断は人が行う
  3. 表示の根拠は一次情報に当たる — 特定原材料の範囲は改正される。直近では2026年4月にカシューナッツが追加され9品目になった

顧客データ・レシピ情報の機密管理

飲食・食品企業がAIに入力するデータとして、特に注意が必要なのは以下の3種類です。

データ種別リスク対策
顧客の個人情報(予約名・電話番号・アレルギー歴)外部サービスへの送信による漏洩リスク匿名化してから入力。「30代女性・小麦アレルギー」のように属性だけで十分
独自レシピ・仕入先情報競合への流出リスク会社が契約した業務向けプランで扱う
売上・原価等の経営数値経営情報の漏洩リスク同上。個人契約のアカウントで扱わない運用にする

どのプランを選ぶか

「有料なら学習されない」という整理は正確ではありません。判断軸は料金の有無ではなく、個人向けの消費者契約か、管理者が契約する業務向けの契約かです。

契約位置づけ入力・出力のモデル学習
ChatGPT Business / Enterprise管理者がワークスペースを管理する法人向け契約ワークスペースのデータをモデルの学習に使わない
Claude Team / Enterprise・API法人・商用向け契約デフォルトでは入力・出力を学習に使わない
個人向けプラン(ChatGPT Free/Go/Plus/Pro、Claude Free/Pro/Max)個人が契約する消費者向け扱いが設定に左右されるため、業務データを入れる前に設定を確認する

なお、ChatGPT Team は2025年8月29日に ChatGPT Business へ名称変更されています(OpenAI ヘルプAnthropic プライバシーセンターより)。多店舗で使うなら、店舗ごとに個人契約を作らせるのではなく、本部が法人契約を用意してアカウントを配る形が管理しやすくなります。

飲食業向け生成AI利用ガイドラインの設計

組織としてAIを使うなら、最低限以下の5項目を文書化しておくことをおすすめします。

  1. 使ってよい業務の範囲 — SNS投稿の下書き、求人票、研修資料など「人命や健康に直結しない業務」から始める
  2. 入力禁止データの定義 — 顧客の個人情報、スタッフの個人情報、取引先の非公開情報
  3. アレルギー関連の確認フロー — AIが生成したアレルギー情報は食品衛生責任者がダブルチェック
  4. 使うツールと契約の指定 — 個人契約ではなく、会社が用意した業務向け契約のアカウントを使う
  5. 最終確認の責任者 — AI出力物を公開・提供する前に誰が最終確認するか

飲食・食品業界の生成AI導入ロードマップ(3ステップ)

飲食・食品業界の生成AI導入ロードマップ

一度にすべて進めようとすると、対象業務や責任分担が曖昧になりやすくなります。以下の3ステップで段階的に進めることをおすすめします。期間はあくまで目安で、店舗数や推進体制によって前後します。

ステップ期間の目安目的ゴール
1. バックオフィスの効率化0〜3ヶ月まず1人が成功体験を作る事務作業の削減を実感できている
2. スタッフ全体への展開3〜6ヶ月チーム全体の業務改善全スタッフがAIを日常的に使用
3. 業務プロセスへの統合6〜12ヶ月AIを業務の一部にするAIが特別ではなくなっている状態

ステップ1: バックオフィスの効率化

  • 本部の推進担当者が、会社として契約した業務向けプランのアカウントで使い始める
  • 本記事のプロンプト7選から、自分の業務に最も近い2〜3個を毎日使ってみる
  • SNS投稿の下書き、口コミ返信、求人票の作成など「接客以外の事務作業」から着手
  • この段階ではアレルギー情報や食品表示に関わる業務にはAIを使わない

ゴール: 「AIは使える」という実感と、事務作業の削減を数字で言える状態にすること

ステップ2: スタッフ全体への展開

  • AI利用ガイドライン(入力禁止データ・確認フロー・使用ツール)を策定
  • 全スタッフ向けの研修を実施(外部研修やオンライン講座を活用)
  • サンリッチのように、研修資料・マニュアル・社内報の作成にAIを標準活用
  • Harapecoのように、業務固有の活用法(献立の壁打ち・レシピ計算など)を開発

ゴール: 全スタッフがAIを日常的に使い、店舗・拠点全体の生産性が向上すること

ステップ3: 業務プロセスへの統合

  • 日清食品のように、部門別のプロンプトテンプレートを整備し、誰でも同じ品質で使えるようにする
  • 鳥貴族のように、予約対応にAIを組み込み、スタッフの負担を構造的に減らす
  • ワタミのように、全社的なAI基盤の導入と教育体制の整備を経営の意思決定として実行
  • 蓄積されたデータをもとに、発注量の最適化や需要予測の精度向上に取り組む

ゴール: AIが業務プロセスに組み込まれ、「AIを使う」ことが特別ではなくなっている状態

よくある失敗3パターン

  1. 最初から全店・全業務に広げる — 対象が広いほど「誰がどう使うか」が決まらず、旗振り役の負担だけが増えます。まず1部署・1業務に絞り、成果の出た型を横展開する方が速いです
  2. アカウントを配って終わりにする — 使い方の共有と相談先がないと、最初の1週間で触らなくなります。テンプレートの配布と、詰まったときに聞ける場所をセットで用意してください
  3. 食品安全に関わる業務から手をつける — アレルギー・表示まわりは確認工数が重く、成功体験を作る前に止まります。バックオフィスで実績を作ってから設計するのが順序です

ここまで読んで「自社の業務にどう取り入れるか、店舗へどう広げるかを具体的に考えたくなった」という方へ。法人向けAI研修の導入社数No.1*の弊社デジライズが、生成AIの基礎知識から社内導入の6ステップ・定着のポイントまでを1冊にまとめた「はじめての生成AI社内導入ガイド」を無料で配布中です。

※出典:株式会社東京商工リサーチ「法人向けリスキリングサービスに関する調査」(2026年5月/調査期間:2026年3月26日〜4月17日/調査方法:デスクリサーチおよびヒアリング/2026年3月末時点)

まとめ:飲食・食品業界×生成AIは人手不足下の業務効率化を支える

まとめ:飲食・食品業界×生成AIは人手不足下の業務効率化を支える

飲食店の倒産は2025年に900件と過去最多を更新し、2026年上半期も473件と上半期ベースで過去最多でした。人手不足とコスト高は構造的な問題として定着しています。

一方で、AIを使った経験のある飲食店経営者の73.5%が満足していると答えているのに対し、「今後も利用予定がない」層の62.2%が「具体的な用途がイメージできない」ことを理由に挙げています。本部の仕事は、この「用途」を先に決めて現場へ渡すことです。

この記事の要点は3つです。

  1. 生成AIは「料理を作るAI」ではない — SNSの投稿文、口コミの返信、求人票、研修資料、販促原稿といった裏方の事務作業を高速化し、人が料理・製造・接客に集中できる時間を生む
  2. 順序はバックオフィスから — 食品安全に関わる領域は、成功体験を作ってから設計する
  3. 契約とルールは本部が用意する — 業務向けの契約、入力禁止データ、最終確認の責任者。この3つが決まれば店舗は迷わない

まずは本記事のプロンプト7選から1つ選び、社内で試すところから始めてみてください。実際に触ってみると、「何に使えるか分からない」という状態から、具体的な活用イメージを持ちやすくなります。

この記事の著者 / 編集者

チャエン

株式会社デジライズ 代表取締役

チャエン

法⼈向けのAI研修、及び企業向けChatGPTを開発する株式会社デジライズをはじめ、他数社の代表取締役。一般社団法人生成AI活用普及協会評議員を務めながら、GMO AI & Web3株式会社など他数社の顧問も兼任。NewsPicksプロピッカーも兼任。Twitterはフォロワー16万⼈。⽇本初AIツール検索サイト「AI Database」やAIとの英会話ができる「AI英会話」など複数のAIサービスも開発。ABEMAやTBSテレビなどメディア出演も多数。