チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

CES 2025の注目テクノロジー7選:未来を変える革新的イノベーションが続々登場!

世界最大級の家電・IT見本市として知られるCES(Consumer Electronics Show)。毎年1月に開催されるこのイベントは、新製品の発表や先端テクノロジーのお披露目の場として、世界中のメディアや業界関係者が大きな注目を寄せています。

2025年のCESも例外ではなく、私たちの生活を大きく変えそうな数多くの画期的なイノベーションが披露され、大きな話題を呼びました。AI(人工知能)、AR/VR、ロボティクス、エレクトロニクスといった領域で、技術が一層加速しているのを実感できた方も多いのではないでしょうか。

本記事では、そんなCES 2025を代表する注目のテクノロジーを7つピックアップ。それぞれの特徴やスペック、今後の展望などを詳しく解説します。最新情報をキャッチして、未来のライフスタイルやビジネスチャンスを見逃さないようにしましょう。

1. 自宅にAIスパコンがやってくる:NVIDIA「Project DIGITS」

主な特徴

近年、生成系AIや大規模言語モデル(LLM)といったキーワードを耳にする機会が増えましたが、その多くは強大なGPUクラスタを備えたデータセンター上で動作させることが一般的でした。そんななか、CES 2025でNVIDIAが発表した「Project DIGITS」は、自宅にいながら本格的なAIスパコン並みの演算能力を手にすることができるという、まさに時代の一歩先を行くコンセプトを体現した製品です。

最大2,000億パラメータのAIモデルを単体で実行可能

これまでクラウドを介してしか扱えなかったような大規模モデルを、個人の手元で直接動かせます。研究者やエンジニアだけでなく、クリエイターや一般ユーザーまでもが、超大規模AIを扱う時代が到来しそうです。

家庭用電源で動作する省電力設計

本格的なGPUを複数積んだシステムは、電力消費が非常に大きくなるものですが、「Project DIGITS」は自宅のコンセントから電源を取れるよう工夫されています。AIスパコンが小型化・省電力化したおかげで、扱いやすさが格段に上がりました。

3,000ドルからという個人でも手が届く価格設定

従来のハイエンドGPUを複数台構築するよりコストを抑えられる可能性があるため、フリーランスのAI開発者やデザイナーなどにも注目されそうです。

技術仕様

NVIDIAが誇る新世代のAIアクセラレータ「GB10 Grace Blackwell Superchip」を搭載しています。

  • 128GB LPDDR5Xメモリ最大4TBのNVMe SSDを搭載し、大容量データの取り扱いも難なくこなせる。
  • FP4精度1ペタフロップスもの演算性能を叩き出す。
  • 静音設計と熱効率に優れたクーリング機構を採用し、深夜や在宅ワーク中でも不快に感じないレベルの稼働音に抑えられる見込み。

この「Project DIGITS」の登場は、AI処理が「一部の企業や研究機関の専売特許」だった時代から、「個人でも大規模モデルを動かせる」時代への大きな転換点を示唆しています。今後のクリエイティブや研究開発の現場に、さらなるイノベーションが起こることは間違いありません。

2. リアルタイムのAIアシスタント「Halliday Glasses」

革新的機能

次に紹介するのは、Halliday Glassesというウェアラブルデバイス。これまでのスマートグラスは「通知を映す」「AR情報を表示する」といった使い道が主でしたが、Halliday GlassesはリアルタイムのAIアシスタント機能を強化した点で大きく差別化されています。

DigiWindowモジュールによる3.5インチの表示を目に直接投影

スマートグラスのディスプレイ技術としては超小型かつ高解像度。視認性が高く、操作性もシンプルなUIが特徴。

40言語のリアルタイム翻訳を搭載

海外出張や旅行先でのコミュニケーションを劇的にスムーズに。マイクによって音声を拾い、目の前にテキストとして表示する仕組み。

価格は$489(事前予約で$369)

カメラは非搭載でありながら、通知表示やAIアシスタント機能に特化し、コストを大幅に削減。一般ユーザーの普段使いにも十分視野に入る。

実用性を重視した設計

処方レンズに対応している点が、メガネを日常的に使う人にとっては非常に嬉しいところ。ハイテクガジェットというと「見た目が未来的すぎて日常に溶け込みにくい」という課題がありましたが、Halliday Glassesは399〜499ドル程度の価格帯でデザイン性も重視しており、ユーザーの多様なライフスタイルに合わせやすくなっています。

2025年3月から順次出荷開始とのことなので、リアルタイム翻訳を活かしたグローバルコミュニケーションの普及を大いに後押しするでしょう。さらに音声AIアシスタントとの組み合わせで、メールの読み上げや予定管理までこなせる未来が見えてきます。

3. 遂に日本メーカーもEVに本気「Honda 0シリーズ」

電気自動車(EV)市場において、欧米勢や新興中国メーカーの台頭が目覚ましい中、日本の自動車メーカーも本格的なEVラインナップを整え始めています。その先陣を切る形で発表されたのが、Honda 0シリーズです。

Honda 0 SALOON

低全高でスポーティーなデザイン

セダンタイプながら、より空気抵抗を減らし、スポーティーな走行性能を重視したフォルムが印象的。

広々とした室内空間

EVパッケージならではの利点を活かし、ホイールベースを長く確保。後部座席やラゲッジスペースにゆとりを持たせています。

2026年からグローバル展開予定

北米や欧州、アジア市場を意識した、グローバルなモデルラインとなる見込み。

Honda 0 SUV

  • 中型SUVセグメントに向けた意欲作

    高めの車高や広い車内によって、家族旅行やアウトドア用途にもピッタリ。
  • 2026年前半から北米で生産開始

    本場のSUV大国である北米市場を強く意識し、現地生産によるコストダウンを狙います。
  • グローバル市場を視野に入れた展開

    HondaのEV戦略の中核モデルとなり、さらに上位・下位モデルへの展開が予想されます。

Hondaは従来からハイブリッド技術に強みを持っていましたが、ここにきてEV分野でも「0シリーズ」という分かりやすいブランドを打ち立てたことで、世界市場での競争力を高める狙いが見え隠れします。CES 2025で披露された試作車の完成度も高く、EV市場の今後の勢力図に大きなインパクトを与えそうです。

4. 手書きで書いた文字を一瞬で電子化「Nuwa Pen」

革新的テクノロジー

スマートペンというカテゴリ自体は以前から存在しますが、Nuwa Penは「専用用紙を必要としない」「トリプルカメラによる高精度な筆跡認識」「クラウド連携によるAI学習の継続アップデート」といった複数のイノベーションを組み合わせた製品となっています。

トリプルカメラ搭載

ペン内部に3つのカメラを搭載し、ペン先の動きを3次元的に捉えることで、筆圧や速度に応じた正確なトラッキングを実現。

専用用紙不要

従来のスマートペンは特殊なドットパターンの入った専用ノートが必要な場合が多かったが、Nuwa Penは通常の紙でも認識できるため、利便性が格段に上昇。

自己学習AIモデル

ユーザーの筆記スタイルを学習し、誤認識を減らしていく仕組み。時間が経つほど精度が向上する。

市場投入

2025年第1四半期からパブリックベータ版の出荷が開始される予定です。手書きメモをそのままデジタル化してクラウド上で共有したり、OCR機能と連動して文章として編集可能にしたりと、働き方や学習スタイルを変革するデバイスとして大いに注目を集めています。ビジネスパーソンや学生のデジタルノート化に大きく寄与することでしょう。

5. 一家に一台のAI医者がやってくる「OMNIA」

包括的な健康管理機能

ヘルスケア分野もCESの重要なテーマです。2025年は特に、AI技術を駆使して予防医療やセルフケアを高度化するプロダクトが多数登場しました。その中でも大きな話題となったのが、OMNIAです。

360度ボディスキャンによる詳細な健康指標測定

スマートミラーのようなデバイスに身を映し出すだけで、骨格や体脂肪率、筋肉量、心拍数、体温など数多くのパラメータを瞬時に計測。

既存のヘルスケア製品との連携

スマートウォッチや体重計など、他社のIoTヘルスデバイスとも連携し、包括的な健康データを一元管理。

AIアシスタントによるリアルタイムアドバイス

食事管理や運動量のアドバイスをAIが自動で提案。ユーザーのライフスタイルを学習して最適なサジェストを行う。

医療との連携

遠隔医療サポート機能を通じて、得られたデータを医療専門家と共有できるのも大きな強み。例えば、定期健診の数値をリアルタイムにかかりつけの医師へ送信し、必要があればオンライン診療を受けるといった形が可能になります。

自宅でのセルフチェックから病院との連携までをワンストップで完結できるため、医療費の削減や早期発見・早期治療につながる期待が膨らんでいます。

6. ロボットアーム搭載のロボット掃除機「Roborock Saros Z70」

概要

Roborock社の新製品「Saros Z70」は、CES 2025の会場でひときわ注目を浴びたロボット掃除機の一つ。掃除ロボットの普及率が高まりつつある中、さらなる快適性を追求し、「5軸の折り畳み式ロボットアーム」を搭載するという思い切ったアプローチを打ち出しました。

OmniGripアーム

  • 最大300gまでの軽量物を拾い上げ可能(靴下、ティッシュ、ミニタオル、サンダルなど)
  • アーム先端にカメラ、LEDライト、重量検知センサーを内蔵
  • 掃除機が床の障害物を認識してアームで持ち上げ、別の場所へ移動させたり、ごみとして吸い込んだりする動作が可能に。

StarSight Autonomous System 2.0

  • 3D飛行時間センサー+RGBカメラ+機械学習技術を組み合わせ、最大108個のオブジェクトを検出
  • 部屋の間取りや障害物をリアルタイムに学習し、回避経路を柔軟に選択

VertiBeam

  • 新しいレーザー駆動の障害物回避技術
  • ケーブルや不規則な形状の家具など、従来の掃除ロボットが苦手としていた領域もより正確に回避

Matter 1.4対応

  • スマートホームで注目されるMatter規格をサポート
  • 他社のスマートデバイスとの連携や音声コントロールが容易

主な特徴と注目ポイント

The Vergeの実機レビューによると、アームの動きはまだスムーズとは言えず、1つの靴下を拾うのに約1分かかることもあるそうです。とはいえ、家電の進化としては大きな一歩であり、「床にある散らかったものを自動で片付けてくれる掃除機」という夢のようなコンセプトに最初にチャレンジした製品といえます。今後のソフトウェアアップデートやハードウェア改良により、さらに効率が高まっていくでしょう。

7. おしゃれ過ぎる。LG:世界初の透明4Kテレビ

発売概要

発売日: 2024年12月19日に米国で先行発売

価格: 59,999ドル(日本円で約880万円)

サイズ: 77インチ4K有機ELパネル

CES 2025では、デザイン性に優れた家電製品が数多く出展されましたが、中でもLGの透明4Kテレビは、そのインパクトの強さから「今回のCESの顔」としてメディアの注目を集めました。

主な特徴

世界初の透明4K有機ELテレビ

画面自体が透けており、未使用時にはガラスのパネルのようにインテリアに溶け込みます。オン時には4K映像が立体感のあるビジュアルで表示されるため、まるで空中に映像が浮いているかのような新感覚を味わえます。

透明モードと通常の黒色モードを切り替え可能

透明な状態であえて背景を見せつつ映像を再生する“演出”もできれば、従来のテレビのようにコントラストを高めた黒色モードで映画鑑賞することも可能。

ワイヤレス映像・音声転送に対応

HDMIケーブルなどを物理的に接続することなく、映像・音声を高品質で転送できるシステムを搭載。

画面下部の情報バー(T-Bar)機能

画面の一部を常時表示領域にして天気やニュース、時計などを映し出すことができ、インテリアの一部としても使いやすい設計。

Alpha 11 AIプロセッサー搭載

AIによる映像最適化や音声処理が従来比で4倍向上しており、映画やスポーツなどジャンルに合わせてダイナミックな映像体験を提供。

価格が約880万円と非常に高価ですが、ハイエンド嗜好のインテリアコーディネートや商業施設、企業のショールームなどでは、空間を演出するディスプレイとして注目されることは間違いありません。今後、技術の成熟とともに大型化・低価格化が進めば、一家に一台の「透明テレビ」という時代が来るかもしれません。

まとめ

CES 2025で紹介された7つの注目テクノロジーを駆け足で見てきました。AIの高度化や省電力技術の進展、デザイン性と実用性の融合など、どれもこれからのライフスタイルを大きく変えていく可能性を秘めています。

  • NVIDIA「Project DIGITS」がもたらす個人向けAIスパコン時代
  • Halliday Glassesによるリアルタイム翻訳とAIアシストの普及
  • 日本メーカーとしてEV戦線に本格参戦するHonda 0シリーズ
  • 手書き文字をスムーズにデジタル化するNuwa Pen
  • セルフ健康管理と遠隔医療を結びつけるOMNIA
  • ロボットアームで片付けもこなすRoborock Saros Z70
  • インテリアと一体化する透明テレビLGの4K OLED

2025年は、デバイスの高性能化と同時に、ユーザーエクスペリエンスの向上を重視したプロダクトが目立ちました。使い勝手や生活への溶け込み方が、今まで以上に重要視されているのです。単なる“ガジェット好き”だけが反応するのではなく、誰もが生活の一部として自然に利用できるような工夫がなされている点が、今回のCESでの大きな特徴と言えるでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. CES 2025はどこで開催されましたか?

A. 例年どおり、アメリカ・ラスベガスで開催されました。2025年も世界中の企業やスタートアップが集結し、新製品や先進技術を披露する一大イベントとなりました。

Q2. Project DIGITSは家庭用のAIスパコンとのことですが、本当に個人でも買えるのでしょうか?

A. NVIDIAは3,000ドルからという価格帯をアナウンスしています。ハイエンドPCとしては高額ですが、通常のGPUクラスタに比べれば相当安価で、最先端のAI研究を個人のレベルでも行いやすくなると期待されています。

Q3. Halliday Glassesはどのように操作するのですか?

A. タッチパッドや音声コマンド、あるいは視線の動きで操作できるとのことです。カメラが付いていない分、プライバシーやバッテリー消費の面でもメリットがあると開発元は説明しています。

Q4. Nuwa Penの筆跡認識はどの程度正確ですか?

A. 初期段階でも90〜95%程度の認識精度と報告されています。自己学習機能によって、使い続けるほど精度が上がり、ユーザーの筆記クセを学んでくれるのが特徴です。

Q5. Roborock Saros Z70のロボットアームは日本円でいくらぐらいで買えますか?

A. 現時点では具体的な日本円価格は発表されていませんが、北米での予価が1,499ドル前後といわれており、日本での価格は2〜3万円ほど上乗せされた金額になるかもしれません。

Q6. LGの透明4Kテレビは一般家庭でも実用的ですか?

A. インテリア的な魅力は高いものの、価格が約880万円と高額です。また、黒色モード以外ではややコントラストが落ちるといった課題もあるようです。まずは商業施設や企業向けのディスプレイ用途が中心になるでしょう。

これらのテクノロジーを見ていると、「未来がすぐ目の前にやってきた」という感慨深さを感じずにはいられません。AIやロボティクス、EV、ディスプレイ技術など、あらゆる分野で従来の常識を覆すスピードで進化が進んでいるのが現代の特徴です。そしてこのトレンドは、CES 2025をきっかけにいっそう加速していくでしょう。

特に2025年以降は、XR(AR/VR)の一般普及6G通信の商用化に向けた動きなども本格化すると予想されています。そうなれば今回紹介したデバイスやサービスが、さらに高度な接続性を得て、多様な場面での利便性を実現することは間違いありません。

ビジネスチャンスやライフスタイルの変革を捉えたい方は、ぜひCESで発表される情報をチェックし続けてください。今回の7つのテクノロジーが、あなたの未来を形作るヒントになるかもしれません。

この記事の著者 / 編集者

チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

法⼈向けのAI研修、及び企業向けChatGPTを開発する株式会社デジライズをはじめ、他数社の代表取締役。一般社団法人生成AI活用普及協会評議員を務めながら、GMO AI & Web3株式会社など他数社の顧問も兼任。NewsPicksプロピッカーも兼任。Twitterはフォロワー15万⼈。⽇本初AIツール検索サイト「AI Database」やAIとの英会話ができる「AI英会話」など複数のAIサービスも開発。ABEMAやTBSテレビなどメディア出演も多数。

関連記事