チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

近年、ChatGPTなどの生成AIの登場・普及が世界的に話題となっているように、AIは人々の暮らしや仕事をより便利に・効率的にするツールとして大きな注目を集めています。

企業のさまざまな部門で、業務効率化や顧客体験の向上、意思決定の精度向上など、多くの用途でAIが活用されています。

「自社でもAIを活用したいけれど、何から始めればいいのかわからない」「具体的にどんな効果があるのか知りたい」そんなお悩みはありませんか?

デジライズでは、AI活用を検討している企業の皆様に向けて、AI活用事例や導入のポイントをわかりやすくご紹介します。

ご興味のある方は以下のリンクから、お問い合わせいただけます。

はじめに:資料作成AIの新時代

資料作成—ビジネスパーソンの多くが直面する時間と労力を要する作業です。デザインセンスの有無にかかわらず、「見栄えの良い資料を短時間で作りたい」というニーズは普遍的なものでしょう。

そんな中、2025年5月30日に中国発のAIエージェント「Manus(マヌス)」が新たなスライド生成機能を発表しました。この機能は業界に大きな衝撃を与えています。AI研究家のチャエン氏は「資料作成AIの分野に革命をもたらす可能性がある」と評価し、「圧倒的No.1」と絶賛しています。

これまでもGensparkやGamma、イルシルなど様々な資料作成AIがありましたが、Manusのスライド生成機能はそれらを凌駕する可能性を秘めているとの声が広がっています。この記事では、この新機能の特徴、使い方、活用事例について詳しく解説していきます。

Manusとは?基本概念と特徴

Manus AI

Manusは中国のスタートアップ企業「Monica.im」によって開発された完全自律型AIエージェントです。2025年3月5日に発表され、瞬く間に世界の注目を集めました。

Manusの最大の特徴は、人間が細かい指示を出さなくても、自律的にタスクを分析・計画・実行できる点です。「汎用AI」と呼ばれるこのタイプのAIは、特定の機能に限定されず、様々な業務に対応できるマルチタスク能力を持っています。

Manusの基本的な機能

  • 自律的なタスク実行: 目標設定から結果の納品まで自立的に完結
  • 外部ツール統合: ブラウザ操作、Excel操作、コード実行など
  • クラウド実行: ユーザーがログアウトしても作業を継続可能
  • 高度なリサーチ能力: 複数の情報源から詳細に調査可能
  • コンテンツ生成: ウェブサイト構築、レポート作成などを自動化

Manusは「プランエージェント」「実行エージェント」「検証エージェント」の3段階のプロセスを経て動作します。まずタスクのプランを立て、次に実行し、最後に結果を検証します。この一連の流れを完全自動化することで、人間の作業負担を大幅に減らすことができます。

注目の新機能:Manusスライド生成機能

詳しい動画解説はこちら↓

2025年5月30日、Manusに「スライド生成機能」が搭載されました。Manusの公式アカウントは次のように発表しています:

「新登場!Manusスライド生成機能
Manusは、洗練されたスライド資料を瞬時に作成。たった1つのプロンプトから、あなたに適した完成形スライドを自動生成します。
ビジネス・教育・リモートワークのあらゆるシーンで、Manusはあなたの伝えたいことを最大限に引き出す資料をお届けします。
気になる部分はクリックするだけですぐ編集可能。完成したら即出力やチーム共有も簡単です。」

この機能の登場により、Manusは単なるAIエージェントから、プロフェッショナルな資料作成ツールへと進化しました。

Manusスライド生成機能の主な特徴

  • シンプルなプロンプト入力で完成: 短い指示文から詳細なスライドデッキを作成
  • リアルタイムデータ分析: 最新データを分析してグラフや図表を自動生成
  • 画像・メディアとの統合: 適切な画像やメディアを自動挿入
  • 修正・カスタマイズの容易さ: チャットや音声指示による簡単編集
  • 洗練されたデザイン: 日本向けの美しく整ったスライドデザイン

従来の資料作成AIとの比較

これまでの資料作成AIツールには以下のような課題がありました:

従来の資料作成AIの課題

  1. 複数ツールの使用が必要: リサーチはChatGPT、作成はGamma等、ツールの切り替えが必要
  2. インプットデータの制限: 特定のフォーマット以外に対応できない
  3. 日本語対応の弱さ: 特に図表やアイコン部分での文字化け
  4. デザインの洗練度: 海外製デザインが多く、日本のビジネス向けには不向き
  5. フォローアップの難しさ: 修正や更新が容易でない

対してManusのスライド生成機能は、これらの課題を解決しています:

Manusの解決策

  1. ワンストップソリューション: リサーチから資料作成までを一括して実行
  2. 多様なデータ形式に対応: テキスト、Excel、PDF、画像など幅広く対応
  3. 日本語対応の強化: 日本語を含むすべての要素が美しく表示
  4. 洗練された日本向けデザイン: シンプルで見やすいスライドを自動生成
  5. 編集の柔軟性: テキスト入力で簡単にスライドの修正が可能

Manusスライド生成の特長と強み

Manusのスライド生成機能が他のAIツールと比較して特に優れている点をより詳細に見ていきましょう。

1. リサーチ力の高さ

Manusはリサーチ能力に優れており、スライド作成に必要な情報を自動的に収集します。他のツールでは準備段階で人間が情報を集める必要がありましたが、Manusでは「AI業界の今後5年の展望を調査してスライドにして」という簡単な指示だけで、関連する最新情報を収集し、適切な構成で資料化してくれます。

2. デザイン性と1スライドあたりの情報量のバランス

Manusが生成するスライドは、美しいデザイン性と適切な情報量のバランスが取れています。例えば、Gensparkのスライドは「情報量が多すぎて海外っぽい」傾向がありますが、Manusは「より日本っぽい」スライドを生成可能です。1スライドあたりのメッセージ性がシンプルで見やすく、日本のビジネスシーンに適した資料が作れます。

3. 架空ブラウザによるリソース活用

Manusは「架空ブラウザ」を開いて外部サイトにログインし、スクリーンショットを取得して資料に組み込むことができます。これによって、他のAIツールでは不可能だった外部サービスの情報も資料に含めることができます。

4. 音声指示によるリアルタイム編集

スライドの編集もチャットや音声指示で行えるため、「表紙がダサいのでもっとかっこいい表紙にして」「この部分をもう少し詳しく説明して」といった柔軟な修正が可能です。修正指示を出すだけで自動的に変更が反映されるため、手作業での編集が不要です。

5. 出力形式の柔軟性

作成したスライドは、PowerPoint形式やPDF、Googleドライブに直接保存することができます。これにより、チーム内での共有や既存のプレゼンテーションツールとの連携も簡単に行えます。

実践!Manusスライド生成の使い方

Manusのスライド生成機能は、非常にシンプルな操作で利用することができます。以下は基本的な使い方です:

基本的な使用手順

  1. Manusにログイン: GoogleアカウントなどでManusにログイン
  2. スライド生成の指示: メッセージ欄に「〇〇についてスライド資料を作成して」と入力
  3. 自動生成プロセス: Manusが情報収集→構成設計→資料作成→検証の流れで自動実行
  4. 結果の確認: 生成されたスライドをプレビュー
  5. 必要に応じた編集: 「〇〇の部分をもう少し詳しく」などの追加指示
  6. エクスポート: PowerPoint、PDF、Googleドライブ等に保存

効果的なプロンプト例

以下は、Manusでスライドを生成する際の効果的なプロンプト例です:

「SDGs達成に向けた企業の取り組みについて、最新事例を含めた10枚程度のプレゼン資料を作成してください。データやグラフを効果的に使い、最後に今後の展望も含めてください。」
「当社の新製品『エコフレンドリー水筒』の特徴と市場性について、競合製品との比較を含めた営業用プレゼン資料を作成してください。ターゲット層は20-40代の環境意識の高い消費者です。」

プロからのTipsとコツ

  • 目的を明確に: 資料の目的(説明用、提案用、報告用など)を明記するとより適切な構成になります
  • 対象者を指定: 「経営層向け」「初心者向け」など対象を指定するとトーンが調整されます
  • 枚数の指定: 希望するスライド枚数を指定すると情報量が調整されます
  • デザインの指定: 「シンプルに」「カラフルに」などの指定も可能です
  • 既存資料の改善: 「この資料をブラッシュアップして」と既存資料から改善することも可能です

活用シーン別おすすめ事例

Manusのスライド生成機能は様々なシーンで活用できます。以下に代表的な活用事例をご紹介します。

1. 営業提案資料の作成

営業担当者にとって、クライアントごとにカスタマイズされた提案資料の作成は時間のかかる作業です。Manusを使えば、「〇〇業界の△△社向けの商品提案資料」といった指示だけで、業界分析や競合情報を含んだ専門的な提案資料が短時間で完成します。

2. 社内向けセミナー・研修資料

新人研修や社内勉強会の資料作成もManusの得意分野です。最新のトレンドや専門知識を盛り込んだ教育用スライドが簡単に作成でき、研修担当者の負担を大幅に軽減できます。

3. 経営層向け報告資料

データ分析やグラフ作成が得意なManusは、経営層向けの報告資料作成にも最適です。「第2四半期の営業成績と今後の予測をスライドにまとめて」といった指示で、見やすく説得力のある報告資料が作成できます。

4. 学術・研究発表用スライド

研究者や学生にとっても、Manusは強力な味方になります。論文や研究データをインプットするだけで、学術発表に適したフォーマットのスライドが生成されます。専門用語の適切な使用や参考文献の引用なども自動で処理されます。

5. イベント・セミナー運営用資料

イベントやセミナーを開催する際の案内資料、タイムスケジュール、発表者プロフィールなども、Manusで効率的に作成できます。統一感のあるデザインで、プロフェッショナルなイベント運営をサポートします。

Manus vs Genspark vs Gamma:スライド生成機能徹底比較

現在、主要なスライド生成AI機能として、Manus、Genspark、Gammaの3つが注目されています。ここでは、それぞれの特徴を比較してみましょう。

機能ManusGensparkGamma
デザイン性洗練されたデザイン
日本向けにシンプル
高品質だが情報過多気味
海外風デザイン
基本的なデザイン
カスタマイズ性あり
リサーチ能力複数ソースから正確に情報収集
最新情報も反映
非常に優れたリサーチ力
正確性高い
限定的なリサーチ
提供された情報のみ使用
編集のしやすさチャット指示で簡単編集
ポイント指定可能
編集機能あり
やや複雑
直感的なUI
細部まで編集可能
入力形式対応テキスト、URL、画像
ほぼ全形式に対応
エクセル、動画など
幅広く対応
テキスト中心
一部のみ画像対応
出力形式PPT、PDF
Googleドライブ
多様なフォーマット
ファクトチェック機能付き
専用形式中心
エクスポート制限あり
日本語対応完璧な日本語対応
文字化けなし
ほぼ問題なし
一部アイコン等で課題
基本対応
専門用語に弱さ

特徴的な違い:

  • Manus: 単純なプロンプトでも高精度な結果が得られる。デザインがシンプルで日本向け。架空ブラウザ機能で外部サイトからの情報取得が可能。
  • Genspark: データ分析とファクトチェック機能が強力。YouTube動画からのスライド作成など、高度なメディア処理が可能。
  • Gamma: デザインテンプレートが豊富で、細部のカスタマイズが容易。専用エディタの使い勝手が良い。

Skyworkとの比較では、Skyworkはデザイン性だけでなく情報の構成力や正確性にまで踏み込んでおり、単なる「見栄えの良い資料」ではなく「説得力ある内容を備えたプレゼン資料」を生成できる点が異なります。

Manusはデザイン面で優れていますが、Skyworkのように経営層向けのレポート作成時にKPI分析や競合比較、業界動向を自動調査してストーリー性のあるスライドを構成する点では一歩及ばない面もあります。

Manusスライド生成機能の料金プラン

Manusのスライド生成機能を含むサービスは、以下のようなプラン構成となっています:
※2025年5月30日時点

1. ベーシックプラン

  • 限られたクレジット数
  • 基本的なスライド生成機能
  • 1日の利用回数制限あり

2. プラスプラン

  • 月額料金:$33
  • 1日2タスクまで実行可能
  • スライド生成機能完全アクセス
  • 基本的な編集・エクスポート機能

3. プロプラン

  • 月額料金:$166(約30,000円)
  • 1日最大5タスクまで実行可能
  • スライド生成機能完全アクセス
  • 高度な編集・エクスポート機能
  • 優先サポート

※料金は変更される可能性があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

まとめ:Manusが変える資料作成の未来

Manusのスライド生成機能は、資料作成のあり方を大きく変えようとしています。その特長をまとめると:

  1. 時間効率の劇的向上: 数時間〜数日かかっていた資料作成が数分で完了
  2. 高品質なアウトプット: プロ級のデザインと構成の資料が簡単に作成可能
  3. 一貫したワークフロー: リサーチから資料作成までワンストップで完結
  4. 多様なデータ形式対応: 様々な入力データから統一感のある資料を生成
  5. 柔軟な編集・更新: チャット指示で簡単に編集・更新が可能

今後の展望

Manusのスライド生成機能はまだ始まったばかりですが、今後の進化にも期待が高まります。特にAIの学習が進むことでデザインや内容の質がさらに向上し、より複雑な資料や特定業界に特化した専門的な資料も生成できるようになるでしょう。

また、チームコラボレーション機能の強化やリアルタイムプレゼンテーションのサポート機能など、単なる資料作成を超えたプレゼンテーション全体をサポートする機能も期待されています。

Manusのスライド生成機能は、特に以下のような方におすすめです:

  • 短時間で高品質な資料を作成したいビジネスパーソン
  • デザインセンスに自信がない方
  • 定期的に大量の資料を作成する必要がある方
  • 最新の情報を含んだ資料を素早く作りたい方
  • プレゼンテーションのクオリティを上げたい方

AIによる資料作成の新時代が始まっています。Manusのスライド生成機能を活用して、あなたのプレゼンテーションを次のレベルに引き上げてみませんか?

この記事の著者 / 編集者

チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

法⼈向けのAI研修、及び企業向けChatGPTを開発する株式会社デジライズをはじめ、他数社の代表取締役。一般社団法人生成AI活用普及協会評議員を務めながら、GMO AI & Web3株式会社など他数社の顧問も兼任。NewsPicksプロピッカーも兼任。Twitterはフォロワー16万⼈。⽇本初AIツール検索サイト「AI Database」やAIとの英会話ができる「AI英会話」など複数のAIサービスも開発。ABEMAやTBSテレビなどメディア出演も多数。

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