チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

近年、ChatGPTなどの生成AIの登場・普及が世界的に話題となっているように、AIは人々の暮らしや仕事をより便利に・効率的にするツールとして大きな注目を集めています。

企業のさまざまな部門で、業務効率化や顧客体験の向上、意思決定の精度向上など、多くの用途でAIが活用されています。

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Claude音声会話機能とGoogle連携

はじめに:AIアシスタント競争の新たな局面

AIアシスタントの世界で新たな一手が打たれました。Anthropic社は、同社が開発する高性能AIアシスタント「Claude」に音声会話機能を搭載すると発表しました。このアップデートは、特にGoogle関連サービスとの連携においてChatGPTやGeminiとは一線を画す機能を提供することになります。

単なる音声インターフェースの追加ではなく、カレンダー予定の確認やGmail未読メールのチェック、Google Drive内の資料検索といった、日常的に必須とも言える作業をシームレスに音声で行える点が大きな特徴です。現在、ChatGPTを含む他のAIアシスタントではGoogleサービスとの連携が困難となっている中、Claudeがこの分野で独自性を打ち出すことになります。

本記事では、Claudeの新機能について詳しく解説するとともに、AIアシスタントの比較や今後の展望についても考察していきます。数週間以内にはモバイルアプリ内で公開される予定のこの機能は、私たちのAI活用シーンをどのように変えるのでしょうか?

Claudeの音声会話機能:概要と特徴

ベータ版の提供開始と対応プラットフォーム

Anthropic社は5月27日に、同社のAIアシスタント「Claude」のiOSおよびAndroidアプリに音声会話モードのベータ版提供を開始すると発表しました。この新機能は今後数週間のうちに、無料プランを含む全てのClaude AIプランで展開される予定です。

Claudeの音声モード

音声会話機能の主な特徴

Claudeの音声モードは、以下のような特徴を持っています:

  1. 完全な音声会話体験:ユーザーはAIと自然な会話を開始し、音声での応答を受け取ることができます。
  2. ハンズフリー操作:手が塞がっている時でも、音声でClaudeとコミュニケーションが取れるため、運転中や作業中でも活用可能です。
  3. テキストと音声の切り替え:同じ会話の中でテキストと音声を自由に切り替えることができます。
  4. リアルタイムの要点表示:Claudeが話している間、画面には会話の主要ポイントがテキストで表示されます。
  5. 多様な音声オプション:5種類の異なる音声から選択可能で、好みの話し方を設定できます。

AnthropicのAIチャットボット「Claude」のモバイルアプリを開くと、マイクアイコンの隣に新しい音波型の記号が表示されるようになります。この記号をタップすると、音声モードが起動し、各種音声オプションからカスタマイズが可能です。ZDNET Japan

ChatGPTやGeminiの音声機能との違い

Claudeの音声機能は競合他社のAIアシスタントと比べて、どのような違いがあるのでしょうか?以下の表で主要AIアシスタントの音声機能を比較してみましょう。

機能/サービスClaudeChatGPTGoogle Gemini
音声入力
音声出力✓(一部制限あり)
リアルタイム会話✓(320ms遅延)部分的対応
音声の種類5種類複数複数
Google連携(カレンダーなど)✓(有料プランのみ)
無料版での利用回数約20-30回/日制限あり制限あり

Claudeの音声モードの最大の差別化要因は、Googleサービスとの統合機能です。ChatGPTは高品質な音声対話を提供しますが、GoogleのカレンダーやGmailといったサービスへのアクセスができません。Geminiは同じくGoogleサービスと連携していますが、Claudeは他社製AIとして唯一のGoogle Workspace連携機能を持っています。

Google連携機能の詳細と活用シーン

Google Workspaceとの連携

Claudeの音声モードにとって最も革新的な点は、Google Workspace関連サービスとの連携です。有料プランのユーザー(Claude ProやClaude Maxなど)はこれらの連携機能を活用できます。

ClaudeとGoogleの連携

具体的には以下のサービスとシームレスに連携します:

  • Google Calendar:予定の確認、次回のミーティング時間、リマインダーなどを音声で確認
  • Gmail:未読メールの確認、重要メッセージの内容確認
  • Google Drive:ドキュメントの検索、内容の要約、プレゼン資料の確認
  • Google Docs:文書の閲覧、編集支援

主要な活用シーン

Anthropicは以下のような活用シーンを提案しています:

  1. 日々の計画サポート
  • 朝の準備中に「今日のスケジュールを教えて」と音声で問いかけるだけで、カレンダー上の会議や締め切りを要約してくれます。
  • 未読メールや重要な通知も同時にチェックできるため、パソコンを開く前に準備ができます。
  1. 移動中のインプット
  • 通勤中や運転中などハンズフリーでの情報収集が可能です。
  • 「明日のプレゼンのスライドを要約して」といった指示で、Drive上の資料を音声で確認できます。
  1. 創造的な思考支援
  • アイデアを声に出して整理し、Claudeとのブレインストーミングが可能です。
  • 会話内容は自動的に記録されるので、後から見返すこともできます。
  1. 準備と練習
  • 重要な面接や議論の前に、Claudeを練習相手として活用できます。
  • 質問への答え方や論点の整理を音声でフィードバックしてくれます。
  1. アイデア記録
  • ふと思いついたアイデアを声で記録し、Claudeが整理して保存します。
  • 会話終了後も内容を振り返ることができます。

AnthropicのCPOであるMike Kriegerは、今年3月にFinancial Timesとのインタビューで音声機能の開発について言及していました。この取り組みには、同社の主要投資家であるAmazonや音声AI企業のElevenLabsも関わっているとされています。TechnoEdge

主要AIアシスタントの比較:Claude、ChatGPT、Gemini

2025年の現在、主要なAIアシスタントはそれぞれ異なる強みを持っています。Claudeの新機能を含め、各サービスを総合的に比較してみましょう。

機能面の比較

機能ClaudeChatGPTGemini
音声会話新機能として追加対応済み部分対応
Googleサービス連携✓(有料プラン)
画像認識
画像生成✓(英語のみ)
Webブラウジング✓(リサーチ機能)
カスタムAI作成✓(GPTs)
コンテキストウィンドウ200K128K1M(Advanced)
コード生成✓(高精度)

価格比較

サービス無料プラン有料プラン
Claudeあり(基本機能)Claude Pro: 月額20ドル
ChatGPTあり(GPT-4o)ChatGPT Plus: 月額20ドル
Geminiあり(Gemini 1.0 Pro)Gemini Advanced: 月額2,900円(約20ドル)

各サービスの得意分野

Claude:

  • 長文理解と要約が得意
  • 安全性と信頼性に優れる
  • Google Workspace連携(新機能)
  • Artifactsを使った高度な文書作成

ChatGPT:

  • 多彩な機能と応答性の高さ
  • GPTsによるカスタムAI作成
  • 高度な画像生成と認識
  • 広範なプラグイン連携

Gemini:

  • Googleサービスとの深い統合
  • 大規模コンテキスト処理(最大100万トークン)
  • マルチモーダルデータ処理
  • Google検索との連携

Claudeは今回の音声会話機能とGoogle連携を武器に、特にビジネスユーザーの日常業務をサポートする面で強みを発揮することが期待されます。ChatGPTの汎用性とGeminiのGoogle連携の両方の長所を取り入れた形となり、独自のポジションを確立しつつあります。

利用方法と設定手順

モバイルアプリでの利用方法

Claudeの音声モードは、iOSおよびAndroidアプリで利用可能になります。以下が基本的な使用手順です:

  1. アプリを開く:モバイルデバイスでClaudeアプリを起動します。
  2. 音声モードを有効化:テキスト入力欄の横にある「音波」アイコン(マイクアイコンの隣)をタップします。
  3. 初期設定:初めて使用する場合は、好みの音声タイプを5つのオプションから選択します。
  4. 会話を開始:「こんにちは、Claude」などと話しかけることで、音声による会話が開始されます。

Claudeの音声モード操作画面
(提供:Anthropic / Elyse Betters Picaro / ZDNET)

コントロールオプション

音声モードでは以下のコントロールオプションが利用可能です:

  • 送信ボタン(上向き矢印):音声メッセージをClaudeに送信します。
  • 停止ボタン:Claudeが話している途中で停止させることができます。
  • プラスボタン:カメラやフォトライブラリ、ファイルにアクセスできます。
  • 終了ボタン(X):音声会話を終了します。

Google Workspace連携の設定方法

有料プランのユーザーがGoogle Workspaceとの連携を設定する方法は以下の通りです:

  1. Claudeの設定画面に移動します。
  2. 「プロフィール設定」または「連携」を選択します。
  3. 「Google Workspace連携」を選び、「接続」をタップします。
  4. Googleアカウントにログインし、必要な権限を許可します。
  5. 連携が完了すると、音声モードからGoogleのサービスにアクセスできるようになります。

音声のカスタマイズが必要な場合は、設定から「音声設定」を選択して変更できます。現在提供されている5つの音声選択肢は、それぞれ異なる個性や話し方の特徴を持っています。

音声モードの利用制限と今後の展開

無料ユーザーと有料ユーザーの違い

Claudeの音声モードは無料ユーザーと有料ユーザー(Claude Pro、Claude Max)で利用制限が異なります:

  • 無料ユーザー:1日あたり約20〜30件の音声メッセージ交換が上限です。それを超えると利用制限がかかります。
  • 有料ユーザー:大幅に高い利用上限が設定されており、より長時間の音声会話が可能です。また、Google Workspace連携機能が利用できる唯一のユーザー層です。

現在の対応言語と今後の予定

現時点でのClaudeの音声モードは英語でのみ利用可能です。ただし、Anthropicは将来的に対応言語を拡大する計画を持っていると考えられますが、具体的なタイムラインは発表されていません。

技術的な制約と今後の進化

現在のベータ版では、以下のような技術的な制約も存在します:

  1. 英語のみの対応:日本語を含む他の言語でのサポートはまだ未実装です。
  2. **WebアプリからのアクセスなしiOSとAndroidアプリのみの提供となっています。
  3. ネットワーク依存:良好なインターネット接続が必要です。

Anthropicは、ユーザーからのフィードバックをもとに機能を改善していく予定です。特に音声認識の精度向上や多言語対応、より自然な会話体験の実現が優先事項となることが予想されます。

まとめ:AI音声アシスタントの未来と期待される影響

Claude音声モードがもたらす変革

Claudeの音声モード搭載は、AIアシスタント市場に大きな変化をもたらす可能性があります。特にGoogle Workspaceとの連携機能は、日常業務の効率化において大きな価値を提供します。

これまでChatGPTやGeminiといった主要なAIアシスタントと比較して後発だったClaudeが、音声機能とGoogle連携という強力な差別化要因を手に入れたことは注目に値します。ビジネスユーザーを中心に、音声でGoogle関連サービスにアクセスできる利便性は大きなアドバンテージとなるでしょう。

競合サービスへの影響と今後の展開シナリオ

Claudeの新機能は、OpenAIのChatGPTやGoogleのGeminiにも影響を与えるでしょう。特にChatGPTは現在Googleサービスとの連携が難しい状況にあるため、この分野での対抗策が求められるかもしれません。

今後は以下のような展開が予想されます:

  1. AIアシスタント間の統合競争の激化:各社が独自のサービス統合を強化し、ユーザー囲い込みを図る
  2. 音声インターフェースの高度化:より自然な会話体験と多言語対応の拡充
  3. 企業向けサービスの特化:ビジネスプロセスとの統合を深めたAIアシスタントの提供
  4. プライバシーとセキュリティの向上:特に企業データにアクセスする際の安全性強化

音声AIがもたらす働き方の変化

Claudeの音声モードのような革新は、私たちの働き方にも大きな変化をもたらします:

  1. マルチタスクの効率化:運転中や他の作業をしながら情報にアクセスできる
  2. 情報フィルタリングの自動化:重要な予定やメールを音声で要約してもらえる
  3. コラボレーションの進化:会議や打ち合わせの準備・フォローが効率化される
  4. バリアフリーなアクセシビリティ:視覚障害のある方など、より多くの人がAIの恩恵を受けられる

Claudeの音声モードは、今後数週間以内にアプリ内で公開される予定です。この機能とGoogle連携によって、AIアシスタントとの関わり方や日常業務の進め方に新たな可能性が開かれることになるでしょう。

主要3大AIアシスタント 音声・Googleサービス連携 機能比較表(2025年5月時点)

機能/サービス名ClaudeChatGPTGoogle Gemini
音声入力✓(新機能)
音声出力✓(新機能)
リアルタイム会話✓(ベータ版)✓(高速応答)部分対応
音声種類数5種類複数複数
Googleカレンダー連携✓(有料のみ)
Gmail連携✓(有料のみ)
Google Drive連携✓(有料のみ)
Google Docs連携✓(有料のみ – 一部はEnterprise向け)
無料版音声対応✓ (20-30件/日制限)
言語対応英語のみ(現時点)多言語対応多言語対応
モバイルアプリ対応iOS/AndroidiOS/Android/WebiOS/Android/Web

AI技術の進化に伴い、これらの比較結果は今後変化する可能性があります。特にClaudeの音声モードは現在ベータ版であり、今後の機能拡充が期待されます。また、GoogleサービスとChatGPTの連携状況も将来的に変化する可能性があります。

この記事の著者 / 編集者

チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

法⼈向けのAI研修、及び企業向けChatGPTを開発する株式会社デジライズをはじめ、他数社の代表取締役。一般社団法人生成AI活用普及協会評議員を務めながら、GMO AI & Web3株式会社など他数社の顧問も兼任。NewsPicksプロピッカーも兼任。Twitterはフォロワー16万⼈。⽇本初AIツール検索サイト「AI Database」やAIとの英会話ができる「AI英会話」など複数のAIサービスも開発。ABEMAやTBSテレビなどメディア出演も多数。

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