チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

ついにAnthropicも「Claude for Healthcare」を正式発表しました。医療AI界隈ではかなりのビッグニュースです。

OpenAIが先日「ChatGPT Health」を発表したばかりのタイミングで、Anthropicも医療分野に本格参入。両社がガチンコでぶつかる構図になってきました。

今回は、Claude for Healthcareの全貌と、ChatGPT Healthとの違いを徹底的に整理していきます。医療従事者の方も、ヘルスケアスタートアップの方も、一般ユーザーの方も、ぜひ最後まで読んでみてください。

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Claude for Healthcare解禁の背景と概要

Anthropicの発表内容

AnthropicはClaude for Healthcareを発表し、HIPAA対応製品として医療提供者・保険者・消費者が医療目的でClaudeを利用できるようになりました。

同時に、Claude for Life Sciencesの機能拡張も発表されています。製薬会社やバイオテックスタートアップ、研究機関向けの機能が強化されました。

特に注目すべきは、Opus 4.5モデルの医療タスクにおける性能向上です。臨床文書の作成、事前承認レビュー、保険請求の異議申立など、医療特有の複雑なワークフローに対応できるよう最適化されています。

医療AI市場における位置づけ

健康・ウェルネス分野でのAI利用は急速に拡大しています。医療従事者側は「書類仕事に追われて患者と向き合う時間がない」という課題を抱え、患者側は「検査結果の意味がわからない」「医師に何を聞けばいいかわからない」という不安を抱えています。

両社ともこの市場の巨大なポテンシャルを見据えて、本格的な参入を決めたわけです。

ChatGPT Healthとの比較ポイント

理念・設計思想の違い

ここが一番重要なポイントです。両者は明確に異なるアプローチを取っています。

Claude for Healthcareは、医療提供者・保険者・消費者の三者を対象とした設計になっています。つまり、医療システム全体をカバーしようとしているわけです。

一方、ChatGPT Healthは、個人の健康理解と医療会話の準備支援に特化しています。「患者さんが自分の健康をもっと理解できるように」というコンセプトですね。

プライバシー保護については両者とも多層アプローチを採用していますが、実装の仕方に違いがあります。

主なターゲットユーザー

Claude for Healthcareのターゲット

  • 医療スタートアップ
  • 大規模医療機関
  • 保険者(ペイヤー)
  • 個人ユーザー

ChatGPT Healthのターゲット

  • 主に個人ユーザー

Claudeはエンタープライズ対応を前面に出しているのに対し、ChatGPTは個人向けサービスとしての色が強いです。

連携可能なデータソース・アプリ

Claude for Healthcareの連携先

  • CMS Coverage Database(メディケア・メディケイド関連)
  • ICD-10(国際疾病分類)
  • NPI Registry(医療提供者識別番号)
  • HealthEx
  • Function
  • Apple Health
  • Android Health Connect

ChatGPT Healthの連携先

  • 医療記録(b.well経由)
  • Apple ヘルスケア
  • Function
  • MyFitnessPal
  • Weight Watchers

両者で重複しているのはApple HealthとFunctionですね。Claudeは医療機関向けのデータベース連携が充実しているのに対し、ChatGPTはフィットネス・ダイエット系アプリとの連携が特徴的です。

主要機能の違い

Claude for Healthcareの主な機能

  • 事前承認レビューの加速
  • 請求異議申立支援
  • ケアコーディネーション
  • 患者メッセージのトリアージ
  • FHIR開発支援(医療データ規格)

ChatGPT Healthの主な機能

  • 検査結果の平易な説明
  • 受診準備支援
  • 健康データのパターン検出
  • 保険プラン比較

見てわかる通り、Claudeは医療従事者の業務効率化に重点を置いているのに対し、ChatGPTは個人の健康理解支援に特化しています。

プライバシー・セキュリティ対策の比較

データ保護の仕組み

Claude for Healthcare

  • 専用設計の暗号化・分離
  • HIPAA対応

ChatGPT Health

  • 専用スペース・専用メモリ・暗号化

両者とも「会話データは基盤モデルの学習には使用しない」と明言しています。医療データを扱う上で絶対に必要な約束ですね。

ユーザーコントロール

接続解除・権限管理の仕組み、データ削除・メモリ管理についても、両者とも細かく設計されています。ユーザーが自分のデータをコントロールできる仕組みが整備されています。


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医師との協働開発プロセス

ここは両社とも力を入れているポイントです。

ChatGPT Healthは260人以上の医師と協働し、60万回以上のフィードバックを取得して開発されました。評価フレームワークとして「HealthBench」を使用しています。

Claude for Healthcareも同様に、60か国以上の医師と2年以上協働し、30の重点領域でフィードバックを取得しています。

実際の活用シーン

Claude for Healthcareの想定ケース

1. 事前承認レビューの時間短縮

事前承認(Prior Authorization)って、医療機関にとって本当に大変な作業と聞きます。保険会社に「この治療を認めてください」と申請して、承認を得るまでに何時間もかかることがあります。

Claudeは、CMS Coverage DatabaseやICD-10、NPI Registryと連携して、必要な情報を自動で収集・検証。不足している書類をフラグ立てして、承認推奨のドラフトまで作成してくれます。

2. 請求異議申立の効率化

保険請求が却下されたとき、異議申立を行うのも大変な作業です。Claudeは患者の医療記録と保険ポリシーを照合して、却下理由に対する反論材料を整理してくれます。

3. ケアチーム支援・患者メッセージトリアージ

患者からのメッセージを自動で分類し、緊急性の高いものを優先的に表示。ルーティンな質問には返答ドラフトを作成してくれます。

4. 医療スタートアップの新製品開発

FHIR開発支援機能を使えば、医療データ規格に準拠したアプリケーション開発が効率化されます。

ChatGPT Healthの想定ケース

1. 検査結果の理解支援

「この数値が高いってどういうこと?」という疑問に、わかりやすい言葉で説明してくれます。医学用語を平易な言葉に翻訳する機能ですね。

2. 受診前の質問準備

「医師に何を聞けばいいかわからない」という方のために、症状や検査結果に基づいて質問リストを作成してくれます。

3. 健康・フィットネスデータの傾向分析

Apple HealthやMyFitnessPalのデータを分析して、「最近睡眠時間が減っていますね」「運動量が増えた週は体重も減っています」といったパターンを見つけてくれます。

4. 保険プラン比較

複雑な保険プランの比較を手助けしてくれる機能も搭載されています。

日本での利用は可能?現時点での注意点

現時点(2026年1月)では、Claude for Healthcare は米国を中心に展開されています。特に、医療記録(EHR)との連携や、Apple Health などのヘルスケアデータ統合機能は、米国内のユーザーおよび特定のプラン・提携環境に限定されています。

そのため、日本国内の医療機関や個人ユーザーが、同等の機能をそのまま利用できる段階には至っていません。

今後の展望と課題

医療AI競争の激化

AnthropicとOpenAI、両社が医療分野に本格参入したことで、競争は確実に激化します。Googleも医療AI分野で動きを見せており、三つ巴の戦いになる可能性もあります。

各社とも今後の機能拡張を予定しており、医療AIの進化スピードはさらに加速するでしょう。

普及に向けた課題

1. 医療従事者の信頼獲得

「AIに医療を任せて大丈夫なのか」という不安は根強いです。両社とも医師との協働開発を強調していますが、現場での実績を積み重ねていく必要があります。

2. 規制対応・コンプライアンス

HIPAA対応は当然として、各国の医療規制への対応も必要です。日本での展開を考えると、個人情報保護法や医療法との整合性も検討が必要でしょう。

3. 一般ユーザーの理解促進

「AIの回答を鵜呑みにしない」「最終判断は医師に」という基本原則を、どう浸透させていくかも課題です。

まとめ

医療AI市場が成長を続ける中、Claude for HealthcareChatGPT Healthといった先進的な事例が登場しています。業務効率化に特化したClaudeと、個人の健康支援に強みを持つChatGPTなど、用途に応じた使い分けが今後の鍵となるでしょう。

ただし、これら全てのツールに共通しているのは「AIはあくまでサポート役」という点です。最終判断は常に人間(専門家)が行う必要があり、ツールを使いこなす側がいかにAIの特性を理解し、適切に業務に組み込めるかが問われています。こうした最新技術を「ただ知っている」状態から「現場で使いこなせる」状態へ引き上げることが、今の組織には不可欠です。

そこでデジライズでは、ChatGPTやClaudeなどの生成AIを実務に活かすための導入研修を行っています。特定の医療ツールに限らず、汎用的な生成AIを貴社の業務にどう落とし込むか、ヒアリングを通じて「現場で本当に使える活用法」を一緒に検討するところからスタートします。

AIの専門家が伴走してサポートいたしますので、専門のIT担当者がいない企業様でもご安心ください。まずは情報収集からでも歓迎です。導入の流れや支援内容をまとめた資料をこちらからご覧いただけます。

参考URLリスト

Anthropic公式発表:https://www.anthropic.com/news/healthcare-life-sciences
OpenAI ChatGPT Health発表:https://openai.com/ja-JP/index/introducing-chatgpt-health/
Claude Healthcare ソリューションページ:https://claude.com/solutions/healthcare
Claude Life Sciences ソリューションページ:https://claude.com/solutions/life-sciences

この記事の著者 / 編集者

チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

法⼈向けのAI研修、及び企業向けChatGPTを開発する株式会社デジライズをはじめ、他数社の代表取締役。一般社団法人生成AI活用普及協会評議員を務めながら、GMO AI & Web3株式会社など他数社の顧問も兼任。NewsPicksプロピッカーも兼任。Twitterはフォロワー16万⼈。⽇本初AIツール検索サイト「AI Database」やAIとの英会話ができる「AI英会話」など複数のAIサービスも開発。ABEMAやTBSテレビなどメディア出演も多数。