チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

なんと、この記事のサムネイル、Nanobanana proで作成しています!

これまで、実際にビジネスで使えるレベルのサムネイルを一発で作るのは、至難の業でした。しかし、本日、画像生成AI 「Nano Banana Pro」 が公開され、その常識が変わりました。今回は、このNano banana proを使い、私が実際に理想のサムネイルを作り上げるまでの全工程を実際のスクリーンショットとプロンプト例付き公開します。

本記事を読めば、

  • Nano Banana Proでサムネイルを作るためのプロンプト設計のコツ
  • プロンプトを調整しながら理想のデザインに近づける手順
  • Geminiの「Gem」にして量産体制を整える方法

がわかります。


今なら、100ページ以上にのぼる企業のための生成AI活用ガイドを配布中!基礎から活用、具体的な企業の失敗事例から成功事例まで、1冊で全網羅しています!

Nano Banana Proとは?従来モデルとの違い

そもそも「Nano Banana Pro」とは何なのか、なぜこれほど騒がれているのかを簡単に解説します。一言で言えば、画像生成AIが「趣味の遊び道具」から「仕事で使える実用ツール」へと進化した決定的なモデルです。

2025年11月20日にGoogle DeepMindから発表されたこの最新モデルは、基盤モデルに「Gemini 3」を搭載しています 。これまでのモデル(Flash Image)と比較して、ビジネスの現場で「使える」3つの大きな進化を遂げています。

① 文字生成がついに実用レベルへ(翻訳も可)

サムネイル作成において最も革命的なのがここです。これまでの画像生成AIは、看板や資料の文字が謎の記号になってしまうことが多々ありました 。しかし、Nano Banana Proは違います。短いキャッチコピーから長文まで、正確に文字を描写できるようになりました。さらに、画像内のテキストデザインを維持したまま、英語から日本語へといった「画像内翻訳」まで完結できてしまいます。

プロンプト:生成AIの業務活用について、わかりやすいインフォグラフィックを作成してください。

② Google検索連携で「事実に近い」画像生成

「ハルシネーション(もっともらしい嘘)」も生成AIの弱点でしたが、Nano Banana ProはGoogle検索とリアルタイムに連携することでこれを克服しました 。 事実に基づいたインフォグラフィックの作成や、正確な手順書の図解などが可能になり、情報の信頼性が求められるビジネス資料でも安心して使用できます

③ プロ仕様の編集機能(一貫性と修正)

「さっきの画像、構図は良いけど照明だけ変えたい」といった修正も、これまでは運任せの再生成が必要でした。 しかし今回からは、生成された画像に対して後からカメラアングルやライティング(照明)、フォーカスを調整する物理演算のような編集が可能になりました 。また、キャラクターや商品の顔・特徴の一貫性を保ったまま、別のシーンを生成することも容易になっています。

👇仕様などの詳細はこちら

【速報】GoogleがNano Banana Proを発表。Gemini 3搭載で画像生成が実用的に

【速報】GoogleがNano Banana Proを発表。Gemini 3搭載で画像生成が実用的に

「きれいな画像は作れるが、文字が崩れていて資料には使えない」「商品の一貫性が保てず、実務への導入は時期尚早」 画像生成AIをビジネスで試したことがある方なら、このような壁に直面した経験があるのではないでしょうか。しかし、…

Nano Banana Proで理想のサムネイルを作る3ステップ

まずは結論から言いましょう。AIに理想のサムネイルを作らせるために必要なのは、センスではありません。「AIに伝わる言語化」「構造化された指示」 です。

今回は、このメディアのサムネイルをAIに完全に任せることです。私の画像が崩れずに配置され、インパクトのあるタイトルが配置されている、ようなデザインです。しかし、これをAIにただ「かっこいいサムネイル作って」と頼んでも、絶対にうまくいきません。

私が実際に踏んだ3つのステップを通じて、その極意を解説していきます。

ステップ1:デザインを言語化し、プロンプトにする

最初のステップは、頭の中にある「理想のイメージ」を、言語化していったんプロンプトに起こすことです。これは、Geminiを使用して行いました。複数枚(私は以下のような画像を計7枚使用)のサムネイルをGeminiに添付して、以下のプロンプトで指示しました。

Nano banana proで、記事のタイトルから、サムネイルを作成するプロンプトを作成してください。

# 条件

- 添付の別の記事のサムネイル画像を参照し、その画像と同じテイストのサムネイルを作成したい。
- 添付のサムネイルに掲載されている人物を、作成するサムネイルにも追加したい。
- 添付の画像の特徴を言語化し、プロンプトに落とし込んでほしい。

# 出力
マークダウンで、コードブロック形式で

このように指示したところ、以下のようなプロンプトが返ってきました。

## Nano banana pro サムネイル生成プロンプト

### 画像生成AIへの指示

記事のタイトルを考慮し、添付の参照画像群と**同じテイスト**で、以下の要素を含むサムネイル画像を生成してください。

* **メインの人物:** 添付画像群に写っているスーツ姿の男性を、**右側**に配置し、視聴者の方を見ている構図にしてください。誠実で信頼できる印象を保つこと。
* **色とグラデーション:** 全体的に鮮やかで目を引く**グラデーションカラー**(例: 紫、青、オレンジ、ピンク、黄緑などを組み合わせる)を使用してください。
* **背景:** 抽象的な図形、光のライン、ネットワークのようなパターンなどを組み合わせ、**未来感やテクノロジー感**を表現してください。奥行きや立体感を出すこと。
* **テキストの配置:**
    * 中央または左寄りに、記事のメインタイトルが大きく配置できる**十分なスペースを確保**してください。
    * サブテキストやキーワードを配置できるスペースも考慮し、全体的にバランスの取れた構成にしてください。
    * *(Nano banana proで後からテキストを重ねることを想定)*
* **関連要素の挿入:** 記事の内容に関連するシンプルなアイコン、ロゴ、または抽象的なイラスト(例: 電球、歯車、AIを示すシンボル、PC画面のイメージなど)を背景やテキストの周囲に配置し、視覚的な情報を補強してください。
* **全体の雰囲気:** 明るく、前向きで、ユーザーの興味を引き、記事の有用性を期待させるような印象にしてください。

---

### 記事タイトル

**考慮する記事タイトル:**
[ここに記事のタイトルを挿入してください。例: 「商談AIを強化する3つの戦略」]

普段何気なく見ている「良いサムネイル」も、こうやって言葉にしてみると、たくさんの要素で構成されていることに気づきますよね。この「言語化」こそが、AIへの最初の指示(プロンプト)の土台になります。

ステップ2:プロンプトをNano banana Proで試す

言語化した要素を元にプロンプトを作成し、Nano Banana Proに投げかけます。プロンプト入力欄で、「🍌画像を作成」を押すことで、Nano banana proが起動します。

まず最初にできた画像がこちらです。

正直、今までの画像生成AIのクオリティと比べたら、比べ物にならないほど良くなっています。ただ、これを実際にサムネイルとして使用できるかと言われたら、派手すぎますし、少し微妙だと思いました。

2-1. 課題:背景の「派手さ」を抑え、プロフェッショナルなトーンを実現する

最初に生成された画像は、背景がキラキラしすぎていて、少し目がちかちかするようなデザインになってしまいました。「テクノロジー感」という言葉にAIが過剰反応してしまったのでしょうか。

そこで、またAIでプロンプトを修正。

もう少し、落ち着いたサムネイル・背景にしたいので、プロンプトに組み込んでください。

このように指示して、再度出力されたプロンプトで試しました。

今度は背景は落ち着きましたが、文字まで小さく、おとなしくなってしまいました。

2-2. 課題:入れたいデザインの文字が入らない

さきほど生成したサムネイルは、背景や人物は悪くないですが、文字が小さく、求めているサムネイルではありませんでした。そこで再度、AIに文字のデザインを言語化させ、プロンプトに組み込みました。

すると、出力は以下のように変わりました。

いかがでしょうか。かなり理想のサムネイルに近づいてきました。ただ、これだと、文字がすべて同じデザインで、どこが重要かわかりづらいような気がしましたので、自分の好みをAIに投げ、プロンプトに組み込んでもらいました。

具体的には、以下のような指示を加えました。

  • 助詞(「が」「を」など)は小さく、細くする
  • メインキーワード(製品名など)は極太で、縁取りをつけて強調する
  • 特に重要な単語には、ロゴのような「帯」をつけて差別化する

つまり、「タイトルを書いて」ではなく、「ここは小さく、ここは目立たせて」というデザインの強弱(メリハリ) を言葉で指示しました。そしてできた画像がこちら。

これはかなり良いです。特に左下のサムネイルが好みだったので、左下を採用しました。

【速報】GoogleがNano Banana Proを発表。Gemini 3搭載で画像生成が実用的に

【速報】GoogleがNano Banana Proを発表。Gemini 3搭載で画像生成が実用的に

「きれいな画像は作れるが、文字が崩れていて資料には使えない」「商品の一貫性が保てず、実務への導入は時期尚早」 画像生成AIをビジネスで試したことがある方なら、このような壁に直面した経験があるのではないでしょうか。しかし、…

AIによる画像認識に頼るだけでなく、人間が好みを言語化することで、AIがしっかり組み込んでくれるので、最初のプロンプト作成だけは、人間がしっかりと介入する必要がありそうです。

ステップ3:Gem化し、量産体制へ

試行錯誤の末、ついに理想的なサムネイルが完成しました。しかし、「このプロンプトを探してコピペして、該当の箇所にカーソルを合わせてタイトルを入力する」というのは、非常に面倒くさいです。

そこで最後のステップ。この成功したプロンプトの構造を、Gem としてチャットボットにします。こうすれば、あとは「記事タイトル」を入れるだけで、いつでも同じクオリティのサムネイルが生成できるようになります。

このGemにする際にも、Geminiに、「このプロンプトをGemに入れたいので、システムプロンプトを作成してください。」と入れることで、Gem用に変更を加えられたプロンプトが出てきます。

それを、「カスタム指示」にそのまま入れましょう。そして、知識の箇所に、見本となるサムネイルを複数枚入れたら完成です。

最終プロンプト全文

最後に、たどり着いたプロンプトを公開します。このような粒度で書けば、理想に近づくというイメージを持っていただけたらと思います。自分好みにカスタマイズしてぜひお使いください。

# Nano banana pro サムネイル生成プロンプト

## 画像生成AIへの指示
ユーザーが入力した記事タイトルを考慮し、**添付の参照画像群の文字装飾テクニックと人物構成**を忠実に再現しつつ、**背景は落ち着いたトーン**で、以下の要素を含む画像を生成してください。

* **メインの人物:** 添付画像群に写っているスーツ姿の男性を、**右側**に配置し、視聴者の方を見ている構図にしてください。

* **背景の色とデザイン(落ち着いたトーン):**
    * 全体的に**深みのある落ち着いた色合い**のグラデーション(青、濃紫、グレーなど)を使用し、派手さを抑えてください。
    * 背景のデザインは、抽象的なテクノロジー感のあるパターンや光のラインに限定し、**文字の視認性を妨げない**ようにすること。

* **テキストの描画(構造化と強力な装飾):**
    * **極めて太く、大きく、視認性の高いフォント**をメインに使用し、画像を占有するように描画してください。
    * **装飾:** **明るい文字色(白や蛍光色)**、**太く濃い縁取り(アウトライン)**、および**ドロップシャドウ**を施し、文字を背景から浮き立たせてください。
    * **構造化:**
        1.  **主要キーワード/製品名**は**最も大きく目立つように配置**し、ロゴや特別なデザインの**帯状の背景**を適用して差別化してください。
        2.  **助詞・助動詞**(「が」「を」「で」など)は**メインキーワードより小さく、細いフォント**で描画し、キーワードの邪魔をしないようにしてください。
        3.  **キャッチーな要素**(【速報】など)は強調して描画してください。

* **関連要素の挿入:** 記事内容に関連するシンボル、ロゴ、またはアイコンを、**控えめかつ洗練された配置**で挿入してください。

* **全体の雰囲気:** **背景はプロフェッショナルで落ち着いていますが、文字は最も目を引き、強いインパクトを与える**印象のサムネイルにしてください。
---
## 記事タイトル(構造化して描画)
[ユーザーが入力したタイトルから分割したメインタイトル]

**描画するサブタイトル:**
[ユーザーが入力したタイトルから分割したサブタイトル]

ちなみに、Gemにしてからサムネイル作成を試しましたが、無事機能しました。

まとめ:AI時代のデザインは「言語化能力」が鍵

いかがでしたか?Nano Banana Proを使ったサムネイル作成の実演、楽しんでいただけたでしょうか。

今回の検証で分かったのは、AI時代におけるデザインスキルとは、Photoshopを操作する技術ではなく、「自分のイメージを正確に言語化し、AIに伝える構造化能力」 だということです。

最初は難しく感じるかもしれませんが、今回紹介した3ステップ「要素分解」「調整ループ」「構造化指示」を意識すれば、誰でもAIを最強のデザインパートナーにできます。

ぜひ、このプロンプトをコピーして、あなたのコンテンツにぴったりの「最強サムネイル」を作ってみてください。

デジライズでは、生成AIの導入研修を行っています。個別のミーティングで業務内容をヒアリングし、現場で本当に使えるAI活用法を一緒に考えるところからスタートします。実際に使えるように、AIの専門家が伴走いたしますので、AI担当者がいない企業様でもご安心ください。

まずは情報収集からでも歓迎です。
導入の流れや支援内容をまとめた資料をこちらからご覧いただけます

この記事の著者 / 編集者

チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

法⼈向けのAI研修、及び企業向けChatGPTを開発する株式会社デジライズをはじめ、他数社の代表取締役。一般社団法人生成AI活用普及協会評議員を務めながら、GMO AI & Web3株式会社など他数社の顧問も兼任。NewsPicksプロピッカーも兼任。Twitterはフォロワー16万⼈。⽇本初AIツール検索サイト「AI Database」やAIとの英会話ができる「AI英会話」など複数のAIサービスも開発。ABEMAやTBSテレビなどメディア出演も多数。