チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

【はじめに】

近年、生成AI(Generative AI)の急速な発展によって、映像やデザインの制作プロセスが大きく変化しています。動画の生成や編集、画像変換、音声合成、さらには3Dモデルの作成まで、これまで時間とコストがかかっていた作業を、驚くほど簡単かつ効率的に行えるツールが次々と登場しています。

その中でも特に注目を集めているのが、RunwayLumaAIです。Runwayはビデオ生成や画像編集などマルチメディアに強い次世代AIプラットフォーム。一方のLumaAIは、スマートフォン撮影の画像や動画を用いてリアルな3Dモデリングを可能にする革新的なサービスです。

本記事では、この2つのプラットフォームの概要から具体的な機能、料金プラン、商用利用の可否などを徹底解説します。映像制作やクリエイティブに興味がある方、企業でマーケティングや広告の素材を効率的に制作したい方、3Dモデルや3Dアセットの利用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

1. Runwayとは何か?

1.1 Runwayの概要

Runwayは、クリエイター向けに作られたオールインワンのAIプラットフォームです。最大の特長は、テキスト、画像、音声など、マルチメディアを横断的に扱えるところ。動画生成や画像変換、音声生成といったさまざまな機能を、ブラウザ上で手軽に実行できるユーザーフレンドリーなUIを提供しています。

映像クリエイター、デザイナー、マーケティング担当者、教育分野の専門家など、幅広い分野のユーザーがRunwayを活用しており、「AIを使って効率化したい」「独自のスタイルやアイデアを素早く形にしたい」というニーズに応えています。

ツールリンク:https://runwayml.com/

1.2 Runwayが注目される理由

  • 簡単操作:動画や音声といった複雑なメディア編集をノーコード、もしくは少ないステップで実行可能。
  • 多機能:ビデオ生成AI(Gen-3 Alphaなど)から音声合成ツール(Generative Audio)まで、多彩なAIモデルが用意されている。
  • 手軽な学習コスト:独自のCustom StylesやImage to Image機能により、ユーザーの好みに合わせたモデルを簡単にトレーニングできる。
  • 商用利用が可能:生成したコンテンツの商用権利もユーザーが保持し、クレジット表記なしで自由に利用できる。

2. Runwayの主な機能とツール

ここでは、Runwayが提供する主要な機能を一つひとつ見ていきましょう。

2.1 Gen-3 Alpha

Runwayの中でも特に注目を集める最新のビデオ生成AIモデルです。

  • 高精度:テキストや画像をプロンプトとして使用しながら、細部までコントロールされたビデオを生成可能。
  • 映像品質:生成される映像は解像度やフレームレートが高く、クオリティ重視のプロジェクトにも対応しやすい。

2.2 Act-One

シンプルなビデオ入力さえあれば、キャラクターの表情や動きを生成・制御できるツールです。

  • キャラクターアニメーション:人間の動きを参考に、自動でキャラクターのモーションを作成。
  • 表情認識:表情筋の動きをAIが学習し、自然なリアクションを演出可能。

2.3 Generative Audio

  • Text to Speech:任意のテキストを入力するだけで、さまざまな音声プリセットから声質を選び音声生成。
  • カスタム音声の作成:ユーザー自身の声や、有名人風の声などをトレーニングして独自の音声モデルを構築。
  • リップシンク機能:生成した音声に合わせて、画像や動画内の人物の口の動きをリアルにシンクロ。

2.4 Custom Styles

ユーザーがオリジナルのAI画像生成モデルをトレーニングできる機能です。

  • 最小15枚~30枚の画像でOK:少ない枚数でスタイルやキャラクターを学習させられる。
  • 統一感あるビジュアル:学習データが少なくても、高い精度でテイストが統一された作品を大量に生成可能。

2.5 Image to Image

既存の画像を別のスタイルやバリエーションに変換するツールです。

  • スタイルチェンジ:イラストから写実風へ、または写真からイラスト調へなど、多様なアレンジを可能に。
  • テキストプロンプト適用:指示したキーワードを元に、画像の要素を自由に変更・追加。

2.6 Frame Interpolation

複数枚の画像から、中間フレームを生成しスムーズな動画を作るためのツール。

  • 静止画のアニメーション化:2枚の画像間を連続的につなぐことで、短い動画として活用できる。
  • 滑らかなトランジション:スライドショーやエフェクト動画など、自然なエフェクトを付与可能。

2.7 Upscale Image

画像の解像度を高め、よりクリアで美しいビジュアルを実現する機能です。

  • ノイズ除去:低解像度の画像をアップスケールしても、ぼやけやノイズの軽減が期待できる。
  • 高品質出力:SNS投稿、広告バナー、プレゼン資料など、用途に応じた高解像度画像を手軽に用意できる。

3. Runwayの料金プランと課金制度

続いてRunwayの料金プランを見ていきましょう。無料プランから本格的なエンタープライズ向けプランまで幅広く用意されています。

3.1 プラン一覧

プラン名月額料金クレジット付与量主な特徴
Basic無料初回のみ125クレジット付与。追加購入不可。Gen-1、Gen-2の一部機能利用可能。
Standard15ドル625クレジット/月Gen-3 Alpha利用可。追加クレジット購入可。ウォーターマーク除去や高解像度エクスポート可。
Pro35ドル2,250クレジット/月カスタム音声作成機能など追加機能利用可能。
Unlimited95ドル無制限クレジット無制限で全機能利用可能。
Enterpriseお問い合わせ契約内容による企業向けにカスタマイズした大規模利用可能。
  • Basicプラン
    無料で使い始められるエントリープラン。Gen-1、Gen-2を中心に、一部機能を試せるがクレジットの追加購入はできない。
  • Standardプラン
    月額15ドルで625クレジット付与。ビデオ生成の最新モデル(Gen-3 Alpha)が使用可能になり、商用利用の際もウォーターマーク除去ができる。
  • Proプラン
    月額35ドルで2,250クレジット付与。Custom Stylesでより自由な制作や、Generative Audioのカスタム音声作成などを多用したい場合にはこちらが適している。
  • Unlimitedプラン
    月額95ドルでクレジット無制限。大規模な動画プロジェクトやチーム利用など、頻繁に生成や編集を行うユーザーに向いている。
  • Enterpriseプラン
    大手企業など、使い方に応じてカスタムで契約内容を決める。

3.2 クレジット消費量

Gen-3 Alpha:1秒の動画生成につき10クレジットを消費。

Gen-2:1秒の動画生成につき5クレジットを消費。

高精度な最新モデルGen-3 Alphaを多用するほどクレジットの消費が多くなる点に注意が必要です。しかし、クオリティ重視のプロジェクトには非常に魅力的な選択となります。

3.3 クレジット追加購入

10ドルで1,000クレジットを追加購入可能。

• 追加クレジットはStandardプラン以上で購入可能。(Basicでは購入できない)

クレジットを大量に消費する可能性がある映像制作や実験を繰り返したい方は、ProやUnlimitedへのアップグレード、あるいはこまめなクレジット追加を検討すると良いでしょう。

4. Runwayの商用利用について

Runwayで生成・編集したコンテンツは、商用・非商用問わずに自由に使用可能です。すべてのプラン(Free、Standard、Pro、Unlimited)でも商用利用が認められ、著作権やライセンスなどの権利は原則としてユーザーが保持します。さらに、公開時にRunwayに対して特別なクレジット表記をする義務はありません。

これは大きなメリットで、Runwayで制作した動画や画像をYouTubeやSNS、広告媒体などで安心して使用できるのはクリエイターにとって非常に魅力的といえます。

5. LumaAIとは何か?

5.1 LumaAIの概要

LumaAIは、高精度な3Dモデルやシーンを驚くほど簡単に作成できるプラットフォームとして注目を集めています。スマートフォンやカメラで撮影した画像・動画をアップロードするだけで、AIが自動的に被写体やシーンの構造を解析し、リアルな3Dオブジェクトに変換してくれます。

ツールリンク:https://lumalabs.ai/dream-machine/creations

5.2 LumaAIが注目される理由

圧倒的なスピードでユーザーを獲得:リリースから約200万ユーザーを獲得し、100万人突破までわずか4日という爆発的な成長を見せています。

NeRF技術の活用:光や反射などリアルな物理特性を学習する次世代型アルゴリズムを導入し、写実的な3Dモデルを生成。

幅広い利用シーン:建築・インテリア、ゲーム開発、映画制作、Eコマースなど、3Dモデルが必要とされる業種で幅広く使われている。

6. LumaAIの主な機能とツール

6.1 NeRF(Neural Radiance Fields)

概要:複数視点の画像や動画を取り込み、被写体の3D構造やライティングの情報を高精度に再現する技術。

特徴:通常のフォトグラメトリよりも精密な光の反射・屈折をシミュレートできるため、結果として非常にリアルな3Dモデルが得られる。

6.2 3Dアセット生成

概要:ゲーム開発者やクリエイター向けに、商品やキャラクター、背景などをスピーディに3D化する機能。

特徴:Eコマース用の商品360°ビューや、ゲーム内アイテム、映画のVFX要素などに流用が可能。

6.3 リアルタイム3D表示

概要:作成した3DモデルをWebブラウザやアプリケーション上でリアルタイムにレンダリングし、回転や拡大・縮小などのインタラクションができる。

特徴:動きが軽量で、高品質なビジュアルをスムーズに操作できるため、デモンストレーションやプレゼンにも最適。

7. LumaAIの料金プランと課金制度

7.1 プラン一覧

LumaAIの主な料金プランは以下の通りです。無料プランから有料プランへと段階的にアップグレードする方式で、ビジネスや個人ユースなどさまざまなニーズに対応しています。

  • Web Free Plan
    無料で利用できるが、商用利用は禁止。3Dモデルの作成数や機能に制限あり。
  • Web Lite Plan
    月額など低額で利用できるプラン。商用利用は不可だが、より多くのプロジェクトを実行できる。
  • Web Plus Plan
    一定の料金を支払うことで、作成できる3Dモデル数が増え、かつ商用利用も一部解禁される。
  • Web Unlimited Plan
    文字通り3Dモデルの生成制限が大幅にゆるくなるプラン。商用利用が可能で、プロフェッショナルな現場でも役立つ。
  • Web Enterprise Plan
    大規模な企業・組織向けにカスタマイズされたプラン。契約内容に応じてさらに柔軟に対応。

7.2 商用利用について

先述の通り、Web Free PlanおよびWeb Lite Planでは商用利用が禁止されています。一方で、Web Plus PlanWeb Unlimited PlanWeb Enterprise Planでは商用利用が許可されており、生成した3DモデルやシーンをECサイトの商品説明やゲームなどに実装可能です。契約前に利用規約をしっかり確認しておきましょう。

8. RunwayとLumaAIの活用事例

ここからは、実際にRunwayとLumaAIがどのように役立つか、いくつかの事例を挙げて紹介します。

8.1 映像制作・映画制作

背景やエフェクトの自動生成:RunwayのGen-3 Alphaで映画のシーンに合わせた背景動画を生成。従来のVFX制作よりもコストと時間が大幅に節約できる。

リアルな3Dセットの構築:LumaAIのNeRF技術で、撮影現場を360°スキャンしてデジタルツインを用意。リハーサルやポストプロダクションで確認可能。

8.2 広告・マーケティング

音声CMやSNS動画の作成:RunwayのGenerative Audio機能でナレーションを自動生成。キャッチコピーだけ入力すれば、複数パターンの音声を素早く作れる。

3D商品モデルの活用:LumaAIで商品を3D化し、WebやSNSで回転ビューを提供。ユーザーはオンライン上で商品を様々な角度からチェックできる。

8.3 ゲーム開発・3Dアセット

キャラクターのモーション生成:RunwayのAct-Oneを活用し、人間のモーションキャプチャを取り込んでキャラクターの動きを自然に生成。

ステージの3D化:LumaAIで実在のロケーションをスキャンし、そのままゲームのステージ素材としてインポート。

8.4 教育・オンライン講座

教材ビデオの作成:Runwayを使えば、実写映像とテキストを組み合わせた教育用ビデオを簡単に生成可能。音声合成でナレーションもつけられる。

3Dモデルで理解促進:LumaAIで地形や歴史的建造物などを3D化。オンライン授業で学生がバーチャルに内部構造を体験できる。

9. まとめ:RunwayとLumaAIが創るクリエイティブの新時代

本記事では、RunwayLumaAIという2つのAIプラットフォームについて、主要な機能や料金プラン、商用利用の可否などを詳しく解説しました。

1. Runway

  • 映像制作・画像編集・音声生成など、マルチメディアを包括的に扱えるオールインワンAIツール。
  • 無料プランから有料プランまで充実したラインナップ。追加クレジットやエンタープライズ契約も柔軟に選べる。
  • 生成コンテンツの商用利用が可能で、クレジット表記義務も不要。

2. LumaAI

  • スマホで撮影した素材を使い、高精度な3Dモデルやシーンを自動生成できる革新的プラットフォーム。
  • NeRF技術など最先端のアルゴリズムを駆使し、リアリティの高い3D表現を実現。
  • プランによって商用利用が制限されるため、契約前の確認が重要。

映像制作、マーケティング、教育、建築、ゲーム開発など、クリエイティブなプロセスが求められるあらゆる業界で、これらのAIツールは生産性と表現力を高める大きな武器となります。特に、従来は時間とコストがかかりすぎていた高度なビジュアル表現やモーションキャプチャ、音声合成、3Dモデリングなどを、驚くほど手軽に扱えるようになりました。

今後の展望

AIの進化はとどまるところを知りません。RunwayやLumaAIを使うことで、「こういう表現がしたいのに、予算やスキルが足りない…」といった従来の制約が、どんどん解消されつつあります。これから先、さらに高機能なモデルや新しいサービスが登場することで、クリエイターの表現の幅は飛躍的に広がるでしょう。

まずは無料プランで試してみよう

興味を持った方は、まずRunwayのBasicプランやLumaAIのWeb Free Planから試してみるのがおすすめです。無料版でも各サービスの操作性や品質を十分に体感できます。もし本格的にプロジェクトで活用したいと思ったら、有料プランに移行してクレジットを追加購入したり、商用利用を解禁したりするとよいでしょう。

以上が、RunwayとLumaAIの概要から使い方、料金プラン、商用利用のポイント、そして活用事例などを網羅的にまとめた内容です。両ツールとも今後さらにアップデートが見込まれていますので、気になった方は公式サイトやドキュメント、コミュニティなどもチェックし、常に最新情報をキャッチアップしていきましょう。

この記事の著者 / 編集者

チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

法⼈向けのAI研修、及び企業向けChatGPTを開発する株式会社デジライズをはじめ、他数社の代表取締役。一般社団法人生成AI活用普及協会評議員を務めながら、GMO AI & Web3株式会社など他数社の顧問も兼任。NewsPicksプロピッカーも兼任。Twitterはフォロワー15万⼈。⽇本初AIツール検索サイト「AI Database」やAIとの英会話ができる「AI英会話」など複数のAIサービスも開発。ABEMAやTBSテレビなどメディア出演も多数。

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