
近年、ChatGPTなどの生成AIの登場・普及が世界的に話題となっているように、AIは人々の暮らしや仕事をより便利に・効率的にするツールとして大きな注目を集めています。
企業のさまざまな部門で、業務効率化や顧客体験の向上、意思決定の精度向上など、多くの用途でAIが活用されています。
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本記事では、Midjourneyの新動画生成機能について、その特徴から実際の使用方法、競合他社との比較、そして料金体系まで、詳細に解説していきます。AIクリエイターや動画制作者にとって、この技術革新がどのような影響をもたらすのか、一緒に見ていきましょう。
目次
Midjourney V1 Video Modelとは?
Midjourney V1 Video Modelは、2025年6月にリリースされた同社初の動画生成AI技術です。これまでの静止画生成で培った高品質な表現力を活かし、画像から動画への変換(Image-to-Video)機能を提供します。
技術的背景と開発理念
MidjourneyのCEOであるDavid氏によると、この動画生成機能は「リアルタイムオープンワールドシミュレーション」という最終目標への重要な一歩として位置づけられています。将来的には、AIによって生成された環境の中を自由に移動し、キャラクターと相互作用できるリアルタイムシステムの構築を目指しているのです。
基本仕様
- 生成時間: 5秒の基本動画を4パターン同時生成
- 拡張機能: 最大4回まで延長可能(総計25秒)
- 入力方式: Midjourney生成画像または外部画像のアップロード対応
- アニメーション設定: 自動モードと手動モード(詳細な動きの指定)
- モーション設定: 高モーション・低モーションの選択可能
主要機能と特徴

1. 画像からアニメーションへの変換
Midjourneyの最大の強みは、既存の画像生成技術との完璧な統合です。ユーザーは以下の方法で動画を生成できます:
- Midjourney内画像の利用: 既存のMidjourney作品から直接アニメーション化
- 外部画像のアップロード: 他のソースからの画像も動画化可能
- 「Animate」ボタン: ワンクリックで動画生成開始
2. 柔軟なアニメーション制御
自動アニメーション機能
システムが自動的に「モーションプロンプト」を生成し、適切な動きを追加します。初心者でも簡単に魅力的な動画を作成できる機能です。
手動アニメーション制御
経験豊富なユーザー向けに、詳細な動きの指定が可能です。カメラワーク、被写体の動き、シーンの展開まで細かく制御できます。
3. モーション設定の最適化
低モーション設定
- 環境映像や繊細な表現に最適
- カメラは固定で被写体がゆっくりと動く
- アート作品や風景動画に適している
高モーション設定
- ダイナミックな動きを表現
- 被写体とカメラの両方が動く
- アクションシーンやドラマチックな演出に最適
4. 動画延長機能
基本の5秒動画から、4秒ずつ最大4回延長可能で、合計25秒までの動画制作が可能です。これにより、ショートフォーム動画コンテンツに適した長さの作品を作成できます。
料金プランと価格体系

Midjourneyの動画生成機能は、既存の4つの料金プランで利用可能です:
料金プラン詳細
プラン | 月額料金 | 年額料金 | Fast GPU時間 | 動画生成 | 特殊機能 |
---|---|---|---|---|---|
Basic | $10 | $96($8/月) | 3.3時間(200分) | Fastモードのみ | なし |
Standard | $30 | $288($24/月) | 15時間 | Fastモードのみ | Relaxモードで画像生成無制限 |
Pro | $60 | $576($48/月) | 30時間 | Fast + Relaxモード | Stealth Mode(プライベートモード) |
Mega | $120 | $1,152($96/月) | 60時間 | Fast + Relaxモード | 最高性能(最も多いFast GPU時間) |
動画生成コストの革新
注目すべきは、動画生成のコスト効率の良さです:
- コスト比較: 動画1秒あたり「画像1枚分」の処理コスト
- 市場価格: 既存サービスの約25分の1の低価格を実現
- 生成効率: 1回の処理で4パターンの5秒動画を同時生成
この価格設定により、個人クリエイターから企業まで、幅広いユーザーが動画生成技術にアクセスできるようになりました。
プラン選択の指針
- 個人利用・お試し: Basicプラン(月額$10)
- 本格制作: Standardプラン(月額$30)
- 商用利用・大量制作: Pro/Megaプラン
競合他社との比較
AI動画生成市場では複数の強力な競合が存在します。Midjourneyの位置づけを明確にするため、主要サービスとの比較を行いました:
主要競合サービス比較表
サービス | 主な機能 | 動画長 | 月額料金 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
Midjourney V1 | Image-to-Video | 5–21秒 | $10〜 | モーションコントロール&21秒まで延長、Fast/Relaxモード対応 |
OpenAI Sora | Text-to-Video(マルチ入力) | 最大60秒 | 未発表 | 1080p、幅広&縦&正方形対応、リミックス・ブレンド機能 |
Runway Gen-4 | Text/Image-to-Video | 約10秒 | $12〜(Standard) | 高いキャラクター一貫性、Extend機能、マルチモーダルワークフロー |
Google Veo 3 | Text-to-Video (音声付き、4K対応) | 8秒 | $19.99(Pro) $249.99(Ultra) | 音声ネイティブ生成、4K出力、物理法則・リップシンク反映、SynthID透かし、自動連結、Gemini/Flow/Vertex AI対応 |
Kling AI | Multi-modal | 最大2分 | $10〜(Standard) | テキスト&画像→動画、要素編集、Extend機能(最大3分) |
Midjourneyの競争優位性
- 画像品質の継承: 業界最高水準の画像生成技術を動画に応用
- 統合ワークフロー: 画像制作から動画化まで一貫したプラットフォーム
- 価格競争力: 市場で最も安価な価格設定の一つ
- ユーザビリティ: 直感的な操作で初心者でも高品質な動画制作が可能
競合との差別化ポイント
Midjourneyの動画生成機能は、他社サービスとは異なるアプローチを取っています:
- Image-to-Video特化: テキストからの生成ではなく、画像からの変換に特化
- アーティスティック表現: 写実的というよりも芸術的・創作的な動画生成
- コミュニティ連携: Discord上での活発なユーザーコミュニティとの連携
実際の使用方法と操作手順

Midjourneyの動画生成機能は、既存のユーザーインターフェースに自然に統合されており、学習コストを最小限に抑えています。
ステップ1: 基本的な動画生成手順
- 画像の準備
- Midjourney内で生成した画像を使用
- または外部画像をアップロード(ドラッグ&ドロップ)
- Animateボタンのクリック
- 選択した画像の下に表示される「Animate」ボタンをクリック
- アニメーション設定の選択
- 自動モード: システムが最適な動きを自動生成
- 手動モード: 詳細なモーションプロンプトを入力
- モーション強度の設定
- 低モーション: 繊細で控えめな動き
- 高モーション: ダイナミックで活発な動き
ステップ2: 高度な制作テクニック
カスタムモーションプロンプトの活用
手動モードでは、以下のような詳細な指示が可能です:
- “Camera slowly pans from left to right”(カメラが左から右へゆっくりパン)
- “Character walks forward with flowing hair”(キャラクターが前進し、髪がなびく)
- “Waves gently crash on the shore”(波が静かに岸に打ち寄せる)
最適な結果を得るためのコツ
- 明確な被写体: 動かしたい要素が明確に写っている画像を使用
- 構図の考慮: 動きの方向性を考慮した構図選択
- 背景とのバランス: 前景と背景の動きのバランスを意識
ステップ3: 動画の延長と仕上げ
生成された5秒動画に満足した場合、「Extend」機能を使用して動画を延長できます:
- 気に入った動画を選択
- 「Extend」ボタンをクリック
- 追加の4秒分が生成される
- 最大4回まで延長可能(合計25秒)
生成される動画の品質と特徴

画質と解像度
Midjourneyの動画生成機能は、同社の画像生成技術で培われた高品質を継承しています:
- 解像度: HD品質(1280×720)を基本とした高解像度出力
- フレームレート: 滑らかな動きを実現する最適化されたフレームレート
- 色彩表現: Midjourneyの特徴的な豊かな色彩表現を動画でも実現
動きの自然さと表現力
自然な動きの生成
- 物理法則の考慮: 重力や慣性を考慮した自然な動き
- 一貫性の維持: フレーム間での違和感のない連続性
- 細部の表現: 髪の毛や布の揺れなど、細かい部分の動きも表現
アーティスティックな表現
- 様式美の維持: Midjourneyらしい芸術的な表現を動画でも維持
- 創造性の重視: 写実的というよりも創造的で印象的な動画生成
- スタイルの多様性: ファンタジーからリアリスティックまで幅広いスタイル対応
生成される動画のタイプ
適している用途
- アート作品のアニメーション化: 静止画アートに生命を吹き込む
- コンセプトアートの動画化: ゲームや映画のコンセプトを動的に表現
- ソーシャルメディア投稿: インスタグラムやTikTokなどでの使用
- プレゼンテーション素材: ビジネス用途での視覚的なインパクト
現在の制限事項
- 長時間動画: 25秒という制限(将来的に改善予定)
- 複雑なナラティブ: ストーリー性のある長編動画は不向き
- テキスト表示: 文字情報の動的表示は限定的
ユーザーの反応と評価
業界専門家の評価
TechCrunch、VentureBeat、Tom’s Guideなどの主要テック媒体からは、概ね好意的な評価を受けています:
VentureBeatの評価: “期待を大きく上回る品質で、Midjourneyの画像生成能力が動画でも発揮されている” VentureBeat
TechCrunchの評価: “月額10ドルから利用できる価格設定は業界標準を大きく下回り、アクセシビリティを大幅に向上させている” TechCrunch
ユーザーコミュニティの反応
ポジティブな反応
- 品質の高さ: “Midjourneyらしい美しい表現が動画でも実現されている”
- 使いやすさ: “既存のワークフローに自然に統合されている”
- コストパフォーマンス: “この品質でこの価格は驚異的”
改善要望
- 動画時間の延長: “25秒では短すぎる、もっと長い動画が欲しい”
- テキスト機能: “テキストから直接動画生成する機能の追加希望”
- 細かい制御: “より詳細なアニメーション制御オプションを追加してほしい”
クリエイター活用事例
デジタルアーティスト
多くのデジタルアーティストが既存の作品をアニメーション化し、新しい表現の可能性を模索しています。特に、静止画では表現しきれなかった環境の生命感や、キャラクターの動的な魅力を表現する手段として活用されています。
映像クリエイター
短編映像やミュージックビデオの制作において、コンセプトアートの段階から動画での確認が可能になり、制作効率が大幅に向上したという報告が多数寄せられています。
マーケティング担当者
ソーシャルメディア向けの視覚的にインパクトのあるコンテンツ制作において、従来の動画制作と比較して大幅なコスト削減と制作時間の短縮を実現できているとの評価があります。
今後の展開と将来性

Midjourneyのロードマップ
David CEO率いるMidjourneyチームは、動画生成機能を以下のような段階的発展の一部として位置づけています:
短期目標(2025年内)
- 動画品質の向上: より長時間、高解像度の動画生成
- Text-to-Video機能: テキストから直接動画を生成する機能の追加
- 3Dモデル統合: 3次元空間での動画生成機能
中期目標(2026-2027年)
- リアルタイム生成: ライブでの動画生成・編集機能
- インタラクティブ要素: ユーザーが動画内容に介入できる機能
- 高解像度対応: 4K、8Kレベルの超高解像度動画生成
長期ビジョン
最終的には「リアルタイムオープンワールドシミュレーション」の実現を目指しており、これは以下のような特徴を持つシステムです:
- 完全没入体験: VR/AR環境での完全な仮想世界体験
- リアルタイム相互作用: 生成された環境やキャラクターとのリアルタイム対話
- 無限の創造性: ユーザーの想像力を即座に視覚化する技術
技術的な発展方向
AIモデルの進化
- 効率性の向上: より少ない計算資源でより高品質な動画生成
- 学習データの拡充: より多様なスタイルと表現方法の習得
- ユーザー適応: 個々のユーザーの好みに適応したカスタマイゼーション
統合プラットフォーム化
- ワークフロー統合: 画像・動画・3D・音声を統合した総合制作環境
- 外部ツール連携: Adobe、Blender等の既存制作ツールとの連携強化
- クラウド最適化: より高速で安定したクラウドベースの処理システム
市場への影響
動画制作業界への影響
- 制作コストの民主化: 高品質動画制作の大幅なコスト削減
- 創作プロセスの変革: アイデアから完成品までの時間短縮
- 新しいクリエイター層の台頭: 技術的スキルを必要としない動画制作
教育・エンターテイメント分野
- 教育コンテンツ: より視覚的で理解しやすい教材の制作
- パーソナライズド娯楽: 個人の好みに合わせたコンテンツの自動生成
- 新形態のストーリーテリング: インタラクティブな物語体験の創出
まとめ

Midjourneyの動画生成機能「V1 Video Model」のリリースは、AI創作ツールの歴史において重要なマイルストーンとなりました。月額10ドルから利用可能という革新的な価格設定により、これまで高額な専門ソフトウェアや制作チームが必要だった高品質動画制作が、個人クリエイターにも手の届く技術となったのです。
主要なポイントの総括
- アクセシビリティの革命: 月額$10からの低価格で高品質動画生成が可能
- 品質の継承: Midjourneyの卓越した画像生成技術を動画領域に完全移植
- 統合ワークフロー: 画像制作から動画化まで一貫したプラットフォーム提供
- 技術革新: 1生成で4パターン、最大25秒までの延長機能
- 将来性: リアルタイムシミュレーションという壮大なビジョンへの第一歩
クリエイターへの推奨事項
今すぐ始めるべき理由
- 先行者利益: 新技術を早期習得することでの競争優位性確立
- 低コスト試行: 月額$10という低リスクでの技術検証が可能
- スキル蓄積: 将来的な機能拡張に備えた基礎技術の習得
効果的な活用方法
- 既存作品の再活用: 過去の静止画作品をアニメーション化
- コンセプト検証: アイデアの視覚化と迅速なプロトタイピング
- ソーシャルメディア展開: インパクトのあるコンテンツでの差別化
産業への長期的影響
Midjourneyの動画生成技術は、単なる新機能の追加を超えて、クリエイティブ産業全体のパラダイムシフトを促進する可能性を秘めています。従来の動画制作における技術的・経済的障壁が大幅に低下することで、より多様で創造的なコンテンツが生み出される環境が整いつつあります。
特に注目すべきは、この技術が「技術的スキル」よりも「創造的アイデア」を重視する方向性を示していることです。これにより、従来は技術的制約によって制限されていたクリエイターたちが、より自由に表現できる時代の幕開けとなるでしょう。
最後に
Midjourneyの動画生成機能は、まだ発展途上の技術です。しかし、その可能性は計り知れません。現在の25秒という制限や、Image-to-Videoという制約も、同社の技術進歩の速度を考えると、近い将来には大幅に改善されることが予想されます。
クリエイターの皆さんには、この革新的な技術を積極的に試し、新しい表現の可能性を探求することをお勧めします。そして何より、この技術を通じて、これまでにない素晴らしい作品を世界に発信していただければと思います。
AI技術の進歩は止まることを知りません。Midjourneyの動画生成機能は、その進歩の一つの大きな節目であり、同時に、更なる未来への扉を開く鍵でもあります。この技術革新の波に乗り、新しい創造の時代を共に築いていきましょう。
本記事の情報は2025年7月時点のものです。Midjourneyのサービス内容や料金体系は変更される可能性があります。最新情報については公式サイトをご確認ください。