
近年、ChatGPTなどの生成AIの登場・普及が世界的に話題となっているように、AIは人々の暮らしや仕事をより便利に・効率的にするツールとして大きな注目を集めています。
企業のさまざまな部門で、業務効率化や顧客体験の向上、意思決定の精度向上など、多くの用途でAIが活用されています。
「自社でもAIを活用したいけれど、何から始めればいいのかわからない」「具体的にどんな効果があるのか知りたい」そんなお悩みはありませんか?
デジライズでは、AI活用を検討している企業の皆様に向けて、AI活用事例や導入のポイントをわかりやすくご紹介します。
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目次
Claude Web版アプリ連携機能の概要
2025年5月、Anthropicは画期的な発表を行いました。Claude Web版において、わずかワンクリックで主要な業務アプリケーションとの連携が可能になる「Integrations」機能の提供開始です。この機能により、これまで個別に作業していた複数のツール間での情報共有や作業フローが劇的に効率化されています。

従来のAI対話では、毎回プロジェクトの詳細、締切、使用ツールなどを一から説明する必要がありました。しかし、Claude Web版の新機能では、例えば「Linearから最新スプリントのリリースノートを作成して」と依頼するだけで、実際のLinearチケットを参照し、プロフェッショナルなリリースノートを自動生成できるようになりました。
この革新的な機能は、Model Context Protocol(MCP)という新しいオープンスタンダードに基づいています。MCPは、AIアプリケーションがツールやデータに接続するための標準仕様で、開発者は簡単にカスタム統合を構築できます。
Integrations機能とMCPの革新性
Model Context Protocolの技術的優位性
Anthropicが開発したMCP(Model Context Protocol)は、AI統合における業界標準を目指す画期的な技術です。従来のAPI連携とは異なり、MCPはリモートサーバーとの深い統合を可能にし、Claudeが各アプリケーションの文脈を理解した上で作業を実行できます。

MCPの特徴的な機能:
- 深いコンテキスト理解:プロジェクト履歴、タスクステータス、組織の知識を包括的に把握
- 双方向のアクション実行:情報の取得だけでなく、実際の作業実行も可能
- セキュアな認証システム:OAuth認証を通じた安全なデータアクセス
- 拡張性:開発者が30分程度でカスタム統合を作成可能
Advanced Research機能の拡張
従来のResearch機能に加え、新たに「Advanced Research」機能が追加されました。この機能では、Claudeが最大45分間にわたって複数の内部・外部ソースを調査し、包括的なレポートを作成します。調査対象には以下が含まれます:
- Web検索結果
- Google Workspaceのデータ
- 連携したアプリケーションの情報
- 社内文書やナレッジベース
対応アプリと具体的な活用シーン

デザイン・クリエイティブツール
Canva連携の実践例
- ソーシャルメディア投稿の自動生成:「今週のマーケティングキャンペーン用のInstagram投稿を5つ作って」→Claudeがブランドガイドラインに従ったデザインを自動作成
- プレゼンテーション資料の一括作成:会議資料のテキストからスライドデザインまでワンストップで完成
- ブランド統一されたマーケティング素材:企業ロゴやカラーパレットを考慮した統一感のあるデザイン制作
Figma統合の優位性
- デザインからコードへの完全変換:Figmaファイルから本格的なプロダクション準備完了コードを生成
- デザインシステムの自動適用:既存のデザインコンポーネントを活用した一貫性のある開発
- デザイナーと開発者の協業効率化:デザイン仕様の自動文書化と実装ガイドの生成
プロジェクト管理・コラボレーション
Notion連携の活用法
- 会議議事録の自動整理:Claude内での議論内容を構造化されたNotionページに変換
- プロジェクトロードマップの作成:チームディスカッションから実行可能なロードマップを自動生成
- ナレッジベースの自動構築:散在する情報を体系的なドキュメントとして整理
Linear・Jira統合
Linear連携では、以下のような革新的なワークフローが実現できます:
- 自動化されたタスク管理:口頭でのタスク説明から詳細なチケット作成まで自動実行
- スプリント計画の最適化:チーム能力とプロジェクト優先度を考慮した効率的なスプリント設計
- バグレポートの自動作成:ユーザーフィードバックから技術的な課題解決まで一貫した対応
ビジネス・金融ツール
Stripe連携の実用性
- 顧客データの包括的分析:支払い履歴と顧客行動パターンの相関分析
- 売上レポートの自動生成:リアルタイムの財務データから戦略的洞察を提供
- カスタマーサポートの効率化:支払い関連の問い合わせに対する即座の情報提供
Web版とデスクトップ版の機能比較

機能項目 | Web版 | デスクトップ版 |
---|---|---|
アプリ連携 | ✅ リモートコネクタ対応(有料プラン) | ✅ リモート+ローカル拡張対応 |
リモート統合 | ✅ 有料プラン限定 | ✅ 有料プラン限定 |
ローカル拡張 | ❌ 未対応 | ✅ MCP による完全対応 |
ファイルアップロード | ✅ 20 ファイル / 30 MB まで | ✅ 同上 |
Computer Use | △ API 経由で利用可(UI なし) | △ 同左 |
オフライン作業 | ❌ 非対応 | △ 事前ワークフローのみキャッシュ可 |
Web版の独自メリット
1. 即座のアクセス性
ブラウザがあればどこからでも即座にアクセス可能。インストール不要で、Chrome、Safari、Firefox等の主要ブラウザで完全動作します。
2. クロスプラットフォーム対応
Windows、Mac、Linux、さらにはChromebookでも同一の体験を提供。デバイスを問わない柔軟性が最大の魅力です。
3. 自動アップデート
新機能や改善がリアルタイムで反映され、常に最新版を使用できます。アップデート作業やメンテナンスが不要です。
デスクトップ版の特徴的機能
Computer Use機能
デスクトップ版限定で、Claudeが実際にコンピュータを操作できる革新的機能を搭載。マウスクリックやキーボード入力を通じて、複雑な作業を自動実行します。
ローカルファイル統合
システム内のファイルやフォルダに直接アクセスし、ローカル環境での作業効率を大幅に向上させます。
実際の設定方法と使い方
ステップ1:アプリ連携の開始
- Claude Web版(claude.ai)にアクセス
- チャット画面左下の「+」ボタンをクリック
- 「Connectors」ダイアログが表示される
- 連携したいアプリを選択し「Connect」をクリック

ステップ2:認証プロセス
各アプリケーションの認証は、業界標準のOAuth 2.0を使用:
Notion連携の場合
- Notionの認証画面にリダイレクト
- ワークスペースと権限範囲を選択
- 「Accept」で認証完了
Canva連携の場合
- Canvaアカウントでログイン
- デザインアクセス権限を確認
- Claude用のAPIキーが自動生成
ステップ3:実際の活用開始
認証完了後、以下のような自然言語での指示が可能になります:
「Linear上の今週完了予定のタスクをNotionのプロジェクトページに整理して、進捗レポートを作成してください。」
「Canvaで明日のウェビナー用のソーシャルメディア投稿を3パターン作成し、それぞれの特徴を説明してください。」
「Stripeの過去3ヶ月の売上データを分析し、顧客セグメント別の傾向をFigmaでビジュアル化してください。」
ビジネス活用の実践例
マーケティングチームの生産性革命
従来のワークフロー(約4時間)
- Notionで企画書作成(30分)
- Canvaでデザイン制作(2時間)
- 各SNSプラットフォーム用の調整(1時間)
- 効果測定レポート作成(30分)
Claude統合後のワークフロー(約30分)
- 「来月のプロダクトローンチキャンペーンを企画し、Instagram、Twitter、LinkedIn用のクリエイティブを作成してください」
- Claudeが自動で企画書作成→Canvaでデザイン生成→各プラットフォーム最適化→効果測定ダッシュボード準備
開発チームの効率化事例
プロダクト開発プロセス
PM指示: 「ユーザーフィードバックを基に、決済フロー改善のタスクをLinearに作成し、FigmaでUI改善案を提示してください。」
Claude実行:
1. Intercomから顧客フィードバック抽出
2. 問題点の分析と優先度設定
3. Linearにタスク自動作成
4. Figmaで改善UI案を生成
5. 技術的実装ガイドの作成
営業チームの業務変革
顧客対応の自動化
- Stripeデータ活用:顧客の支払い履歴から最適な提案内容を自動生成
- CRM統合:商談記録からフォローアップタスクを自動作成
- プレゼンテーション作成:顧客データを基にパーソナライズされた提案資料を自動制作
セキュリティとプライバシーへの配慮
エンタープライズレベルのセキュリティ
OAuth 2.0認証
- 業界標準の認証プロトコルを使用
- トークンベースのアクセス制御
- 細かな権限設定が可能
データ処理の透明性
- すべての情報源に対する明確な引用提供
- データの使用目的と範囲の明示
- ユーザーによるアクセス権限の随時変更可能
企業向け特別措置
- Team・Enterpriseプランでは、管理者による一元的な権限管理
- データ残留性の保証(企業データが外部に流出しない仕組み)
- コンプライアンス要件への完全対応
プライバシー保護機能
データ最小化原則
- 必要最小限のデータアクセスのみ許可
- 作業完了後の自動データ削除
- ユーザーによるデータアクセス履歴の確認可能
今後の展開と競合他社との差別化
2025年後半の予定機能
新規連携予定アプリ
- Stripe:完全版リリース予定
- GitLab:コード管理とCI/CD統合
- Box:エンタープライズファイル管理
- HubSpot:CRM・マーケティング自動化
- Salesforce:営業プロセス最適化
機能拡張計画
- 自動ワークフロー作成:複数アプリ間の複雑な作業プロセスを自動化
- AI エージェント機能:継続的なバックグラウンド作業の実行
- カスタムコネクター作成支援:非技術者でも独自統合を構築可能なビジュアルエディター
競合分析:ChatGPT・Geminiとの差別化
要素 | Claude Integrations | ChatGPT | Gemini |
---|---|---|---|
アプリ連携数 | 100+ 公式コネクタ/拡張 | 約 900 プラグイン+30 種前後の Enterprise Connectors | Google Workspace・Android 系を中心に段階的拡大 |
統合の深さ | ローカル+リモート+API で完全統合 | プラグインは UI 操作中心、Connectors は資料検索レベル | Google サービスとは深め、外部は中程度 |
カスタマイズ性 | MCP で開発者が独自拡張可 | Custom GPTs & Connectors で部分的 | API と Vertex AI で中程度 |
エンタープライズ対応 | SSO/RBAC/監査ログ完備 | Enterprise/EDU で部分対応 | Workspace / Cloud で限定的 |
開発者支援 | SDK・CLI・詳細ドキュメント充実 | 基本ドキュメント+一部β API | Google AI Studio & Gemini API(着実に拡充中) |
MCPエコシステムの拡大
開発者コミュニティの活性化
Anthropic Partnersでは、サードパーティ開発者が独自のMCPサーバーを作成・公開できるプラットフォームを提供。これにより、ニッチな業界特化アプリとの連携も急速に拡大しています。
実装の簡単さ
従来のAPI統合では数週間から数ヶ月かかっていた開発が、MCPを使用することで:
- 基本統合:30分程度
- 高度なカスタマイズ:数時間
- エンタープライズ対応:1-2日
この開発効率の向上により、今後1年間で対応アプリケーション数は現在の10倍以上に拡大すると予測されています。
まとめ:Claude Web版が切り開く新しい働き方
Claude Web版のIntegrations機能は、単なる技術的改善を超えて、私たちの働き方そのものを変革する可能性を秘めています。わずかワンクリックで主要な業務ツールと連携し、これまで数時間かかっていた作業を数分で完了できる環境が、ついに現実のものとなりました。
主な変革ポイント:
- 時間効率:従来比80%以上の作業時間短縮
- 品質向上:人的ミスの削減とデータ整合性の確保
- 創造性の解放:単純作業の自動化により、戦略的思考に集中可能
- コラボレーション強化:チーム間の情報共有と連携の円滑化
特に注目すべきは、デスクトップアプリのダウンロードや複雑な設定が不要で、Webブラウザさえあれば即座に最新機能を活用できる点です。これにより、企業規模を問わず、すべての組織が最先端のAI統合ワークフローを導入可能になりました。
今後のアップデートでは、さらに多くのアプリケーションとの連携が予定されており、Claude Web版は真の意味での「デジタルワークスペースの統合ハブ」として進化し続けていくでしょう。この革命的な変化の波に乗り遅れないよう、ぜひ今すぐClaude Web版のIntegrations機能を体験してみてください。