チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

1. はじめに:資料作成の時間を大幅カットする時代

日本企業では、「資料作成に多くの時間をかけている」という現状がよく指摘されます。1枚の図解を作るにも、構想・デザイン・調整に時間がかかり、結果的にほかの業務が圧迫されがち。そこで本記事では、次世代大規模言語モデルの一つである「Claude 3.7」を活用し、自動で図解を生成→PowerPointで微調整という流れを確立する方法をご紹介します。

このワークフローを取り入れることで、

  • 資料作りの時短
  • デザイン品質の向上
  • AIによるアイデア補完

など、今まで時間とコストを費やしていた部分を大幅に削減できるようになります。


2. Claude 3.7で図解を作るメリット

ここでは、Claude 3.7(Sonnet 3.7とも呼ばれます)を使って図解を自動生成する具体的な利点を掘り下げていきます。

2.1 ハイレベルな図解を自動生成

Claude 3.7は、テキストのコンテクストから複雑なビジュアルやレイアウト案をAIが自動的に提案する機能があります。たとえば、

「新製品のプロモーション戦略をわかりやすく図解したい」

といった要望を入力するだけで、プロのデザイナーが作ったようなシンプルかつ訴求力のあるビジュアル案を瞬時に生成してくれます。これによって、ゼロから図解を考案する苦労が大きく軽減されるのです。

2.2 時間とコストの大幅削減

通常、資料作りにはデザインツールや外部デザイナーのサポートが必要なケースも多いですが、Claude 3.7を使えば追加コストほぼゼロで済みます。ラフスケッチやアイデア出しの段階もすべてAIに任せることで、構想・制作のプロセスが一気に短縮できるのが大きなメリットです。

2.3 編集のしやすさ

Claude 3.7が生成する図解はSVG形式に対応しています。SVG形式の最大の利点は、あとからPowerPointなどのソフトウェアでオブジェクト単位に編集が可能という点です。色やフォントを自由に変更したり、不要な要素を削除したり、テキスト部分を差し替えたりと、柔軟に手を加えられることが魅力です。


3. 実践ステップ:AIからPowerPointへ

それでは、実際に「Claude 3.7 → SVGエクスポート → PowerPoint編集」の流れを具体的に解説していきます。

3.1 AIで図解を作成する

  1. Claude 3.7のチャット画面を開く
    開発者コンソールや専用アプリなど、お使いの環境でClaude 3.7のプロンプト入力画面へアクセスします。
  2. 図解の要件を伝える
    例として、 「新製品の市場投入プロセスをわかりやすく図解してほしい。 - 主要ステークホルダー - 期間ごとのマイルストーン - 簡潔なデザイン 」 といったリクエストを投げかけるだけでOKです。
  3. 生成結果を確認・修正
    Claude 3.7が図解の案を提案します。複数バージョンを提示してもらうのもよいでしょう。必要があれば追加の要望を出し、最終的にイメージに近いレイアウトを仕上げます。

3.2 SVG形式でエクスポートする

  1. SVGファイルで保存
    Claude 3.7のチャット上やエディター上で図解が表示されている場合、エクスポートオプションで「SVG形式」を選択してダウンロードします。ファイル名は「diagram.svg」など、わかりやすく付けておきましょう。
  2. ファイルの整理
    後でPowerPointに挿入しやすいよう、プロジェクトフォルダ内などにSVGファイルを保存しておきます。図解が複数ある場合は、ファイル名で区別しましょう(例:「diagram01.svg」「diagram02.svg」)。

3.3 PowerPointで編集する

ここがポイントとなる作業です。AIが生成した図解をベースに、人間が仕上げの最終タッチを行います。

ステップ1:パワポを立ち上げる

  • 新規スライドを作成するか、既存のスライドのどこかに空きスペースを確保します。
  • [挿入] → [画像] などの手順で、保存しておいたSVGファイルをパワポへ貼り付けます。

ステップ2:図形に変換する

  • 挿入したSVGファイルをクリックすると、上部メニューに「グラフィック形式」という項目が表示されます。
  • 「グラフィック形式」内のオプションから「図形に変換」を選択。これでSVGの各パーツがPowerPoint上で個別オブジェクトとして扱えるようになります。

ステップ3:オブジェクトを自由に編集

  • それぞれのパーツが図形として分割されるため、色変更・配置調整・削除・文字追加などが自由に行えます。
  • 企業のブランドカラーに合わせて配色を変えたり、社内向けの用語に差し替えるなど、細部を調整していきましょう。
  • 必要に応じてアニメーション機能を付与することで、プレゼン資料にさらなるインパクトを与えることも可能です。


4. 成功のポイントと注意点

  • 十分な指示を出す
    AIに雑多なプロンプトだけを送ると、イメージとかけ離れた図解が返ってくる場合があります。事前にレイアウトの希望や使用用途、ターゲット読者などの情報をしっかり伝えると、精度が上がりやすいです。
  • SVG変換後の調整に時間を割く
    AIが出力した段階では“8割完成”を目安に考えてください。フォントやカラーリングなど最終的なブラッシュアップは人間の目で判断し、微調整するのがおすすめです。
  • 共同作業がしやすい
    SVGはバージョン管理もしやすく、PowerPointファイルと一緒に共有すれば、チームメンバー全員が同じ図解を編集できます。クラウドストレージやバージョン管理ツールを活用しておくとさらに効率的です。

5. まとめ:Claude 3.7活用で資料作りを革新する

日本企業では依然として多くの時間が「資料作成」に費やされていますが、Claude 3.7を活用してAIで図解を自動生成し、PowerPointでの最終編集を行うというワークフローを導入すれば、以下のようなメリットを享受できます。

  1. 短時間でクオリティの高い資料を作成
    ゼロからデザインするよりも、はるかに効率的に魅力的なビジュアルが作れます。
  2. 人的リソースの有効活用
    クリエイティブな発想やプレゼン内容のブラッシュアップに時間を回せるようになります。
  3. 企業全体の生産性向上
    図解や資料のテンプレート化が進み、他のチームメンバーも活用しやすくなるため、全社的な効率アップにつながります。

実際に試してみると、これまで「大変だ」「時間がかかる」と感じていた図解作成が驚くほどスピーディに片付きます。ぜひこの手順を取り入れて、AI×PowerPointによる次世代の資料作成プロセスを体感してみてください。

この記事の著者 / 編集者

チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

法⼈向けのAI研修、及び企業向けChatGPTを開発する株式会社デジライズをはじめ、他数社の代表取締役。一般社団法人生成AI活用普及協会評議員を務めながら、GMO AI & Web3株式会社など他数社の顧問も兼任。NewsPicksプロピッカーも兼任。Twitterはフォロワー15万⼈。⽇本初AIツール検索サイト「AI Database」やAIとの英会話ができる「AI英会話」など複数のAIサービスも開発。ABEMAやTBSテレビなどメディア出演も多数。

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