チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

1. はじめに

ここ数年で急速に普及したAIチャットボットの代表格といえば、OpenAIの「ChatGPT」です。自然言語によるスムーズなやり取りと豊富な知識が魅力で、個人からビジネスまで幅広いシーンで活用されています。最近では文章生成に限らず、プラグインの活用やAPI連携など、さまざまな追加機能が続々と登場。中でも特に注目を集めているのが、ChatGPTに追加された新機能「Tasks」です。

「Tasks」は、日々のルーティンワークやスケジュール管理を、チャットボットが自動で引き受けてくれるという画期的な機能です。リマインダー設定や繰り返しタスクの登録はもちろん、株価チェックやニュース要約、語学学習のサポートまで、多彩な使い道が登場しています。

本記事では、この「Tasks」の特徴や使い方、活用事例を詳細に解説するとともに、ベータ版ならではの制限や今後期待される未来像についてもご紹介します。ChatGPTをさらに便利に、さらに生産性向上につなげるヒントが満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。

2. ChatGPTの新機能「Tasks」とは?

ChatGPTの新機能「Tasks」は、従来の「テキストチャットによるやり取り」を中心としたサービスから、一歩踏み込んだ自動化・スケジュール機能を実現する大きなアップデートです。具体的には、以下のようなことが可能となります。

リマインダー設定

指定した日時やタイミングで、ChatGPTから通知が届くように設定できます。たとえば「明日の15時にミーティングを思い出させてほしい」「毎週月曜日の朝9時に週次会議についてリマインドしてほしい」など、タスク管理ツールのような機能を代替または補完してくれます。

定期的なタスクの実行

一度設定しておけば、毎日・毎週・毎月などの繰り返しタスクを、ChatGPTが自動で行ってくれます。たとえば「毎朝8時に株価をチェックして送信してほしい」という指示を与えると、ChatGPTが指定の時間に最新の株価情報を取得して教えてくれます。

情報提供の定期配信

天気予報・ニュースのヘッドライン・AI関連の最新トピックなど、ユーザーが欲しい情報を定期的にプッシュしてくれます。自分からいちいち情報を取りに行かなくても、ChatGPTの方から教えてくれるので効率的です。

現在はChatGPT Plus・Pro・Teamsプランのユーザーにベータ版として先行提供されており、今後順次すべてのユーザーに展開予定とのこと。初期の段階では1ユーザーあたり最大10個までタスク登録が可能とされています。

3. 「Tasks」の主な特徴

3.1 リマインダー機能

指定した日時にChatGPTから「○○の時間です」「準備はできていますか?」などのメッセージが届きます。これにより会議や締め切りに遅れる心配が減り、忘れがちなタスクを確実にこなすサポートを受けられます。

3.2 繰り返しタスクのスケジュール管理

たとえば「毎週金曜日に進捗確認のレポートをまとめて送って」と設定しておくと、毎週金曜日になるたびにChatGPTが自動でメッセージをくれます。タスク管理ツールやカレンダーアプリと同様、あるいはそれ以上にきめ細かいリマインドが可能です。

3.3 多彩な連携と情報取得

ChatGPT自体が多くの情報ソースにアクセスできるため、ニュースや株価情報、天気予報などをタイムリーにまとめて送信することが可能です。さらにユーザーがカスタマイズしたプロンプトを繰り返し実行させることで、定期的に小説を書くコードの問題を出題するなど、クリエイティブな使い方も実現できます。

3.4 マルチプラットフォーム対応

ChatGPTのウェブアプリやモバイルアプリ(iOS/Android)、macOS版のクライアントなど、様々なプラットフォームから「Tasks」セクションにアクセスして一覧管理できます。仕事のPCからだけでなく、外出先のスマホからも設定を変更・確認可能なので、いつでもどこでもタスクの追加や修正ができる利便性が大きいです。

4. 「Tasks」の使い方(手順解説)

「Tasks」は高度な操作を必要としません。自然言語によるプロンプトでタスクを登録できるのが最大の強みです。具体的な手順は以下の通りです。

参考:https://x.com/OpenAI/status/1879267274185756896

Step1. モデルの選択

ChatGPTのモデル選択画面から「GPT-4o with scheduled tasks」など、スケジュール機能に対応したモデルを選びましょう。2025年1月時点ではベータ版のため、利用できるプランや国・地域が限られている場合があります。

Step2. 自然言語でタスクを指定

チャット画面で「明日の15時にミーティングのリマインドをして」「毎日朝8時に最新の株価をチェックして教えて」といった形で指示すると、その内容が「タスク」として登録されます。

• 1回限りのリマインドであれば日時を指定するだけ

• 毎日・毎週など繰り返しの場合は「毎週月曜」「平日の朝」などの表現を用いる

Step3. タスクの管理

タスクを設定すると、チャット画面や「Tasks」セクションで登録状況が一覧表示されます。設定したタスクの内容やスケジュール、繰り返しの有無などを簡単に確認でき、必要に応じて編集・削除が可能です。

Step4. 通知設定

設定画面から通知の方法を選択できます。プッシュ通知やメール通知など、ユーザーの好みに応じて受け取り方をカスタマイズしましょう。以下のような手順で行います。

1. ChatGPTの設定画面を開く

2. 「通知」を選択

3. プッシュ通知やメール通知の有効/無効を切り替え

5. 「Tasks」でできること・できないこと

6. 「Tasks」活用事例5選

ここからは具体的な活用事例を紹介します。どのようなシーンで「Tasks」が活躍するのか、イメージを膨らませてみましょう。

6.1 毎朝の株価チェック

朝8時など決まった時間に、指定した企業や株式銘柄の情報をChatGPTから自動で受け取る活用例です。

参考:https://x.com/karinanguyen_/status/1879270529066262733

  • 設定例(プロンプト)

    「毎日午前8時にAppleとTeslaの株価をチェックして送ってください」

株式投資や資産運用をしている人にとっては、最新の株価情報をウォッチすることは必須。これを自動化できれば効率的です。また、AI技術の特性を活かして、チェックした株価の変動理由や関連するニュースの簡易的な要約を加えてもらうこともできるかもしれません。

6.2 定期的なSFストーリー執筆依頼

ChatGPTは文章生成力も強力なので、定期的にクリエイティブなテキストを執筆させることが可能です。

参考:https://x.com/karinanguyen_/status/1879270531167588802

  • 設定例(プロンプト)

    「週に一度、短いSF小説の第一稿を書いてCanvasに投稿し、そのリンクを私のメールに送ってください」

このように「自動的に作品を作って投稿する」という一連の流れをChatGPTに任せられます(外部プラットフォームとの連携が必要になる場合もありますが、API連携や他の仕組みを駆使すれば実現可能)。作家志望の方や、自分のWebメディアで定期的にコンテンツを更新したい方にとって、新しい活用方法となりそうです。

6.3 語学学習やAIニュースの要約

語学学習とニュース取得を同時に自動化するのも便利な使い方です。

参考:https://x.com/karinanguyen_/status/1879270533394784351

  • 設定例(プロンプト)

    「毎晩19時に今日のAIニュースを3行で要約して送ってください」
    「毎晩20時にスペイン語の新しい単語1つとその例文を教えてください」

ニュース要約では「今日のAI業界の動き」を短い文章で送ってもらえるため、情報収集コストを大幅に削減できます。語学学習では、忘れないうちに新しい単語を少しずつ覚えられるような仕掛けが作れます。チャットボットに任せてコツコツ進めることで、モチベーション維持にも役立ちます。

6.4 面接やプログラミング試験対策

ChatGPTは学習・練習用途にも使えますが、それをさらに「Tasks」で定期化・自動化すれば、毎日あるいは特定のタイミングで問題が届き、コンスタントにトレーニングできます。

参考:https://x.com/karinanguyen_/status/1879270535475171773

  • 設定例(プロンプト)

    「毎日19時にJavaScriptのコーディング問題を1問出題してください」
    「来週の面接対策用に想定質問リストを出してください。リマインダーは前日と当日朝お願いします」

これにより、自主的に勉強時間を確保しやすくなります。たとえば就職活動中の面接練習を忘れずに実施できるようにしたり、プログラミング試験のためのコーディング課題を定期的に受け取って練習したりと、さまざまな活用シーンが考えられます。

6.5 その他の情報提供(天気・星占い・DALL-Eなど)

Tasks機能は株価やニュースだけでなく、天気予報星占いなどのエンタメ情報、さらにはDALL-Eなどの画像生成リクエストにも応用可能です。

  • 設定例(プロンプト

    「毎朝7時に今日の天気予報を教えてください」
    「毎日お昼にDALL-Eで1枚画像を生成して、結果を見せてください」

これによって日常のちょっとした楽しみや実用的な情報収集がシームレスに行えます。出勤前のバタバタした時間に天気情報をチェックする手間が省けるのはもちろん、毎日違った画像を眺めてクリエイティブの刺激を受けるなど、あらゆる可能性が広がります。

7. 「Tasks」がもたらすChatGPTの未来像

「Tasks」は、単なるリマインダー機能にとどまらず、ChatGPTを“AIエージェント”として活用する大きな一歩といえます。以下に、今後期待される未来像をいくつか挙げてみましょう。

1. より高度な自動化・連携

現時点では主に通知や情報取得が中心ですが、今後は外部アプリとのAPI連携がさらに進むことで、タスク管理アプリやカレンダーアプリ、プロジェクト管理ツールとシームレスにつながる可能性があります。たとえば「Trelloのカードを自動で作成して」「Googleカレンダーに予定を登録して」といった操作が可能になるかもしれません。

2. 状況に応じた柔軟な判断

AIがユーザーの行動パターンやプロジェクトの進捗を学習し、「この仕事はもう完了していますか?」「次のステップはどうしましょうか?」といった踏み込んだ提案を行うことで、タスク管理のパーソナライズ化が進むでしょう。

3. マルチエージェントとの協調

ChatGPT一つではなく、特化型AIエージェントとの連携(たとえば画像生成に特化したAI、動画編集に特化したAIなど)を複数走らせながら、Tasks機能がそれらをまとめて管理するという未来も考えられます。

4. 生産性向上と生活の質向上

これまでもChatGPTは文章作成やリサーチをサポートし、生産性を高めてきましたが、Tasksによってさらに「日常のルーティンワーク」や「思考時間の削減」が実現されます。多忙な現代社会において、こうした機能は生活全体を変えるポテンシャルを秘めています。

8. ベータ版での制限と注意点

「Tasks」はまだベータ版ということもあり、いくつかの制限や注意点があります。

1. タスク登録数の上限

1ユーザーあたり最大10個程度のタスク登録しかできない場合があります。今後の正式リリースで変更される可能性がありますが、大量のタスクを一括管理したい人にとっては現時点での制約となるかもしれません。

2. 外部連携範囲の限界

プッシュ通知やメール送信までは対応していても、ユーザーのスマホのアプリを直接起動したり、OSの標準アラームを操作したりすることはできません。また、外部サービスとの連携には対応していない場合が多いです。今後のアップデートに期待しましょう。

3. 誤報や生成エラーのリスク

ニュースや株価情報を提供する際、ソースにアクセスできないタイミングやAIの回答精度によって誤った情報が届く可能性があります。最終的にはユーザー自身の目で情報を確認することが大切です。

4. 国・地域・プランによる制限

Plus・Pro・Teamsユーザー向けのベータ版であり、一般ユーザーがまだ利用できない可能性があります。正式リリースのスケジュールは未定ですが、順次展開予定とのことです。

9. まとめ

ChatGPTの新機能「Tasks」は、株価チェックやニュース要約、語学学習、面接対策などのリマインド/自動化を手軽に実現する強力なツールです。以下、要点を振り返ります。

1. 自然言語で簡単タスク設定

「明日の15時に会議のリマインドを」「毎日朝8時に株価を送って」など、会話形式でタスクをセットアップできるのが最大の魅力。タスク管理アプリに慣れていない人でもすぐに使えます。

2. 多彩な情報源からの自動配信

ニュース、天気、株価など、インターネット上で入手できる多くの情報をChatGPTが取りに行ってくれます。DALL-Eなどの画像生成AIや、他のプラグインとの連携によって、さらに広がる可能性を秘めています。

3. ベータ版ながら期待が大きい

現在は最大10個までという登録数制限や、一部外部連携の制約があるものの、Plus・Pro・Teamsユーザーに限らず、今後すべてのユーザーに機能が展開される見込み。正式リリースになれば更に充実した機能や連携が期待されます。

4. 今後はAIエージェントへと進化

タスク管理を起点に、ユーザーの行動を学習しながら最適なサポートを行う「AIエージェント」へと進化するシナリオが見え隠れしています。すでにChatGPTの強力な自然言語処理機能や幅広い知識に加え、マルチプラットフォーム対応も進んでおり、近い将来にはさらに便利で多彩な可能性が広がっていくでしょう。

「Tasks」は、AIによるサポートで私たちの生活をより豊かに、そして効率的にしてくれる画期的な機能です。これまで「チャットボットは検索や翻訳だけに使っていた」という方も、この機会にぜひタスク管理やリマインド機能としての活用を検討してみてはいかがでしょうか。日常のちょっとした作業がAIによって簡略化されるだけで、時間も気力も大幅に節約できます。

今後のアップデートで、どんな新機能や連携が追加されるか楽しみです。最新情報を逃さないよう、ChatGPTやOpenAIの公式アナウンスをチェックしながら、ベータ版の「Tasks」を使ってみてください。あなたの暮らしや仕事に、きっとプラスのインパクトをもたらしてくれるはずです。

この記事の著者 / 編集者

チャエン

株式会社DigiRise 代表取締役

チャエン

法⼈向けのAI研修、及び企業向けChatGPTを開発する株式会社デジライズをはじめ、他数社の代表取締役。一般社団法人生成AI活用普及協会評議員を務めながら、GMO AI & Web3株式会社など他数社の顧問も兼任。NewsPicksプロピッカーも兼任。Twitterはフォロワー15万⼈。⽇本初AIツール検索サイト「AI Database」やAIとの英会話ができる「AI英会話」など複数のAIサービスも開発。ABEMAやTBSテレビなどメディア出演も多数。

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