観光牧場と製造業の現場で進む、生成AIによる業務効率化
酪農王国株式会社 様
導入前の課題
- 事務作業(メール作成・見積もりなど)に時間がかかり、残業が慢性化
- イベント企画がマンネリ化し、新規アイデアを出すのが困難
- 製造工程が属人化し、マニュアル整備が進まず教育負担が重い
導入後の効果
- メール文・商品説明文などのたたき台作成で、事務時間を大幅に削減
- クイズやイベント案など、企画作成をAIが支援し、創造性が向上
- 作業マニュアルのドラフト化や古い紙資料のデータ化がスムーズに
目次
会社紹介
酪農王国株式会社は静岡県函南町にある企業で、観光牧場「酪農王国オラッチェ」の運営をはじめ、自社製造によるクラフトビールなどの酒類販売も手がけています。設立からおよそ30年、地域資源を活かした観光と製造の事業で、地域に根ざした取り組みを続けています。
従業員数はパート・アルバイトを含めて50名ほどで、少人数体制ながら観光施設の運営、商品製造、営業、企画など多岐にわたる業務を一手に担っており、社内では柔軟な連携体制が築かれています。
生成AI導入前の課題感
少人数で複数の業務を並行して進める中で、効率面や負荷の偏りといった課題が顕在化していました。特に事務作業に時間を要するケースが多く、企画や製造現場にも影響が出始めていました。
特に、メール対応や見積書の作成といった事務作業に多くの時間がかかり、残業が慢性化する状況が続いていました。また、毎週末に実施しているイベントも、アイデアの引き出しが限られてきており、内容が固定化しやすいという課題がありました。製造部門では作業が属人化しがちで、マニュアル整備が進まず、教育に時間がかかる点も懸念されていました。
生成AI活用の効果
生成AIを活用するようになってから、各部門の業務にさまざまな変化が見られるようになりました。たとえばイベントの企画では、AIにテーマを伝えることでアイデアを提案してもらえるため、検討の起点が増え、以前よりも短時間で内容を形にできるようになっています。イベントのクイズなども、地域の歴史や文化をもとにAIが自動生成してくれるため、来場者への情報提供にも活かされています。
また、営業面では商品案内の文面やメールの下書きをAIが自動作成してくれることで、文書作成の時間が大幅に短縮されました。製造部門でも、マニュアルのドラフトをAIに生成させることで、これまで着手できていなかった標準化が進んでいます。
導入初期には、AIの操作に慣れていない社員も一部いましたが、社内での講習やプロンプトの雛形共有を通じて利用が浸透していきました。なかには、部下の成果物の質が向上していることに気づいた管理職が、自ら興味を持ってAI活用を始めたケースもあります。現在では、ほぼすべての社員が週2~5日の頻度でAIを業務に取り入れています。
今後の展望
【デジライズ:社内 Q&A 公式 LINE チャットボットを開発】
今後は、生成AIを活用したマニュアル整備をさらに推進していく予定です。現在、全体の1割にも満たない状況ではありますが、紙で保管されていた旧マニュアルをスキャンし、AIに読み込ませて再編集する取り組みがすでに始まっています。とくに製造部門では、長年の経験や口頭での引き継ぎに頼っていた情報を形式知化することが急務となっており、AIによる文書生成がその支援となっています。
また、アルバイト・パートスタッフへの情報伝達を円滑にするために、LINEを活用したBot開発も進めています。就業規則やよくある質問などを自動で案内できる仕組みにすることで、総務の対応負担を減らし、従業員全体の業務効率を高めていきたいと考えています。
