生成AI導入で記録業務を50%削減|AIで変わる就労支援の現場
インクルード株式会社 様
導入前の課題
- 社内だけでAI導入を進めるにはノウハウと教育体制が不足していた
- 最新AIのトレンドと現場活用の間にギャップがあった
- AIリテラシーを高める仕組みがなく、現場での活用が定着しにくかった
導入後の効果
- 記録業務・記事作成などの所要時間が半減
- GAS×Gemini活用でスライド作成の手間を大幅削減
- AI未経験者のリテラシー向上と活用意欲の醸成
目次
会社紹介
インクルード株式会社は、「ニューロリワーク」の名称で全国に20拠点以上を展開し、精神的な不調や疾患を抱える方を対象とした就労移行支援・自立訓練サービスを提供しています。主な利用者は、休職中や未就労の方々で、社会復帰・就労に向けた支援を行っています。丁寧な支援と安心感ある施設運営に加え、YouTubeなどでの情報発信にも注力し、利用者の心に寄り添う支援を提供しています。「支援の質」を重視し、デジタルツールの導入にも積極的に取り組むことで、福祉とテクノロジーの融合を目指しています。
生成AI導入前の課題感
経営陣は生成AI導入に強い関心と意欲を示していましたが、現場での実用化にはいくつかの課題がありました。まず、Google Workspace や Gemini などのツールが身近にある環境であっても、それを業務改善に結びつけるノウハウや教育の仕組みが社内に不足していました。また、最新のAI技術に関する情報と、現場の実務での使い方にギャップがあることも課題でした。
特に、AIの知識だけでなく、出力結果を正しく評価・活用する「リテラシー」向上の仕組みがなく、全社的な実践活用が定着しない点が大きな課題でした。
生成AI活用研修後の効果
生成AI研修を実施したことで、社内の活用は一気に進みました。プロンプトの設計やGeminiの具体的な使い方を習得した社員が、日々の業務に応用し始めたことで、業務効率化が実現しています。特に記録業務やポータル記事作成では、従来の半分以下の時間で作業が完了するようになりました。
また、Google Apps Script(GAS)を活用して、GeminiとGoogleスライドを連携させる仕組みを構築したことで、編集可能な資料の自動生成が可能になり、資料作成の手間が大幅に軽減されました。このような先進的な取り組みは、推進役となった社員から社内に広がり、現在では多くの部署で活用されています。
生成AIの導入により、現場の業務負担が目に見えて軽減されてきたという手応えもあります。福祉業界は、限られたスタッフで多くの利用者を支援する必要があるため、支援以外のタスク、特に記録業務が大きな負担となっていました。例えば、議事録の作成、支援内容の要約、支援記録の整理・入力といった業務です。こうした業務は、AIの導入により効率化され、「やらなくていい業務」が明確化しつつあります。結果として、利用者支援に充てる時間や、新たなコンテンツを企画・制作する時間の創出につながり、生産性の向上と、利用者支援の質の向上という相乗効果を生み出しつつあります。
今後の展望
今後は、AI研修を受講していない社員にもナレッジを展開し、全社的にリテラシーを底上げしていく方針です。
特に重視しているのが、生成された文章や資料を鵜呑みにせず、アウトプットの質を自ら判断し、正確性や妥当性を確認する力です。これは単にAIの使い方を学ぶ以上に重要なスキルであり、「AIを使いこなす力=リテラシー」として、組織全体で高めていく必要があります。そして、このリテラシーの重要性を理解し、活用において模範的な実践をしている社員も既に増えています。GeminiやGASの活用だけでなく、AIによって生成された資料やテキストの精度・構成をきちんと確認し、必要な修正を加えるというプロセスを習慣化しており、模範的なAI活用者として社内にも良い影響を与えています。
この「成果物のクオリティを担保する」という視点でAIを活用できている点は、私たちが目指すリテラシー向上とAIの正しい活用の方向性そのものです。この軸を基に、現場とテクノロジーの融合をさらに深め、就労支援の新たな形を追求していきます。
