提案画像づくりから製品表記作成の自動化まで。オリジナルグッズの企画会社が部門ごとに広げたGemini活用
アイグッズ株式会社 様
導入前の課題
- ツールと使い方のばらつき:チームによって使う生成AIも使い方も異なり、Google WorkspaceのGeminiを全社の基盤として使いこなす方法が定まっていなかった
- 書く・調べる作業の負荷:提案書や見積の確認、市場調査、資料作成といった、提案の前段の作業に時間がかかっていた
- 個人の工夫が組織に残らない:AI活用が個人の工夫にとどまり、「この場合、会社としてどうするか」という判断の軸やルールがなかった
導入後の効果
- ツールと使い方のばらつき:Gem、NotebookLM、スプレッドシートやGASとの連携まで、Geminiを業務の中で使うワークを全4回で実施。最終報告では受講者の活用内容を5つの領域に整理し、部門をまたいで共有できる形にした
- 書く・調べる作業の負荷:営業チームは提案画像や依頼資料の作成、デザインチームは取扱説明書の校正や外箱の表記作成にAIを活用し、提案準備や表記作成の効率化に取り組んでいる
- 個人の工夫が組織に残らない:営業・デザイン・プロモーションの3つの部門で、ほかのメンバーも再現できる活用事例が生まれ、アフターフォローミーティングで部門をまたいで共有した
目次
アイグッズ株式会社様では、2025年11月から2026年4月までの半年間、社員10名を対象に生成AI研修「法人リスキリング」を実施しました。使用ツールはGoogle WorkspaceのGeminiです。提案画像づくりから製品表記の作成、採用業務まで、部門ごとにAIの使い道を広げていきました。
研修の開始時点で、多くの受講者はすでにAIを業務で使っていました。課題は「使うかどうか」ではなく、「全社の基盤であるGeminiで、どう仕事の仕組みに組み込むか」。オリジナルグッズの企画から製造・販売までを手がける同社が、個人の工夫を部門の仕事へと広げていった半年間をご紹介します。
会社紹介

アイグッズ株式会社様は、2016年1月に設立された、東京都渋谷区に本社を置く企業です。フルオーダーメイドのオリジナル販売用グッズや販促品の企画生産事業を主力としています。また、高まるSDGs需要や年々深刻化している人手不足の社会課題に対し、企業の取り組みを後押しすべく、サステナブルグッズ・ロボットを取り扱う自社ブランド「SUSPRO(サスプロ)」「ROBOTI(ロボティ)」などを展開。「あふれる愛で、想いをカタチに」という企業理念のもと、社会の要請を敏感に察知し、スピーディーに事業展開をしています。従業員は100名(アルバイト・派遣スタッフを含む)です。


今回の研修に参加したのは、営業、企画・マーケティング、広報、クリエイティブ、人事・総務の各職種の10名です。
生成AI導入前の課題感
研修開始時のアンケートでは、10名中9名がAIの知識レベルを「業務でたまに使っている」と答え、10名全員が「週5日」AIを活用していると回答していました。一方で、使っているツールも使い方も、チームによってまちまちでした。
弊チームでは、chatGPTを主に使っていました。そのAI活用のベースをGeminiに変更するメリットを提示して普及していきたいので今後の講義でご教示いただけると幸いです。
受講者アンケートより
時間がかかっていたのは、提案の前段にあたる作業です。開始時には「提案書の作成に時間がかかること」「市場調査などのリサーチに時間がかかる」「提案アイテムが多く見積もり確認や資料作成に時間がかかる」といった声が並びました。フルオーダーでグッズを企画する同社にとって、提案の準備はそのまま事業の要です。
もうひとつの課題が、個人の工夫を組織の力に変える仕組みでした。開始時のアンケートには、目指す姿として「AIにおける社としてのルール基盤を作り、『この場合、アイグッズでどうする?』という判断軸が明文化されている」状態を挙げる声がありました。
実施内容 ― アイグッズ様ならではの取り組み
- Geminiを業務の中で使う全4回のワークショップ
第1回でGemの作成、第2回でスライド作成のGemやNotebookLMを使った実践ワーク、第3回でGoogle Workspaceの中でのGeminiの活用とスプレッドシート・GASの連携、第4回でNotebookLMとGeminiの連携や業務効率化のGemづくりを扱いました。 - 実践ワークとアウトプットの共有
各回で実際に手を動かすワークを行い、受講者どうしが生成した画像やプロンプトを見せ合う時間を設けました。他の人の結果を見ることで、同じ機能でも使い方の幅が広がります。 - アフターフォローと活用支援で実務につなぐ
全4回のあと、アフターフォローミーティングで効果を振り返り、活用支援ミーティングではFlowやGoogle Workspace Studioといった新しい機能も題材にしながら、日々の業務への定着を後押ししました。 - 活用テーマを5つの領域に整理
最終報告では、受講者の活用内容を、文章・資料作成、画像生成・デザイン提案、情報整理・ナレッジ蓄積、調査・分析、自動化・業務設計の5つの領域に整理してご報告しました。個別の工夫を、部門をまたいで共有できる形にするためです。
生成AI活用の効果
半年間で目立ったのは、部門ごとに「自分たちの仕事にAIをどう入れるか」が具体的になったことです。営業チームでは、提案画像や依頼資料の作成にAIを使い、提案のスピードを上げています。デザインチームでは、取扱説明書の文字校正に使っていたAIを、製品の外箱に載せる表記の作成にまで広げ、作業を自動化しました。
利用の頻度も、研修の間ずっと高い水準が続きました。全4回のワークショップのアンケートでは、回答した受講者のAI活用頻度の平均が、どの回も週4.8〜5.0日でした(回答者数は回によって異なります)。
部門ごとに広がったAIの使い道
| 部門・チーム | 主なAI活用業務 |
|---|---|
| 営業チーム | 提案画像の作成/デザイン・サンプル・取扱説明書などの依頼資料の作成/工場への見積依頼/海外とのやり取りの翻訳 |
| デザインチーム | 取扱説明書の文字校正/製品の外箱(カートン)に載せる表記の作成/デザインに使う画像の生成 |
| 広報・プロモーション | 制作物やサイトに載せる画像の生成/チラシやサイトの文言作成/企画のアイデア出し/プロジェクトやブランドの概要のまとめ |
| サステナブルグッズ事業 | 市場・競合・トレンドの調査/企画書・提案資料の作成/キャンペーン結果の集計とレポート作成/商談の準備 |
| ロボット事業 | 公式サイト上のロボットに関する質問のチャットボット化/お客様対応のメール文面/新製品販売時のQ&A作成/ロボット資料の翻訳 |
| 人事・総務 | 採用のスカウト文や求人媒体の原稿作成/社内研修のカリキュラム考案/労務の分析・リサーチ |
| 貿易営業支援 | 輸送費の試算/検査書類・通関書類の確認/請求内容の確認 |
グッズの企画・提案から、ロボットの問い合わせ対応、輸送費の試算や通関書類の確認まで。事業の幅が広い同社らしく、部門ごとに違う形で使い道が生まれています。
受講者のアンケートには、学んだことをすぐに周りへ広げる動きも表れています。
よく撮影・加工を行なっています。そのため、画像生成についてかなり勉強になりました。また、早速研修後にメンバーに動画生成の方法を共有、イベントで使用したい動画を仮で生成したのですがかなり精度が良く、今後取り入れられそうという実感もありました。
受講者アンケートより
研修の場で手を動かせることが、忙しい現場では意味を持ちました。
日々の業務の中では目の前のタスクを優先させてしまい、そもそものAIの使い方を学ぶことを後回しにしてしまうため、研修の中で学べる(宿題という形ではない)のが大変助かります。
受講者アンケートより
研修の終盤には、個々の作業の効率化にとどまらず、仕組みそのものを考える声も出てきました。
業務効率化に関して、Geminiに相談することでさまざまな観点から仕組み化できることが理解できたため。
受講者アンケートより
アフターフォローミーティングで他部門の事例を共有した際には、Slackでの共有まで進めている事例や、後輩にGemの作成を任せるという視点が参考になった、という声が寄せられました。
今後の展望
次の論点は、部門ごとに生まれた工夫を、組織の仕組みとして定着させることです。最終報告では、次の取り組みを弊社からご提案しました。
- 先行事例を型にする
営業・デザイン・プロモーションで生まれた事例をテンプレートにし、ほかのメンバーも使える形に整える。 - 部門ごとに使い方を整理する
部門ごとによく使う業務と推奨するプロンプトを書き出し、新しく使い始める人の手がかりにする。 - 共有の場を続ける
推進を担う方を起点に、事例を共有する場を小さく継続的に回していく。
半年間の取り組みを通じて、生成AIを「個人で使う」段階から「部門の仕事に組み込む」段階へ踏み出したアイグッズ株式会社様。部門ごとに再現できる事例が生まれたことは、その過程で得られた成果のひとつです。
「あふれる愛で、想いをカタチに」——お客様一人ひとりの想いをグッズという形にしてきた同社の歩みは、生成AIという新しい道具を得て、次の段階に入ります。
