「何ができるか」の模索から全社導入へ|ワタミが描く生成AI教育とDXのロードマップ
ワタミ株式会社 様
導入前の課題
- 売上規模の拡大に合わせた、本部体制の効率化
- 「生成AIで何ができるか」という具体的な活用イメージの欠如
- 部署ごとにツール活用が分散し、全社的な横断展開が困難な状態
導入後の効果
- 先行導入での試行を通じ、組織運営を効率化するための確かな手応えを獲得
- 全社教育に向けたロードマップの策定により、活用イメージを明確化
- 属人化・分散していた活用状況を整理し、全社共通の仕組みとして再定義する方針を確立
目次
会社紹介
ワタミは外食事業と宅食事業を主力とし、全国に多数の店舗・拠点を展開する企業です。近年ではサンドイッチチェーン「サブウェイ」の日本事業を買収するなど、さらなる事業拡大を続けています。
特に高齢者向け配食サービスでは15年連続売上シェアNo.1※を誇り、日々の食を通じて社会を支えています。※「病者・高齢者食宅配市場」で売上シェアNo.1(2010~2024年)出典 「外食産業マーケティング便覧2011~2025」(株式会社富士経済調べ)
ワタミでは、農業(1次産業)×製造(2次産業)×サービス・販売(3次産業)に加えて、環境負荷を軽減するための取り組みや再生可能エネルギー事業にも取り組むことで、自然エネルギーを利用した循環型6次産業モデルを推進しています。生産から提供、さらに廃棄物のリサイクルまでを循環させる仕組みづくりに注力しています。また、複数の公益財団法人を運営するなど、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。
生成AI導入前の課題感
以前から「生産性向上」は経営上の重要テーマでした。売上規模の拡大に合わせて本部体制をいかに効率化し、身軽さを保ちながら成長を支えるかが、利益率を維持・向上させるための鍵となっていたからです。
特に、農業から販売までを一気通貫で手がけ、複雑なサプライチェーンを自社で抱えるワタミにとって、膨大な情報の交通整理や業務の最適化における生成AIの活用は、まさに必要不可欠な一手でした。
そこでまず着手したのは、徹底した業務の棚卸しです。一度膨らんだ業務を精査し、全体の約3割を削減。そのうえで、残った業務をDXや生成AI、RPAなどで効率化し、さらに2割削減という明確な方針を掲げました。
しかし、生成AIについては「具体的に何ができるのか分からない」という声が多く、一部の部署で非公式のAIを個人が利用する「シャドーIT」の状態に留まっており、全社的な活用スキルの平準化が課題となっていました。
生成AI導入研修後の効果
今回の生成AI研修で最も大きな成果は、「全社展開に向けた具体的なロードマップが描けたこと」です。単なる知識習得にとどまらず、公式な生成AI基盤を導入し、全社的な教育カリキュラムを実施するという意思決定を経営層から得ることができました。
先行して実施したテスト導入としての効果も現れています。研修受講メンバーによる試行を通じて、日々の業務における具体的な効率化の手応えを確認しました。単なる数字上の削減以上に、「AIを正しく使えば業務の質を高め、余力を創出できる」という共通認識が社内に醸成されたことは、今後のDX推進において大きな資産となります。
今後の展望
今後は、生成AIを単なるツールとして導入するだけで終わらせず、全社で使いこなすための運用ルールと教育体制を強化します。特に、ツールが分散し情報が散逸している現状を改善し、統合されたデジタル環境の中でAIを業務プロセスに組み込む方針です。
具体的には、AI活用レベルを段階的に定義し、全社員が基礎スキルを身につけるための研修プログラムを設計します。例えば、全社員が議事録作成やメールの推敲を自動化できるレベルから、自らノーコードツール等を用いて業務効率化ツールを作成できるレベルまで、個々の習熟度に合わせた育成を目指します。
生成AIを特別なものではなく、日々の業務における“強力なパートナー”として根付かせることが、ワタミの次なるDXのステップです。
